ABB FIA フォーミュラEシーズン10の第6戦 イタリア・ミラノで初開催された。前回大会東京から欧州ランドに戻り、シーズン中盤へ入っていく。
シーズン10ではピットでの急速充電システムを導入するアナウンスがあったものの、序盤はなく、欧州ラウンドに入ってからという情報があるものの、蓋を開けてみると、このミサノでも予定されていなかった。
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さて、中盤に入りパワートレインのパワーバランスに変化が出てきている様子。日産が好調になり、マヒンドラやアプト、マセラティといったチームが上位に入るようになり、ポルシェとジャガーの争いから様相が変化している。このミサノの予選でも同様にDSパワートレインが勢いを増してきているのだ。
ミサノはバイクレースでは有名なコース。今回のレースではこのパーマネントサーキットを使用し、FE用にコースレイアウトを変更して開催。1周3.381kmで14のコーナーを持つレイアウトで開催された。また、翌日には第7戦も予定しているダブルヘッダーのカレンダーになっている。
Oliver Rowland, Nissan Formula E Team, Nissan e-4ORCE 04が第6戦で優勝したグループ予選Aからデュエルスに進出したのは、ジャン・エリック・ヴェルニュー(DSペンスキー)、パスカル・ヴェアライン(ポルシェ)、オリバー・ローランド(日産)、マキシミリアン・ギュンター(マセラティDS)で、DS勢が活躍した。
そしてグループ予選Bからは、ジェイク・ヒューズ(マクラーレン・日産)、ミッチ・エバンス(ジャガー)、サム・バード(マクラーレン・日産)、ニコ・ミュラー(アプト・ZF)というメンバーで日産パワートレインが好調を維持。またアプトも注目される。第5戦東京で好調のマヒンドラ、ERTは今回は今ひとつのようだ。
デュエルス1開戦では前回2位フィニッシュしたローランドがヴェアラインに破れてしまい、好調のDSヴェルニューが決勝まで駒を進めた。またジャガーのエバンスも好調を維持し、決勝ではDSのヴェルニューとジャガーのエバンスが対決した。第2戦ではこの対決をヴェルニューが制したが、今回はエバンスが制し、エバンスは今季初ポールポジションを獲得した。
Mitch Evans, Jaguar TCS Racing, 今季初ポールポジションを獲得一方で、これまで好調だったジャガーのニック・キャシディはグループ予選で敗退し、日産のサッシャ・フェネストラズ、ポルシェのアントニオ・フェリックス・ダ・コスタもグループ予選で敗退している。そしてダ・コスタはヴェアラインがシリーズをリードしているだけに、シートが危ぶまれている状況だ。
またアンドレッティ・ポルシェのジェイク・デニスとノーマン・ナトーの2台ともがグループ予選で敗退しており、何かのトラブルが出ている可能性がある。そしてジャガー・エンビジョンのロビン・フラインス、セバスチャン・ブエミの2台とも敗退しているのも気になるところだ。
見たことのない決勝
決勝レース中のシーン。2ワイド、3ワイドでコーナリングしていく見たことのない景色だ決勝は28周で2回のアタックモード8分間を使い切ることは従来どおりでスタートした。コース幅が広いパーマネントサーキットのため、2ワイド、3ワイドで1コーナーに飛び込むも、混乱はなくクリーンにスタートをした。
しかし、このコース幅の広さと序盤から中盤にかけてはエネルギー・マネージメントもあり、見たことのない展開があった。予選のラップタイムより、およそ10秒ほど遅いラップタイムで走るため、コースをワイドに使ってもラインを外すことがない。つまり、いろんなライン取りができてしまうわけだ。だからストレートではコース幅いっぱいの4ワイドという見たことのない隊列になり、コーナーへも2ワイドで飛び込むというシーンが各コーナー、毎ラップ展開したのだ。
そのためトップの入れ替え、順位の変動は激しく、コーナーごとに順位が入れ替わる展開だったのだ。見ている側は随所でバトルが見られるので、楽しいレースかもしれない。またアタックモード・ロスも小さく、パワーアップしたマシンがスルスルと順位を上げていく様は痛快だ。
Pascal Wehrlein, TAG Heuer Porsche Formula E Team, Porsche 99X Electric Gen3。第5戦まではヴェアラインがチャンピオンシップをリード。一方で、ラップタイムが遅い分、接近戦になるわけで、あちこちで接触を起こしている。ノーズコーンの破損やテールへの追突も頻繁に起きており、マシンを壊さないためのサバイバルレースにもなっていた。
レースの終盤になるとエネ・マネの目処が立つのか、ラップタイムがグッと上がる。そのためトレイン状態になるシーンもでてきて、順位もようやく落ち着き始める。ダ・コスタ、ヴェルニュー、ローランド、ギュンター、エバンスといった顔ぶれがトップ集団を形成するが、一瞬で10番手あたりまで下がることもまだ残されている展開だった。
接触の多い荒れたレースではあったが、SCやFCYがなく、アディショナル・ラップもない。残り3周となったところで、トップにダ・コスタ、ローランド、ヴェルニュー、デニス、ギュンター、ティクタムという順になり。そのままダ・コスタがチェッカーを受けた。
ローランドが2位フィニッシュも繰り上げ優勝となったダ・コスタの優勝は夢となってしまったしかし、ダ・コスタは車両規定違反があり、ローランドが繰り上がり優勝となる結末だった。以前は、こうしたレース後に順にが変わるシーンがよくあったものだが、Gen3になってからは珍事のひとつになったと言える。
これでシリーズランキングはローランドがトップに立ち、昨年のチャンピオン、デニスが2に浮上した。これまでトップだったヴェアラインはデニスと同点の2位、序盤好調だったキャシディは4位という順に下がる。
次戦は翌日、同じコースで開催される。再びワイドスプレッドな見たことのないレースが展開するのだろうか。これまでにない面白さを見せたレースだった。
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