ポルシェ。古くは有名な歌謡曲にも車名が登場し、輸入車の中でも非常に名の通った存在だ。ぜひ一度は乗ってみたいものだが、問題は価格の高さ。しかし全く手が届かないほどの存在だろうか!? ここではミドシップポルシェに的を絞って検証してみよう。
※本稿は2023年7月のものです
文/伊達軍曹、写真/ベストカー編集部 ほか
初出:『ベストカー』2023年8月10日号
ポルシェ乗らずに運転卒業もったいない!? 比較的お手頃なミドシップポルシェを中古で狙う!!
■決してエントリーモデルというだけではない存在
こちらは2代目ポルシェ ケイマン。水平対向6気筒エンジンをミドに搭載する2シータークーペだ
リアエンジン・リアドライブで始まったポルシェの歴史ではあるが、1996年に登場した初代ボクスター以来、ミドシップレイアウトのモデルも常時ラインナップされるようになっている。
911と比べると「エントリーモデル」として扱われがちなボクスター/ケイマンがそれであり、実際にそういった側面もあるにはあるが、ボクスターとケイマンは911と比べて「明確に格下」というわけでもない。
また物理法則に基づく運動性能という面では、RRの911よりも、むしろMRのボクスター/ケイマンのほうが優れている……という見方もできる。
とはいえ、現行世代のミドシップポルシェである718ボクスターと718ケイマンは下記のとおりけっこうなお値段であり、1つ世代を落としても、決して「お手頃価格」とは言えない水準にある。そんななかで狙うべきミドシップポルシェは、どの世代のどのグレードなのか? 詳しく検討してみよう。
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■718系の新車はどうなんだ?
写真は718ボクスター。乗り出し価格は約1000万円。車両価格840万円にプラスして少々のオプション装備を付けた総額は意外と高い
2016年のマイナーチェンジでMRクーペのケイマンは「718ケイマン」となり、MRオープンのボクスターも「718ボクスター」という車名に変更された。
で、それらの新車を買うとなると、718ボクスターの一番安いやつが車両価格840万円で、718ケイマンでも840万円。オプション装備と諸費用を合わせれば、乗り出し価格は1000万円弱ぐらいになる……ちょっと手が出ない水準である。
■1世代前の中古車ならイケるか?
こちらは2代目のケイマン。良質な中古車を探そうとすると、なんだかんだで総額は600万円を軽く超える
「718」になる寸前のボクスター/ケイマンであれば、つまり3代目ボクスターや2代目ケイマンの2014~2016年式あたりの中古車なら比較的安く買えるかというと……まぁ走行10万kmを超えているような個体であれば、車両360万円くらいから狙えないこともない。
しかし「走行3万km台までで修復歴のない物件」になると、安いモノでも中古車価格は500万円を超える。中心となるのは600万円台だ。
■もう少し前の世代ならば価格は意外と現実的!
前項にて「718に変わる直前の中古車でも車両価格は500万円を超える」という意味のことを述べた。
しかしもう少しだけ世代をさかのぼれば……といっても最初期世代までさかのぼるわけではなく、もう少し年式を落とせば……ミドシップ2シーターポルシェであるボクスター/ケイマンは「かなり現実的な選択」になってくる。
具体的には、固定屋根を持つミドシップ2シータークーペであるケイマンの場合は、初代の後期型に注目したい。
2005~2008年の前期型は、さすがに今や古さを感じさせる。しかし新開発エンジンとPDK(デュアルクラッチトランスミッション)を採用し、同時にエクステリアデザインも変更した2008年11月以降の後期型であれば、走行性能的にもビジュアル面でもいまだ戦闘力は高い。
それでいて中古車価格は300万円台でも普通にOKという、ちょうどいい選択肢なのだ。
現行世代の718系では「ゴージャスなボクスターとスポーティなケイマン」という感じでキャラが変更されたが、この世代では両者のキャラは(屋根以外は)おおむね同じであるため、ボクスターにおいても狙い目は「2代目の後期型」になる。中古車価格も、同条件のケイマンとおおむね同程度だ。
■現実的選択肢その1……初代ポルシェ ケイマン
初代ポルシェ ケイマン 2005~2012年
2代目ボクスターのクーペ版として2005年8月に登場。前期型ベースグレードは2.7L、ケイマンSは3.4Lの水平対向6気筒エンジンを搭載した。ミッションは5速MTと5速のティプトロで登場し、2008年11月のマイナーチェンジ時に「PDK」を採用。
