三菱の最上級車種だったディアマンテ
スペイン語でダイヤモンドを意味する誉れ高い車名を与えられたのが、1990年に誕生した三菱ディアマンテだ。三菱グループの社章であるスリーダイヤを即座に思い浮かべさせる上級車である。
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1年前の1989年に、日産スカイラインGT-Rが復活し、トヨタ・セルシオや日産インフィニティQ45といった高級車も登場したため、ディアマンテはあまり記憶に残りにくかったかもしれない。
それまで三菱自の最上級車種であったデボネアは、5ナンバーを基本とした上級車種である。一方のディアマンテは当初から3ナンバー車として誕生し、実質的に三菱の最上級車種になった。
1989年4月から自動車税制が変更になり、3ナンバー車の税額が安くなったことを受け、3ナンバー車のみでのディアマンテの販売に勢いがついた。
三菱車らしい重厚な作りだった
デボネアは、好きな人にとっては他にない持ち味があったが、限定的な販売にならざるをえなかった。それに対し、ディアマンテはBMWのようなボンネットフードを長く見せる造形によって精悍な外観で、バブル経済の追い風もあり、瞬く間に街にあふれた印象がある。比較的手ごろな価格でV型6気筒エンジン車を買えたという背景もあったかもしれない。三菱車らしく重厚なつくりによって、上級4ドアセダンとしての落ち着きある乗り心地が特徴的だった。
1995年に2代目へモデルチェンジし、三菱自が世界に先んじて開発したガソリン直噴エンジン=GDIの搭載車種もあった。
ガソリン直噴エンジンは、メルセデス・ベンツが1950年代にSLというスポーツカーで採用したことがあったが、量産の乗用車で広く採用したのは1996年の三菱ギャランとレグナムが最初であり、ディアマンテにも採用された。今日では、ガソリン直噴エンジンが世界的に基本となるまでに育った。
一方、2000年にリコール隠しといわれ、重要不具合情報が運輸省(現・国土交通省)へ報告されていなかったことが判明し、三菱自への信頼が急落することになった。
企業の信頼に傷がつくことにより、上級4ドアセダンとしての価値も低下せざるを得ず、2005年に生産が終了となり、3代目への継承はなく、ディアマンテの歴史に終止符が打たれた。
それでも、ディアマンテの思い出として、直列4気筒エンジンもあったが、V6エンジンの高出力を前輪駆動で走らせる豪快な運転感覚は記憶に残る。また、上級4ドアセダンで4輪駆動を選択できたことも、ディアマンテの特色のひとつであったといえるだろう。
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