現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 【ヒットの法則137】2代目フォード フォーカスは地味な存在ながら実力はハイレベルだった

ここから本文です

【ヒットの法則137】2代目フォード フォーカスは地味な存在ながら実力はハイレベルだった

掲載 更新 2
【ヒットの法則137】2代目フォード フォーカスは地味な存在ながら実力はハイレベルだった

2005年7月に日本上陸を果たした2代目フォード フォーカス。まずは2Lモデルから販売が開始され、2005年12月にはベーシックな1.6Lモデルが追加されている。Motor Magazine誌ではこの1.6Lモデルに注目、すぐに日本でテストドライブを行なっている。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2006年1月号より)

積極的に「1.6」を選びたいと思わせる要素もある
日本の輸入車市場では最大のボリュームゾーンに投入されているモデルであるにもかかわらず、フォード・フォーカスはハッキリ言って地味な存在だ。しかし先代と同じく世界的な評価は相当に高く、ヨーロッパでは新車販売ランキング上位の常連となっている。やや遅れての導入となった「1.6」は、はたしてこの状況に変化をもたらすことができるか。その実力を確かめてみた。

【くるま問答】アイドリングストップ機能はよいことばかりではない。OFFスイッチはいつ使う?

外観は「2.0」に対して、タイヤサイズが205/55R16から195/65R15とされ、ホイールもスチール+キャップに。ヘッドライトベゼルがブラックからシルバーとされている。一方、内装ではシートが手動調整式となり、ステアリングホイールやシフトノブが樹脂製に。エアコンがマニュアル化され、CDチェンジャーが省かれるなど、細かな差は結構ある。

肝心なのはもちろんエンジン。1.6Lユニットは最高出力100psで、「2.0」と同じく+/-ゲート付きの4速ATと組み合わされる。

乗り込んでまず感じるのは、左右方向の余裕だ。全幅があるだけに当たり前だが、その寸法はきっちり使い切られている。「2.0」のスポーツタイプではなく、標準型のシートが大きめなのも好印象。コシのあるクッションはしかし板のように硬くはなく、身体を心地よくホールドしてくれる。

ATのセレクターをDレンジに入れてアクセルペダルを踏み込むと、右足にそれほど力を入れないうちから車体がスッと前に出る。この出足の良さは、スペックはどうということのない1.6Lユニットが徹底的に実用域重視に振られていること、そしてやはり今やスペック的には物足りなさを覚える4速ATが、非常にタイトにトルクを伝達してくれるおかげである。

さらに速度を上げていっても、加速感はなかなか衰えない。トルクのツキが良いためアクセルを踏み直した時の反応も鋭く、小気味良い走りを楽しめる。さすがに急な勾配ではパワーもATの段数ももっとあればありがたいと思ってしまうが、日常的な使い方ならば、「2.0」の必要性は感じないほどである。

さらに、積極的に「1.6」をこそ選びたいと思わせる要素もある。それはシャシの躾けだ。「2.0」よりタイヤが細く、またスポーツセッティングではない標準サスペンション仕様の「1.6」は、フォーカスらしい足さばきの剛性感は変わらないものの、ストローク感で確実に上回り、より快適なのである。

しかも、程良いロールスピードとあわせて荷重移動の具合が掴みやすいおかげでちょっと元気に走らせた時にも、タイヤのグリップをフルに使いきれそうなダイレクト感を味わえる。

ステアリングの手応えもライブ感に富んでいて、走りの一体感はとても高い。この点では、あるいはセグメント随一とも評価できるかもしれない。

唯一、気になったのは車内騒音の大きさだ。具体的にはゴーッというロードノイズが終始足下から入ってきて、しかも反響してこもってしまうのだ。エンジン音などはよく抑えられているが、それがかえって下回りからの音を強調してしまっている感もある。走りのクオリティは高いだけに、ここがとても惜しく感じられた。

そんなわけで、このフォーカス1.6、走りの実力は相当高いというのが結論である。都市部では持て余す全幅、先代ほどのキレのないスタイリングなど細かな不満もあるが、完成度はおしなべて高い。これで220万円は、「2.0」の270万円よりリーズナブルと言えるのではないだろうか。

さて、問題はなぜこれだけの実力をもったフォーカスが、日本で地味な存在に甘んじているのかということだ。よく言われるブランドの弱さが本当の原因だとしても、それが言われてもう何年にもなる。そろそろフォードジャパンは本腰を入れてこの問題に取り組むべきではないか。より思い切った価格戦略でもいいし、まず輸入車好きの心を掴むべく、素のMT仕様を入れるというのもアリだろう。とにかく、クルマの出来が悪くないだけに、その辺りが改めて歯痒く感じられてしまったのである。(文:島下泰久/Motor Magazine 2006年1月号より)



フォード フォーカス1.6(2005年)主要諸元
●全長×全幅×全高:4350×1840×1485mm
●ホイールベース:2640mm
●車両重量:1270kg
●エンジン:直4DOHC
●排気量:1595cc
●最高出力:100ps/6000rpm
●最大トルク:150Nm/4000rpm
●トランスミッション:4速AT
●駆動方式:FF
●車両価格:220万円

