■一斉を風靡したミニバン「エスティマ」何故消えたのか
トヨタは2023年6月に、新型高級ミニバン「アルファード」と「ヴェルファイア」を発売。また秋にはレクサスブランドの新型高級ミニバン「LM」を日本でも発売することを発表しています。
3台とも先代モデルからさらに高級感と迫力を増したエクステリアや豪華な内装が大きな話題となっていますが、かつてトヨタには元祖高級ミニバンとも言えるクルマ「エスティマ」が存在しました。
【画像】これが次期型「エスティマ」か! トヨタが発表した「次世代ミニバン」を画像で見る(46枚)
1990年に発売した初代エスティマは、ミニバンというよりも「新しい高級車の姿」を提案したモデルであり、メーカー自ら「天才タマゴ」のキャッチフレーズを使用したように、つるんと丸みを帯びたタマゴ型ボディが大きな特徴でした。
これは世界的にも珍しいアンダーフロア型ミッドシップレイアウトを採用したことで実現できたスタイリングで、具体的には、エンジンを75度横に寝かせつつ前輪タイヤを運転席よりも前方に配置するという複雑な構造となっています。
これによってミッドシップでありながら広大な室内空間と快適な乗り心地、高い静寂性を獲得することに成功したのでした。
かくして初代エスティマは、約300万円という当時としては決して安価でない価格でありながらも高い人気を獲得し、一躍日本のミニバンを代表する1台となったのです。
そして、すでにエスティマの名が知れ渡っていた1992年には、ボディを小型化し5ナンバーサイズに収めた「エスティマ ルシーダ/エミーナ」が発売。
両モデルはエントリーグレードにおいて3ナンバーサイズの本家エスティマと比較して約100万円も安価という価格設定も幸いし、「子エスティマ」として親しまれ、ルシーダとエミーナともに成功を収めました。
こうしたことからエスティマの名はますます人気が高まり、完全にミニバンの定番車種として認知されることになりました。
2000年には初のフルモデルチェンジが敢行され、2代目エスティマが誕生。
2代目ではルシーダとエミーナが消滅し、再びエスティマというクルマの1本化が図られます。
また、モデル途中でハイブリッドシステムを搭載した「エスティマ ハイブリッド」が登場。大きな車体でありながら、力強い加速と低燃費を両立し、ますます人気に磨きがかかると思われました。
■順調だった「エスティマ」の運命に暗雲が立ちこめた!
しかし、この世代でエスティマの運命に暗雲が立ちこめます。同ブランドのトヨタ内に、より上位となるミニバンが誕生したのです。
それが2002年に発売した初代「アルファード」でした。
2代目エスティマの骨格をベースにしつつ、より大きなボディと豪華で広大な室内空間を誇ったアルファードには、エスティマの丸みを帯びた優しくも見えるフロントマスクとは一線を画す「力強い」デザインが採用され、それが大型ミニバンを求める多くのユーザーの心を射止めることに成功しました。
かくして、トヨタ内のミニバン人気はアルファードとエスティマに分散しましたが、まだこの時点ではエスティマのファンも数多く存在していたことも事実です。
次に起きたエスティマの命運を決める大きな分かれ道が、両モデルのフルモデルチェンジでした。
2006年にエスティマが3代目へ、2008年にアルファードが2代目へと相次いで全面刷新をおこないましたが、アルファードのモデルチェンジと同時に兄弟車となる初代「ヴェルファイア」が誕生。
このクルマはアルファードをベースとしながら、さらに迫力のある「コワモテ」なフロントマスクとなっており、そして多くのユーザーの嗜好とも一致していました。
もちろんこの2台とエスティマの車両価格は異なりますが、逆にリーズナブルなエスティマの販売台数がアルファードとヴェルファイアよりも苦戦するようになり、ユーザーも大型ミニバンの購入時にこのエスティマを除いた2台の中から選択するようになりました。
かつて一時代を築いたエスティマは、日本自動車販売協会連合会が発表する「登録車販売ランキング」において年間のトップ3にランクインしたこともあり、高い人気を集めたエポックメイキングな存在でした。
しかし、2019年上半期においてのエスティマの登録台数は、1か月平均で791台。これはアルファードとヴェルファイアの合計台数に比べると、1割以下となる台数です。
こうした背景もあり、エスティマは2019年10月をもってその役目を終え、モデルチェンジもなく消滅したのでした。
※ ※ ※
残念な形で姿を消したエスティマですが、しかし、2019年当時と2023年現在では自動車業界を取り巻く環境は大きく変わっています。
2023年6月に新型へとフルモデルチェンジしたアルファードとヴェルファイアは、大きく車両価格を上げており、それ以外のトヨタのミニバンとなると、ミドルサイズの「ノア/ヴォクシー」と「シエンタ」しかありません。
また、過去にとあるメーカーの開発者の取材をした際、以下のような返答がありました。
「現在の技術でエスティマをフルモデルチェンジすれば、低床設計を生かしてより低重心のミニバンを開発できます。
よりボディは軽くなり、タイヤサイズも(アルファード/ヴェルファイアに比べて)細くできるので、燃費から走行性能まで、機能を向上させたミニバンを開発することは理論的に可能でしょう」
そんな新しいエスティマがもしも現代に登場していたとしたら、ノア/ヴォクシーとアルファード/ヴェルファイアの間に大きく空いた上級ミニバンのポジションにピッタリとハマるのかもしれません。
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みんなのコメント
ラインナップの整理で消えるのはしかたないですね