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この30年間、日本人の年収は400万円台で変わらず! シビックなど車両本体価格300万円台で買える新車の正義とは?

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この30年間、日本人の年収は400万円台で変わらず! シビックなど車両本体価格300万円台で買える新車の正義とは?

 日本の新車販売にとって2021年はコロナ禍と半導体不足に悩まされ続けた1年だった。明けて2022年は明るい兆しを見せるかと思ったが、オミクロン株の大流行により車の生産自体が滞る事態が発生し、まだまだ前途多難だ。

 ところで今どきの売れるクルマの価格帯は200万~300万円が普通となってしまった。今から20年前を考えてみると、300万円台は高級車かスポーツカーという感覚だったはず。随分値上げしたものだと感じるのは、実は所得がクルマの価格ほど上がっていないことが要因なのかもしれない。

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 今となってはベーシックカー? の価格帯である300万円くらいでのクルマ選びについて考えていきたい。

文/永田恵一、写真/TOYOTA、NISSAN、MAZDA、HONDA

[gallink]

■昔と今の価格差をシビックで比較してみると、驚愕の事実が判明!!

 平成元年(1989年)に4代目シビックがマイナーチェンジした際に加わった、1.6LVTECエンジンを搭載したスポーツモデルとなるSiRの価格は150万円台と、エントリーカーとしても買えるものだった。

 それが2021年のフルモデルチェンジで11代目モデルとなった現行シビックは、ボディサイズの拡大やボディタイプが5ドアセダンとなったなどの事情もあるにせよ、1.5Lターボで319万円からと4代目シビックの倍以上である。

バブル期真っ最中の1989年に追加されたシビック3ドアSiR。今では普通の安全デバイスがほぼ皆無だったとはいえ、150万円台で購入できたのは驚異的である

2021年8月発売の現行シビック(11代目)。30年前にはアコードクラスのボディに180psの1.5Lターボ、数々の安全デバイスを標準装備の結果、ベーシックグレードでも319万円。もはや高級車??

 2000年代まで価格が300万円付近のクルマは「普通の人が買う上限」、かつボリュームゾーンというイメージだったが、今や「300万円で買えないの?」と感じるクルマも多い。

 そんな背景もあり、ここでは300万円付近のクルマのかつてと現代のポジションの違いを考え、今も残る300万円以下の価値あるクルマたちをピックアップしてみた。

■300万円付近のクルマのかつてと現代のポジションの違い

 マークII3兄弟が全盛期だった1992年登場の90系が掲げた開発コンセプトのひとつは、「クルマに夢とロマンを」というものだったという。

 わかりにくい言葉だが、これは「普通の人が買える最高のクルマを提供する(≒300万円以下)」という意味が込められており、このことは日本人がクルマを買う際に深い意味があったことだと思う。

 というのも2000年代まで車両価格300万円というと、トヨタではマークII3兄弟をはじめエスティマ、ハリアー、スカイライン、オデッセイ、パジェロ、レガシィ、輸入車ではVWゴルフなど、選ぶのに迷う魅力的なモデルがズラリと揃っていた。

トヨタ最終型マークII。2.5Lストレート6エンジンを搭載した走りのモデルが300万円台で購入可能だった。今回紹介するモデルがほぼ「素」状態と考えると感覚的なギャップは大きいと感じてしまう

 それが今や300万円では冒頭に書いた現行シビックは買えないなど、クルマの値上がりが進んでいる。

 最近のクルマの値上がりの理由として、平成初期まではエアコンがオプションのクルマも少なくなったのが、そんなクルマは絶滅するなど装備内容が充実したこと。

 さらに、厳しくなる一方の排ガス規制をはじめとした環境性能の向上、ハイブリッドカーやターボ車の増加、自動ブレーキ&運転支援システムやサイド&カーテンエアバッグといった安全装備の標準装備化など、コストアップする要素ばかりというのは非常に大きい。

 また、商品の価格は2003年までクルマを含めて消費税は別で表示される外税だったが、2004年からは価格に含まれる内税となった点も小さくない。

 それ以上に日本人の平均年収は1989年が452万1000円だったのに対し、1996年の472万1000円をピークに2020年は433万1000円と、世界各国は物価上昇に対応するように収入も順調に上がっているのに、日本は収入が物価上昇に追いつかないどころか下がっているため、クルマの価格も高く感じるようになったのだ。

 それだけに300万円以下の魅力あるクルマの存在意義は以前よりも大幅に大きくなっている。

■果たして300万円以下カーに魅力はあるのか⁉

●トヨタハリアーS(2.0ガソリン/299万円)

FFの2Lガソリン車で299万円と魅力的な価格設定となる「ハリアーS」。それでもLEDヘッドライトや安全装備はしっかりと標準装備。見た目の派手さよりも実を取る考え方もありかもしれない

 現代のマークII3兄弟的存在となるハリアーのベーシックグレードのSは、2Lガソリン車ならわずかながら300万円を切る。ハリアーSはエクステリアでは上級グレードに対し17インチとなるアルミホイールやヘッドライト(LEDというのは同じ)の違い、インテリアも若干質素だが、それも上級グレードと比べても大きなものではなく、ハリアーらしいゴージャスな雰囲気は充分味わえる。

