10月26日(木)から11月5日(日)にかけて開催される「JAPAN MOBILITY SHOW 2023」で発表された新型車を深掘り! レクサスの新しいBEV(バッテリー式電気自動車)「LF-ZC」とは?
主要コンポーネントの小型化
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新型LF-ZCは主要コンポーネントを小さくすることで、エンジン搭載車のみならず、従来のBEVでは実現できなかったパッケージングとスタイル、居住性を提示するコンセプトモデルだ。2026年の市場導入を目指す。
LF-ZCのボディサイズは全長×全幅×全高:4750×1880×1380mm、ホイールベースは2890mm。2ドアクーペの「LC」は全長×全幅×全高が4770×1920×1345mm、ホイールベースは2870mm、4ドアセダンの「ES」は全長×全幅×全高が4975×1865×1445mm、ホイールベースは2870mmだ。LF-ZCは2ドアクーペのLCに近いディメンジョンながら、4ドアセダンのESに匹敵する居住性を備えているのが特徴である。
さらにBEVでありながら、エモーショナルなデザインを実現したのも魅力だ。大きな要因のひとつに、低ハイト・高エネルギー密度の電池の採用だ。
「次世代電池(パフォーマンス版)」と呼ぶリチウムイオン電池で、2022年に量産化されたトヨタ「bZ4X」が搭載するリチウムイオン電池とおなじ角型セルを用いる点に変わりはないが、構造を一新することで低ハイト・高エネルギー密度を実現した。
従来の角型セルはセルの上面にプラスとマイナスの端子を並べた構造だ。9Vの角型電池を極端な横長形状にした、と、考えていただきたい。一方、次世代電池(パフォーマンス版)は端子を左右に振り分けて配置しているのが特徴。1.5Vの乾電池を横倒しにしたようなイメージだ。端子を上配置から横配置に変更したことで、セル同士の端子を上面で接続する必要がなく、そのぶん低ハイトに出来たというわけだ。
電池自体のエネルギー密度の向上や、空力、軽量化など車両側の効率向上と合わせ、航続距離1000km(中国CLTCモード)を目指す。また、SOC(充電状態)10%から80までの充電時間を従来の30分から20分へと30%削減するという。
ランボルギーニを彷彿とさせるデザインもうひとつの注目技術は小型の「eAxle(イーアクスル)」で、モーターとインバーターと減速機を組み合わせたユニットだ。モーターの高回転化とプラネタリーギヤを用いた減速機構の採用などにより小型化を実現した。
小型エアコンにも注目したい。「HVAC(エイチバック、Heater Ventilation and Air-Conditioning)」と、呼び、車室内に送る風の量や温度、吹き出し口の調整を行うユニットで、次世代BEV用に、小型化したという。
従来のBEVは大型バッテリーを床下に搭載する必要があったため、全高を高くする必要があった。しかし、トヨタ/レクサスのBEVは低ハイトの電池を採用することで、従来のBEVの概念を打ち破るデザイン自由度を確保する。
エンジンの搭載を前提とせず、小型化したコンポーネントを前提にパッケージングできるため、キャビンは前出しとし、フロントフードは低くできる。LF-ZCのフードはLCよりも低い、と、記せば、いかに低いかがイメージできるだろう。さらにモーターとHVACの小型化によって、Aピラーをより前に出せた。
したがって、LF-ZCはフードが低いだけでなく、フロントにエンジンやモーターを積んだ従来のクルマよりもAピラーが前方にあり、かつダッシュボードが低い位置にある。フロントセクションだけを切り取ると、ランボルギーニ「ウラカン」を彷彿とさせる。まさかBEVでそんなシルエットのクルマが出てくるとは……というのが実物を目にしての感想だ。
「空力性能とデザインの両立もLF-ZCの大きなテーマでした。レクサスに期待される独創性や“切れ味”を表現することにこだわってデザインしました」と、担当デザイナーは説明してくれた。
BEVとしての機能を成立させつつ、美しさに妥協のないデザインがLF-ZC最大の特徴かもしれない。
文・世良耕太 写真・安井宏充(Weekend.) 編集・稲垣邦康(GQ)
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