前期型ティプトロニックSは200万円台でイケるが、今や見た目的にいささか古く、中古車としての信頼性が微妙な部分もなくはないため、シュッとした後期型を選びたい。6速MTでもいいのだが流通量が少ない。実質的には後期PDKの一択となるだろう。ケイマンSでも価格は大きくは変わらない。
●新古車価格
・前期型ケイマン 6MT:240万~430万円
・前期型ケイマン ティプトロニックS:210万~290万円
・後期型ケイマン 6MT:320万~400万円
・後期型ケイマン PDK:270万~430万円
●ローン試算(2009年式ケイマンPDK)
・車両価格:3,600,000円
・頭金:1,000,000円
・支払回数:72回
・金利:1.9%
・ボーナス月加算:0円
・毎月支払額:38,237円
●狙い目:後期型ケイマン PDK
■現実的選択肢その2……初代ポルシェ ボクスター
初代ポルシェ ボクスター 1996~2004年
1996年10月に登場した2シーターオープン。当初のベースグレードは2.5Lの水平対向6気筒を搭載したが、1999年10月に2.7Lに拡大。またそのタイミングで3.2Lの「ボクスターS」も追加された。ミッションはティプトロニックSのほか、ベースグレードは5速MT、ボクスターSには6速MTが用意された。
2.5Lの軽快感も素敵だが、今や古いため選択肢は1999年10月以降の2.7LベースグレードまたはボクスターSになる。ティプトロニックSでもいいが、MT車の流通量もそこそこあり、ティプトロとの価格差も大きくはないため、ここはMTを狙いたい!
●新古車価格
・前期型ボクスター 5MT:120万~170万円
・前期型ボクスター ティプトロニックS:100万~170万円
・後期型ボクスター 5MT:160万~260万円
・後期型ボクスター ティプトロニックS:100万~220万円
●ローン試算(2003年式ボクスターディプトロニックS)
・車両価格:1,800,000円
・頭金:300,000円
・支払回数:60回
・金利:1.9%
・ボーナス月加算:0円
・毎月支払額:26,226円
●狙い目:後期型ボクスター 5MT
■現実的選択肢その3……2代目ポルシェ ボクスター
2代目ポルシェ ボクスター 2004~2012年
初代ケイマンよりひと足早く登場した2代目のボクスター。ベースグレードの「ボクスター」は2.7L、「ボクスターS」は当初3.2Lの水平対向6気筒エンジンを搭載し、途中から3.4Lに拡大。そしてケイマンと同タイミングでマイナーチェンジが実施されて3.4Lエンジンが直噴となり、ATは7速PDKに進化。
こちらも初代ケイマンとおおむね同様の理由により、狙い目は後期型PDKということになる。その際の車両価格は「350万円くらい」というのが目安となるはず。「できれば6速MTの物件を探したい」という気持ちもあるかもしれないが、残念ながら後期ボクスターのMT車は流通量が極端に少ない。
●新古車価格
・前期型ボクスター 6MT:230万~390万円
・前期型ボクスター ティプトロニックS:200万~320万円
・後期型ボクスター 6MT:330万~410万円
・後期型ボクスター PDK:240万~400万円
●ローン試算(2011年式ボクスターPDK)
・車両価格:3,600,000円
・頭金:600,000円
・支払回数:84回
・金利:1.9%
・ボーナス月加算:0円
・毎月支払額:38,170円
●狙い目:後期型ボクスター PDK
【番外コラム01】ポルシェを「青空駐車」にしても特に問題はないのか?
屋根付き車庫に置くのがもちろんベストではある。青空駐車をする場合はこまめにケアをしてあげたい
最新世代の911GT3 RSや、今や超絶希少価値を発揮しているナローポルシェ(初代911)などを青空駐車する人はいないと思うし、現行世代の普通の911カレラなども、青空駐車には心理的な抵抗を強く覚えるだろう。
だがそれ以外のポルシェであれば、青空駐車であっても特に問題はなく、実際、筆者の自宅近隣ではマカンなどがわりと普通に青空駐車されている。
もちろん治安が悪いエリアでは決しておすすめできないし、普通のポルシェであっても「心理的な抵抗感」はあると思う。
だがポルシェだからといって塗装が弱いわけではなく(むしろ強い)、必ずイタズラされるわけでもない。サンシェードで内装を守り、できればボディカバーも使うようにすれば、基本的には問題ない。
【番外コラム02】往年の「FRポルシェ」は今どうなっているのか?
こちらはポルシェ928。現在、走行少なめのワンオーナー車には700万円以上の値札が!
さすがに924は激少だが、それ以外のFRポルシェはそこそこ流通しており、中古車価格も意外と高い模様。944ターボは300万円以上、928は400万円以上だ。地味に盛り上がってる!
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