 それだけに「あのハリアーが299万円」というハリアーのベーシックグレードの存在意義は大きい。

●ハイエースワゴンDX(287万5000円)&キャラバンワゴンDX(278万4100円)

「ハイエースワゴン DX」全幅1880mmのワイド仕様を活かした広々とした室内が魅力。その分街中の取り回し性はライバルのキャラバンに劣る。トヨタセイフティセンスも標準装備で安全性も万全だ

「キャラバンワゴン DX」小型車枠で10人乗りを実現しているところが凄い。装備的にはハイエース同様、割り切った感はあるが、多人数の移送手段としては大いに「あり」ではないか

 この2台はどちらも普通免許で乗れる最大の乗車定員となる10人乗りのワンBOXミニバンで、最大の違いはハイエースワゴンが1880mmというワイドボディ、キャラバンワゴンが5ナンバーサイズとなることによるキャビンの広さだ。どちらもこの価格で10人が乗れるクルマが買えるというのは大家族などには大きな魅力だ。

●トヨタGR86RC(279万円)

「GR86 RC」もともとカスタマイズやレース用車両のベースとして設定されいるため、無塗装パーツに鉄チンホイールと「素」もいいところだ。これぞ真のピュアスポーツ?

RCグレードの室内。オートエアコンやパワーウィンドウ、本革巻きステアリングも標準装備しており、純粋に走りやカスタマイズを楽しむベース車としてうってつけだ

 GR86のベーシックグレードとなるRCはカスタマイズのベース車という性格が強い。しかし、200万円以下だった代わりに前後バンパーは無塗装なうえ、エアコンやオーディオが付けられないなど、「普通には乗れないクルマ」だった先代86前期型のRCとは異なり、タイヤ&ホイールが16インチのスチールとなる以外はフル装備となる普通のクルマである。それだけに購入後軽度のカスタマイズを考えているユーザーにも、価格の安さが嬉しいモデルだ。

●日産ノートオーラNISMO(286万9900円)

「ノートオーラNISMO」この過激なエクステリアデザインのe-POWER車も「素」であれば300万円を切る価格だ。ただ日産のもうひとつの推しであるプロパイロットを装着すると一気に350万円クラスとなる

 ノートオーラNISMOは2モーターハイブリッドのe-POWERというのを考慮しても絶対的には安くない300万円近い価格であることがまず前提となる。それに加え、今からクルマを買うならぜひ欲しい運転支援システムのプロパイロットをオプション装着するとカーナビが含まれるのもあり、300万円を大幅に超えてリーズナブルというのが少々疑問なのは事実だ。

 しかし、コンパクトカーのスポーツモデルらしいピリリとした雰囲気や電動感の強い加速感といった魅力に加え、「日産ファンが欲しくなるモデルのなかでは、一般的に見た上限の価格」ということも加味してピックアップした。

 ●マツダCX-30 Xスマートエディション(288万7500円)

世界初の(ほぼ)自然着火式ガソリンエンジンを搭載した「CX-30」装備を厳選することで300万円を切るモデルが追加された。これでSKYACTIV-Xエンジンの敷居は大幅に低くなったかもしれない

 CX-30は「内外装以外は全体的に平均的、革命的なSKYACTIV-Xエンジンも現時点では価格の高さのわりに得るものが少なく中途半端で、積極的には薦めにくいクルマ」というのが率直な印象だった。

 しかし、SKYACTIV-X搭載車に最近追加された特別仕様車のスマートエディションは若干装備内容を省いた代わり、価格は省かれた装備内容より大幅に安いというお買い得仕様だ。そのため、新しもの好きなら「この価格ならSKYACTIV-Xを試してみようか」と感じられる点が魅力だ。

●マツダCX-8 25S(299万4200円)

2.5Lエンジン、8人乗りモデルでほぼ300万円のお買い得モデルが存在する「CX-8」用途が異なるとはいえ上のハイエースやキャラバンと比べて質感は歴然で、大変魅力的なモデルだ

 2.5LガソリンNAを搭載するCX-8のベーシックグレードの魅力は「充分使える3列目シートを持つラージSUVが300万円以下」ということに尽きる。また、2.5LガソリンNAも過不足ない動力性能を備えているので、「走行距離が少ない(≒街乗りが多い)」という人にはディーゼルターボより向いた存在だ。

 ただ、CX-8で総合的に見てリーズナブルに感じるのはベーシックグレードに対し、10数万円の差額で運転支援システムが完備となる、特別仕様車のスマートエディションという点は頭に置いて欲しい。

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みんなのコメント

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  • 確かに所得は上がってない。さらに正規、非正規の格差もある。でも、記事にあるような車を買うか買わないかは、本人の自由。新車がすべてではないと思う。
  • 昔は300万円を超える価格帯はいわゆる“ハイソカー”のカテゴリーだったと思いますが、今やカローラシリーズも高くなったし、シビックなんて300万円オーバーからという時代になってしまった。
    今回のノアヴォクを見てミドルクラスミニバンもずいぶんと高くなった。
    200万円弱でも4人しか乗れないハイト系軽自動車じゃファミリーカーというには説得力に欠けるしね。

    うまく経済の循環が出来ればいいんだけどね。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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