2030年までに全モデルBEV(バッテリー電気自動車)化を掲げるロールス・ロイスにおいて初となるBEVであるスペクターが日本に上陸した。前編に引き続き、空力やデザイン、音に関する後編をお届けする。
空力に貢献する「パンテオン・グリル」
これぞ最上級の電気自動車!ロールス・ロイスが「スペクター」を日本で初公開。価格は4,800万円から。[スペクター発表会 前編]
エンジンを冷やす必要がなくなったパンテオン・グリルは、新たにクルマの周りに空気を流してエアフローを整える役目を持っている。そのために緩やかな角度に設計された。延べ830時間に及ぶデザイン・プロセスと風洞実験の成果により、スペクターはロールス・ロイス史上最も低いCd値0.25を達成している。
空力テストを踏まえて、スピリット・オブ・エクスタシーもこれまでよりも前傾姿勢をとっているが、エレガントでアイコニックでなければならないという要素も成立させている。
スペクターはブランド史上最もワイドなグリルとなっており、全幅も2,144mmと、ファントム(2,020mm)より124mmも広くなった。グリル横のスプリット・ヘッドライトは同じグループであるBMW 7シリーズの面影を感じる。
サイドビューではルーフのスレートラインが「エレガントなファストバックシルエット」を作り出している。それに追加してドアハンドルの高さのショルダーラインと下部の現代ヨットから着想を得た「ワフト・ライン」も加わる。この2つのラインはフロントに向かってテーパーする形とし、停止時でも前に走り出すようなイメージを与える
テールライトの縦のラインはパンテオン・グリルと呼応するデザインを持っていて、ライトが消灯した際には完全にカラーレスになるのが特徴だ。あえてノーカラーとしている理由は、ほとんどのオーナーがボディカラーをビスポークするので、このテールライトであれば、ボディカラーと喧嘩をしないという大きなメリットがあるためだ。
BEVで更に高められたマジック・カーペット・ライド
オール・アルミニウム製スペースフレーム「アーキテクチャー・オブ・ラグジュアリー」を採用。アルミニウム押出材セクションと、バッテリーの車両構造への一体化により、ロールス・ロイスの従来モデルより30%高い剛性を達成している。またその構造により、約700kgのバッテリーは遮音材としても機能する。
102kWhの容量を持つバッテリーは8kWの普通充電の場合は約13時間、最大195kWの急速充電であればほぼ30分で満充電となる計算だ。
ドライバーの状況や路面状況に応じて的確に反応するプラナー・サスペンションはロールス・ロイスの特徴である「マジック・カーペット・ライド」をさらに強化している。
驚異的な静けさ、最も長く最も軽いドア
スペクターのガラスにはICE(内燃機関)モデルと同じ性能のものが使われており、もちろんスペクターにはエンジンがないのでその室内は「エクストリームサイレンス(驚異的な静けさ)です」と、普段はグッドウッドでプロダクト・スペシャリスト・エレクトリフィケーション・ストラテジーを務めるフレッド・ウィットウェル氏が教えてくれた。
彼曰く、スペクターは開発段階で、スタッフからあまりにも静かすぎるとの意見が出たため、“あえて”ドライバーの操作による加速や減速時に音を聞かせるようにしているそうだ。
全長が5,475mmにおよぶボディのスペクターは、ドアも一番長く重くなった。これまでも重いドアに対するオーナーからの声もあったことを踏まえ、スペクターではクルマから降りる時は内側のドアレバーを軽く引くだけでドアが開き、外からドアを閉める際もドアハンドルに触れるだけで閉まるようになっている。
もちろんこれまでのロールス・ロイスの各モデルのように車内に乗り込んでドアを閉める際はドアに手を伸ばさずに、スイッチひとつで操作可能。そのスイッチがAピラー付け根からセンターコンソールに移っていることには注意だ。なお、あなたが運転席に座っている場合はブレーキを踏むことでもドアを閉められるのはスペクターならではの特徴だ。
無音の大きな一歩
2022年はグローバルで過去最高となる6,021台を販売したロールス・ロイスは、今年およびスペクターに関する販売台数目標を設定していない。
「我々が生産台数を決めるのではなく、お客様からのオーダーに応えた結果が生産台数になるのです」とフレッドは笑みを見せた。
ロールス・ロイスはビスポーク受注が多いため、メーカー側でオーナーの注文を予想した「決め打ち生産」は確かに難しいだろう。
「ただし、できれば6,000台という数字は維持したいと思っています。スペクターの受注台数ですか? 過去のロールス・ロイスの中で“最も待ち望まれていたクルマ”とだけお答えしておきます」と答えたフレッドのさらなる笑顔から、6,000台という数字の達成と、それにスペクターが大きく貢献することが窺えた。
2030年までに全てのモデルをBEV化する目標のロールス・ロイスは、このスペクターでそのスタートを切った。
スペクター(幽霊)も、同ブランドのモデルと同じく霊に関する名前(ゴースト:幽霊、ファントム:亡霊、レイス:生霊)なのだが(ちなみにドーンは夜明け、カリナンはダイヤ)、その歩みは静か、いや無音であっても、とても力強く大きいものになりそうな気がする。そんなロールス・ロイスの新型車であった。
ロールス・ロイス スペクター 全長:5,475mm 全幅:2,144mm 全高:1,573mm ホイールベース:3,210mm 車両重量:2,890kg 乗車定員:4名 電力消費率:23.6-22.2kWh/100km(WLTP) 一充電走行距離:530km 最高出力:430kW(584ps) 最大トルク:900Nm バッテリー総電力量:102kWh モーター数:前1基、後1基 駆動方式:AWD タイヤサイズ:前255/40R23、後295/35R23 車両本体価格:4,800万円 0-100km/h加速:4.5秒
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