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やっぱりホットハッチの“MT”は面白い!──新型ルノー・メガーヌR.S.トロフィーMT試乗記

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やっぱりホットハッチの“MT”は面白い!──新型ルノー・メガーヌR.S.トロフィーMT試乗記

ビッグマイナーチェンジを受けたルノーのホットハッチ「メガーヌR.S.トロフィー」の6MT仕様に小川フミオが試乗した。

マニュアルギアのよさとは?

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運転が好きなひとが、つねに気にしているクルマ。それはフランス・ルノーの「メガーヌR.S.」だろう。

なかでも、もっともパワフルな「R.S.トロフィー」がより強力になって、2021年1月28日から日本で発売されている。試乗すると、たしかにすごい。ラリーからF1までモータースポーツに熱心なルノーだけのことがある、と感心した。

ハッチバックが似合わなくなる年齢というのはあるだろうか。フォルクスワーゲン「ゴルフ」などに接するたびに、いいクルマだけれど、歳をとってきても似合うだろうか? などと、私は自問自答してしまう。

おそらく、自分が運転免許をとっていらい、ハッチバック車に親しんできたため、“ハッチバック車は若者が乗るクルマ”と思い込んできたのかもしれない。しかし、そんなことはない。いくつだって好きなクルマを楽しめばいい、と、熱く語りかけてくるように思えるのが、ルノーが手がけるホットハッチ(高性能ハッチバック)なのだ。

私が乗って「いいなぁ」と、思ったのは、メガーヌR.S.トロフィーMT(以下トロフィーMT)だ。従来型より21psあがった300ps(221kW)の最高出力と、同時に10Nmも増えた400Nmの最大トルクを発生する1798cc直列4気筒ガソリンターボ・エンジンを搭載し、6段マニュアル変速機を介して前輪を駆動する。

このクルマのなにがいいって、元気なかんじ、だ。ちょっと重めのクラッチペダルを操作してギアをつなぐと、強いちからで蹴り出されたように前方へと飛び出す。あらたにそなわったサウンドエンハンサー(じっさいには物理的なサウンドバルブの開閉機構)の効果もあって、このクルマに興味をもつ人は一発で虜になること間違いなし。

フライホイールが軽く、トップ・エンドの回転域までさっとまわるエンジン。ここから先はエンジンを保護するためにあまりまわさないで、と、赤の破線がエンジン回転計に書かれているのが6500rpmから。そこにあっというまに到達する。

これがマニュアルギアのよさだ。勝手にシフトアップしないので、ドライバ−である自分とクルマとの一体感が強い。もちろんAT車もスポーツモードとマニュアルシフト(というモードが多くのクルマに設定がある)を使えば、エンジン回転を自分の思うようにコントロールできる。

それでもやっぱりマニュアルはちがう。エンジンがどこから力を出して、どこでピークを超えるか。その感覚がつねに、アクセルペダルを踏んでいる足の裏でかんじられる。

本当に速く走りたいなら、いまはオートマチックやすぐれたツインクラッチ式変速機の出来がよいので、ドライバ−の要求に応えてくれる。とはいえ、たとえば、シフトダウンのときなど、気分が違う。

クラッチを踏んで、アクセルペダルをぽんっと踏んでエンジン回転を一瞬上げ、手でもってギアを1段落として、すかさずクラッチをつなぐ。そしてそこからアクセルペダルを踏み込む、なんていうとき。あるいはカーブの手前でブレーキングしながらギアを落とすとき。気分の盛り上がりかたは、マニュアル変速機ならではだ。

私は、そういうわけで、そんなにパワーがないいっぽう、変速機の各ギアの比が接近しているクルマをマニュアル変速機で運転するのが、ことのほか、好きである。

アクセルペダルの踏みこみにとりわけ敏感に反応してくれるトルクの山のある領域のエンジン回転数を、変速機を使ってできるだけ保つ……そんな運転がスポーツのように感じられて、とてもたのしい。

素晴らしいハンドリング

R.S.トロフィーは、ただし、400Nmものふっとい最大トルクを持つため、マニュアル変速機である意味が、非力なクルマに対して、半分ぐらいの感じだ。シフトダウンをまめにやらなくても、たとえばエンジン回転数が1000rpmていどであっても、そのままのギアで走れてしまう。

だから、マニュアル変速機にあまり慣れていないひとでも、すぐに操縦を楽しめる。クラッチは強そうなので、最初は、エンジンストールが怖くて(怖がる必要ないんだけれど)エンジン回転を上げぎみにクラッチをつないでも、また、教習所でスロー走行するように、クラッチペダルの操作で速度コントロールをしてしまう運転でも、クルマが許してくれる。

長々とマニュアル変速機について書いてしまった。もちろん、よさはそれだけではない。なにより、R.S.シリーズに共通するハンドリングのよさは素晴らしい。ステアリング・ホイール操作への敏感なボディの反応といい、ロールを抑えて、いわゆるレールに乗っかったようにカーブを曲がっていく感覚といい、すばらしいのだ。

トルセンLSD(カーブなどで片側の車輪がグリップをやや失ってももう一方の駆動輪にはパワーを適切に伝える機械的装置)や、アルミニウム製ハブと組み合わせた鋳鉄製のスリット入りフロントブレーキディスクといったものが、今回の改良でR.S.トロフィーにそなわったことも見逃せない。

独特の洒落たデザイン

足まわりはやや硬め。後席スペースは充分な広さが確保されている。でも、乗り心地の点からいえば、せいぜいふたりで乗ったほうがよさそうだ。

これを逆の方向からみれば、スポーツカーのように1人か2人、あるいは2人で運転を代わりながら楽しめるクルマといえる。そこがR.S.トロフィーの美点なのだ。

価格は494万円。マニュアル変速機のライバルというと、やはりラリーの現場から生まれたような6段マニュアル変速機のGRヤリス(396万円~)や、マニュアル変速機と後輪駆動の組合せを持つ新型スバルBRZ(308万円~)が思いつく。

マツダにもマニュアル変速機搭載車は多いものの、正面からぶつかるホットハッチは残念ながら存在しない。

それぞれよさがある。そのなかでR.S.トロフィーの魅力として、内外装の質感の高さもあげておきたい。独特の洒落たデザインがそこかしこに見受けられるのは、日本車と一線を画している点だ。

ちなみに、今回の改良で、運転支援システムの充実も図られており、アダプティブクルーズコントロール、歩行者検知機能付きの衝突被害軽減ブレーキなども搭載された。

文・小川フミオ 写真・安井宏充(Weekend.)

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