[ アルバム : フォード フォーカス1.6(2005年) はオリジナルサイトでご覧ください ]

こんな記事も読まれています

BMW『5シリーズ・ツーリング』新型にPHEV、EVモード95km…今夏欧州設定へ
BMW『5シリーズ・ツーリング』新型にPHEV、EVモード95km…今夏欧州設定へ
レスポンス
ベルトーネが創立110周年にハイパーカーを引っ提げて華麗に復活! 6月9日に公開される「GB110」とは
ベルトーネが創立110周年にハイパーカーを引っ提げて華麗に復活! 6月9日に公開される「GB110」とは
WEB CARTOP
スズキ、「アルト」のブレーキで不適切行為が判明 性能は問題なしと確認済み
スズキ、「アルト」のブレーキで不適切行為が判明 性能は問題なしと確認済み
日刊自動車新聞
贅の極みはLSかセンチュリーかLMか……グランエースもある! 国産車の後席でもっとも快適なのはドレなのか4台を比較してみた
贅の極みはLSかセンチュリーかLMか……グランエースもある! 国産車の後席でもっとも快適なのはドレなのか4台を比較してみた
WEB CARTOP
【スーパーGT】性能調整がフェアじゃない! 元F1ドライバーから不満あがるほどのパフォーマンス見せる2号車muta。速さの秘訣はクルマづくりの緻密さか
【スーパーGT】性能調整がフェアじゃない! 元F1ドライバーから不満あがるほどのパフォーマンス見せる2号車muta。速さの秘訣はクルマづくりの緻密さか
motorsport.com 日本版
スバルが新型「WRX tS」初公開! オシャブルー内装&ワイドボディ採用!? 2024年後半に米国で発売へ
スバルが新型「WRX tS」初公開! オシャブルー内装&ワイドボディ採用!? 2024年後半に米国で発売へ
くるまのニュース
EcoFlowが自動車のオルタネーターの余剰電力を利用し1.3時間で1000Wh充電できる走行充電器「Alternator Charger」を発売
EcoFlowが自動車のオルタネーターの余剰電力を利用し1.3時間で1000Wh充電できる走行充電器「Alternator Charger」を発売
@DIME
【スクープ】アストンマーティンのV12搭載新型スーパースポーツに「ヴァンキッシュ」の名前が6年ぶり復活へ!
【スクープ】アストンマーティンのV12搭載新型スーパースポーツに「ヴァンキッシュ」の名前が6年ぶり復活へ!
LE VOLANT CARSMEET WEB
【MotoGP】クアルタラロ、イタリア決勝で大苦戦18位。ヤマハのアップデートで好転の兆し見せるも“フィジカル”への負担が問題に
【MotoGP】クアルタラロ、イタリア決勝で大苦戦18位。ヤマハのアップデートで好転の兆し見せるも“フィジカル”への負担が問題に
motorsport.com 日本版
ポルシェ『911カレラ』改良新型…空力と動力性能を向上させるデザイン[詳細画像]
ポルシェ『911カレラ』改良新型…空力と動力性能を向上させるデザイン[詳細画像]
レスポンス
ヤマハ発動機が発表した不適切行為の該当車種一覧
ヤマハ発動機が発表した不適切行為の該当車種一覧
日刊自動車新聞
ポルシェ新型911 ついにハイブリッド登場 カレラGTS T-ハイブリッド【公式動画】
ポルシェ新型911 ついにハイブリッド登場 カレラGTS T-ハイブリッド【公式動画】
Auto Prove
ホンダが発表した不適切行為の該当車種一覧
ホンダが発表した不適切行為の該当車種一覧
日刊自動車新聞
アウディのラスボス登場!? 『RS Q8』改良新型、ド迫力フェイスでニュル激走
アウディのラスボス登場!? 『RS Q8』改良新型、ド迫力フェイスでニュル激走
レスポンス
汚れも気にせず愛犬がリラックスできる広い車内 トヨタ ハイエースがベースのキャンパー
汚れも気にせず愛犬がリラックスできる広い車内 トヨタ ハイエースがベースのキャンパー
月刊自家用車WEB
日産「新キャラバン」発表! “お手軽”「車中泊」仕様が超スゴイ! アンダー380万円で買える「マルチベッド」とは
日産「新キャラバン」発表! “お手軽”「車中泊」仕様が超スゴイ! アンダー380万円で買える「マルチベッド」とは
くるまのニュース
堂々たる体躯がユーザーを魅了! トヨタ三代目「ソアラ2.5GTツインターボL」とは
堂々たる体躯がユーザーを魅了! トヨタ三代目「ソアラ2.5GTツインターボL」とは
バイクのニュース
出入りしやすく進化!Bears Rock のソロテント「ハヤブサテント」がリニューアル
出入りしやすく進化!Bears Rock のソロテント「ハヤブサテント」がリニューアル
バイクブロス

みんなのコメント

2件
  • 初代の方がカッコ良かった、特に後ろ斜め45度
  • 故障しにくい国産車がいろいろ選べる日本でわざわざディーラーも少なくメリットのないフォーカスを買う理由もなかったというだけのことです。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

307.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

49.0149.0万円

中古車を検索
フォーカス (ハッチバック)の車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

307.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

49.0149.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村