「若者をターゲットに…」や「ユーザーの若返りを…」といった表現は新車発表時によく見ることが多いワードと言える。これまでの中でもトップレベルに若年層を考えていると感じさせるモデルが初代bBだ。ガチな若者向けクルマはどんなポイントが若者をターゲットとしたポイントだったのだろうか?
文:西川彰吾╱写真:ベストカー編集部、トヨタ自動車
スピーカーチューンが懐かしの名曲がベースだった!? 爆裂ヒットした初代bBって今こそ復活の時では????
■若手デザイナーが「カスタムを前提に」デザイン
モノとしてのかっこよさを持つ初代bB
まずは簡単に初代bBを振り返ってみよう。2000年2月に発売したbBはトールボックスデザインが特徴的なクルマだ。
そのボックスなボディ形状を広々とした室内空間が実現していて、この室内空間が若者の様々な使い方をサポートできる新たなスタイルのコンパクトカーだとアピールされていた。
トールボックス形状ながら他の同形状のモデルとは様子が違うというか、ファミリーカーチックな印象がしない独特のエクステリアデザインは、好きなものを自由に造ってほしいというような考えから、若手デザイナーに託された。
デザインのコンセプトには自分の好みに合わせて弄りやすいこと、長く付き合えて飽きがこないことなどがあがっていた。デザイン段階からカスタムを意識してあえてシンプルにされていたのである。
それが表れたエピソードと言えるのが2000年1月の東京オートサロンだ。まだ発売前だったbBのカスタマイズカーがなんと11台も展示されたのだ。しかもトヨタ系のモデリスタなどだけではなく、アフターパーツメーカーがカスタムしたbBも並べられていた。
事前にカスタムを視野に入れたクルマ造りなんて若者をターゲットにしたクルマならではのエピソードと言える。
■様々な憧れ装備を用意
こだわりを感じる仕様もある
若者たちが憧れるようなこだわりの装備たちが、標準装備となっていたのも驚かされるポイントだ。車格に対して大径な15インチホイール、ダブルホーン、スポーツサウンドマフラー(1.5L車)などが例としてあげられる装備だ。
また、花粉を除去するクリーンエアフィルターを全車標準装備し、バックモニター機能付きのマルチAVステーションIIをオプション設定したりするなど快適性が高く先進性を感じる装備が用意されていたのも特徴的と言える。
そして若者と音楽はいつの時代も切っても切れない。bBには6スピーカーが標準装備となっていた。そして、驚かされるのはこのスピーカーのチューニングに当時のヒット曲である、宇多田ヒカルの「FirstLove」が使われていたのだ。ここまで狙いを一点に定めた製品開発も今では考えられないエピソードと言えるだろう。
自動車という商品企画には様々なコンセプトやターゲットがあるが、ここまで一点に尖ったクルマも中々ないだろう。
初代bBは比較的幅広い世代にも受け入れられた印象があるが、当時のエピソードを振り返ると大冒険をした製品開発と言えるだろう。ここまで割り切ったモデルがまた登場することを期待したい。
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