次世代EV エンジン車と同等価格を目指す
日産は、欧州向けのコンパクトSUVであるキャシュカイの次期型をEVとし、英国で設計・製造する予定だ。
【画像】日本でも乗りたい! 海外で独自進化の「デュアリス」【日産キャシュカイの最新モデルを写真でじっくり見る】 全40枚
2006年に発売されたキャシュカイは、実用性とエッジの効いたスタイリングを兼ね備え、コンパクトSUVの流行の火付け役となった。初代モデルは日本でも「デュアリス」として販売されたが、その後欧州で独自の進化を遂げ、最新の第3世代モデルは2021年に発売された。昨年は英国でベストセラーとなるなど、高い人気を誇る。
第4世代となる次期型は、ジャパンモビリティショー2023で公開されたハイパーアーバン・コンセプトからインスピレーションを得て、ロンドンにある日産のデザインスタジオでスタイリングされる予定だ。
ハイパーアーバン・コンセプトの大胆に角ばったエクステリアは市販車でもある程度踏襲される見込みだが、先鋭的なインテリアはトーンダウンされるだろう。
キャシュカイには現在、ガソリンエンジン車とハイブリッド車の複数のパワートレインが用意されているが、次期型ではEVのみの設定となる。しかし、日産の内田誠CEOは、現行型と同等の価格帯で発売することが「日産の目指していること」だと語った。キャシュカイは現在、英国で3万ポンド(約540万円)弱から販売されている。
内田CEOは、EVとICE(内燃エンジン)車の価格を同等にするのは難しいことだと認めた上で、次のように述べている。
「一方ではスケールについて議論し、もう一方ではサプライチェーンを確立する必要があります。日産は、EVをICEと(価格面で)均衡させる方法を検討している段階です。各国の規制が同じペースで動いているわけではないので、難しい議論です」
英国で設計・製造 バッテリーは?
キャシュカイの生産工場は、英サンダーランドにある。日産は最近、ジュークやリーフの後継車とともに、キャシュカイの後継車製造のために最大20億ポンド(約3600億円)の投資を行うと発表した。これを基に、ロンドンでのスタイリング作業、クランフィールドのテクニカルセンターでの開発およびプロトタイプ製作、そしてサンダーランド工場の改修・準備などを進めていく。
次期型キャシュカイの詳細についてはまだ定かではないが、ルノー・日産・三菱アライアンスのCMF-EVプラットフォーム(C/Dセグメント車向けのEV専用車台)を使用する予定だ。このプラットフォームはすでにルノーのメガーヌとシーニックで採用されており、ジュークとリーフの次期型にも採用される。
駆動用バッテリーはサンダーランドで製造される予定で、日産のパートナーであるAESC(旧エンビジョンAESC)は、同地に3か所目のバッテリー・ギガファクトリーの建設を計画している。両社は現在、LFP(リン酸鉄リチウム)バッテリーに注力している。
次期キャシュカイで重要な課題となるのが、効率の最大化である。日産の欧州研究開発責任者であるデビッド・モス氏は、効率を最大化するために、これまでのモデルよりも「エアロダイナミクスに多くの注意を払っている」と本誌の取材で語った。
2030年頃発売か エンジン車はどうなる?
次期型の発売時期は未定で、現行型のライフサイクルに基づけば2029年頃と予想されるが、EVの普及スピードによっては前後する可能性もある。日産は2030年以降、欧州でEVのみを販売する計画で、英国政府も2035年にゼロ・エミッション車(ZEV)以外の国内新車販売を禁止する。
とはいえ、英国市場ばかりに目を向けるわけにはいかない。サンダーランドで製造されたキャシュカイの80%は国外に輸出されている。日産は、市場によってゼロ・エミッション車への移行にばらつきがあると指摘する。既存のICE車と、後継EVを同じ生産ラインで同時に製造する可能性も考えられる。
モス氏は次のように述べている。
「問題は、わたし達自身やサプライヤーにとって手に負えなくなるレベルの複雑さを生み出すかどうか、そして規制がどうなるかです」
「わたし達は物事をきれいに切り替えたいと考えていますが、欧州全土が同じスピードで動いているわけではないことは認識しています。キャシュカイのような、英国でナンバーワンのクルマを持っていることを誇りに思いますが、それは偶然によるものではありません。日産は、お客様が何を求めているかを理解しようと努め、2007年の初代からそれに基づいて開発してきました。自己満足に陥らず、市場の行く末を予測し、基本的なことをしっかりやることです」
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みんなのコメント
・スケールについてサプライチェーンを確立する必要。
・EVをICEと(価格面で)均衡させる方法を検討。
・LFP(リン酸鉄リチウム)バッテリーに注力。
・市場によって移行にばらつきがあるから、既存のICE車と、後継EVを同じ生産ラインで同時に製造する。
2010年に大衆車からBEVに乗り込んだ日産で、ePOWERのようなHVを出すのは混合生産と規模の生産性を採った現実解。
ハリボテ並べて、やるぞ!って見せて、実は中華製と協業ってところとは違う感じがする。
全個体電池が話題に出してこないのもむしろ現実を見ているなという期待が持てる。
早くから自社ディーラーに急速充電器をそろえたのも日産だし。既存のメーカーはテスラやBYDのようにはいかないだろうが、信頼性では群を抜く実績だから頑張ってほしいなあ。