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“俺たちのホンダ”は復活するのか? 元ホンダ開発者語る鍵は「新しさ」と「挑戦」

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“俺たちのホンダ”は復活するのか? 元ホンダ開発者語る鍵は「新しさ」と「挑戦」

 ホンダは、2017年上半期の世界生産台数で2年連続となる過去最高を更新。販売面では、決して不安があるわけではない。ただ、今や人気モデルの大半は軽とミニバンとなり、F1では苦戦が続く。ホンダには「スポーツのHONDA」、「革新性のHONDA」というイメージが根強い。だからこそ、多くのファンを惹きつけてきた。“俺たちのホンダ”は、どうすれば復活するのか? CR-Xデルソルなどの開発責任者を務めたホンダの元開発者が語る。

文:繁浩太郎(元ホンダ開発者)/写真:HONDA
ベストカー2017年11月26号

トランプ大統領は前後で異なるナンバーでOK!! その法的根拠とはいったい?

「いい商品」ではなく「魅力的な商品」も必要

 ホンダの業績は大変よく、4輪車では2016年度の世界販売台数が歴代最高記録(500万台超え)を更新していますし、もちろん売上、収益なども含めて優秀な成長企業です。

 国内マーケットは縮小方向にあり、元来ホンダのなかでの事業影響は比較的小さく、北米マーケット、中国を中心とした新興国マーケットのほうがはるかに大切です。

 そうは言ってもホンダの本拠地の国内4輪で、近頃元気がないと言われて寂しいかぎりです。国内販売100万台計画の取り下げ、象徴的なF1の不振、フィットのリコール、何より時代をリードしたユーザーをいい意味で驚かせるような商品がないなど、さまざまあります。

 さて、ホンダが再び元気に復活するキーポイントは何でしょうか?

 ホンダブランドの真価は、次々と新しいモノやコトでユーザーや世間を驚かせ楽しませてくれることにあります。商品でいうと、「いい商品」だけではダメで、「魅力的な商品」が出ないとダメなのです。これがユーザーの期待レベルでもあると思います。

海外向けの車を売ってもユーザーはピンと来ない

米国の新興メーカー、レスヴァニ・モータースが発表した新型SUV「タンク」

「魅力的な商品」ってなんでしょうか? 車のデザインで話したいと思います。

 多くのメーカーは「美しい流麗なスタイルを目指した車」を多く作ってきています。北米や中国を中心とした新興国では、まだまだこういう価値観なのでしょう。

 しかし、日本のユーザーにとっては、「美しい流麗なスタイル」を目指しても、近づくだけで当然フェラーリの流麗さにはかなわず、いいと思っても乗降時に頭を打ったりしてがっかりしたり、また、何だかそういうデザインに飽きてきたという感じではないでしょうか。

 そんななか、グレイス、ジェイド、シビックのように、他地域向けの商品を日本で発売しても、ユーザーはピンと来ないと思うのです。

 何か、違った新しい形を求めているように思います。

 ホンダがそういう新しい形を提案できれば、魅力的にみえユーザーはきっと喜ぶと思います。私が、楽しそうと思ったり、新鮮な感覚を感じたデザインとしては、トヨタの「FJクルーザー」や、スズキの「ハスラー」などです。

 最近、米国のレスヴァニというメーカーが、ハイテクマッチョなSUV『タンク』という車を発表しましたが、これは「美しい流麗なスタイルを目指した車」とは正反対で、それが新鮮です。このように、今までの車のヒエラルキー上にない車が魅力的になり始めています。

 まとまった販売台数が期待できないからダメと判断されるのでしょうが、今はネット社会でもありユーザーは多様化しています。昔のように誰もがマークIIを買う時代ではないのです。

「何もしないことを恐れろ」創業者の言葉にヒント

次期S2000予想CG。新しくてチャレンジングな車を、手が届く価格で。そんなホンダらしさをファンは期待している

 また、燃費や安全技術などの性能差はユーザーにとってわかりにくく、メーカー間の違いにはなりにくいです。やはり、新しい基軸の商品が、魅力的な商品の必要条件となると思います。

 従業員のモチベーションは企業の根幹といわれています。魅力的商品の創造には、従業員のモチベーションは非常に大切で必要です。

「百のうち九十九は失敗」、「チャレンジして失敗を恐れるよりも、何もしないことを恐れろ」。本田宗一郎の残した言葉です。普遍的なことは時代の変化に関係ありません。

 復活のキーは、新約聖書の「与えよ、さらば与えられん」(従業員に任せて、チャレンジしてもらう)です。

◆  ◆  ◆

繁浩太郎
1979年に本田技術研究所入社。1992年発売のCR-Xデルソルを筆頭に軽自動車ではライフやザッツ等の開発責任者(LPL)を務めた。2013年に退職。以後、自動車ジャーナリストとしても活動し、ベストカーなどに寄稿。

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