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50年後に価値上昇のモデルは? 中編 知る人ぞ知る魅力:アルピーヌA110 先見の明:BMW i3

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50年後に価値上昇のモデルは? 中編 知る人ぞ知る魅力:アルピーヌA110 先見の明:BMW i3

目の肥えたクルマ好きのためのアルピーヌ

今回の審査では、最終的な5台の選出にかなり悩んだ。多くの議論も重ねた。だが、アルピーヌA110は別格。運転したことのない審査員ですら、50年後のクラシックカーとしての可能性を評価していた。運転したことのある審査員は、確信を持っていた。

【画像】50年後に価値上昇のモデルは? アルピーヌA110とBMW i3 全70枚

アルピーヌA110は、とても貴重で特別だ。目の肥えたクルマ好きのための、コンパクトな2シーター・スポーツカーといえ、スタイリングも美しい。

上品なレトロさがあり、走りを期待させるように低く小柄。多くがアグレッシブさを強め、空力的な付加物を増やす現代にあって、純粋にフォルムが綺麗に見える。

ここ10年の間に登場したスポーツカーとして、A110は最も高く評価され、影響力を持った1台だといえる。マツダMX-5(ロードスター)やポルシェ911も、最後の5台に残ることはできなかった。

控えめな最高出力だけでなく、商業的な不振にも、疑問を感じなくはない。アウディやBMW、ポルシェから、顧客を引っ張ってくることは簡単ではない。2017年、アルピーヌが22年ぶりに帰ってきた時には、ブランドの認知度はだいぶ薄れていた。

復活を強く望む潜在的な購買層も、多くはなかったのだろう。だが、知る人ぞ知るブランドでもあった。自動車評論家からの称賛は、他に例がないほど高いものだった。50年後にも秀でた評価を得ることは、間違いないと思う。

ロータスに通じるDNAを感じ取れる

A110のバックグラウンドと、2024年に生産終了予定という事実も、今後の価値をしっかり支えるはず。

復活したアルピーヌは、ルノーとケータハムによる合弁事業だった。マレーシアの投資家、トニー・フェルナンデス氏の資金も投じられた。過去には、F1チームのロータス・レーシング(現:ケータハムF1)のオーナーだったこともある人物だ。

アルピーヌを運転すれば、ロータスに通じるDNAを感じ取ることができる。コンパクトなアルミニウム製のタブシャシーには、4気筒エンジンがミドシップされている。速いだけでなく、類まれな軽さも兼ね備えている。

小さなボディサイズは、英国郊外の狭い一般道にもフィットする。ストロークの長い、ダブルウィッシュボーン・サスペンションも同様だ。テーラーメイドのフレンチ・ファッションで身を包んだ、ブリティッシュ・スポーツカーともいえるだろう。

軽量なシャシーの能力を公道で開放するのに、不足ない動力性能を得ているが、近年の高性能モデルのようなやり過ぎ感はない。より大きくパワフルなクルマでは得難い、生き生きとしたドライビング体験を与えてくれる。実用性も備える。

数年後には、アルピーヌは純EVブランドへシフトしてしまう。内燃エンジンを積んだA110も、絶たれる。

多くの絶賛を集めながら、期待ほど売れなかったA110。多くのドライバーにとっては、現実味のない存在かもしれない。しかし、その深い味わいを知る少数のオーナーは、その将来性も理解しているに違いない。

アルピーヌA110 リネージGT(英国仕様)のスペック

英国価格:6万1655ポンド(約1029万円)
全長:4205mm
全幅:1800mm
全高:1250mm
最高速度:249km/h
0-100km/h加速:4.4秒
燃費:14.3km/L
CO2排出量:153-158g/km
車両重量:1134kg
パワートレイン:直列4気筒1798ccターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:292ps/6400rpm
最大トルク:32.5kg-m/2000-6400rpm
ギアボックス:7速デュアルクラッチ・オートマティック

時代を先取りしすぎた:BMW i3

BMW i3の技術を、他メーカーが利用したいと申し出なかったことが、不思議でならない。革新的といえるコンパクトカーは、2022年に生産を終える。クラシックカーとして評価を高める可能性は、小さくない。

今回の選考対象で、純EVだったのはポルシェ・タイカンとi3の2台だけだった。最終的に5台のなかに選ばれ、筆者としてはうれしい。内燃エンジン以降の世界の自動車も、退屈ではないと考えられるからだ。

クルマ好きの間でi3を話題に持ち出すと、大抵の場合、時代を先取りしすぎたクルマだったという答えになるのではないだろうか。登場は2013年で、日産リーフのようなクルマが10年後に一般化するとは、考えることすら難しい時代だった。

彼らの意見は正しい。だが、BMWの答えも間違いではなかった。

BMWは純EVに特化したサブブランド、「i」を生み出した。これまでのクルマに対する先入観の更新に挑み、技術的な可能性を指し示した。少人数だったとしても、先見の明を持つアーリーアダプターのために。

i3は、iブランドの最初のモデルだ。改めて確認してみると、カーボンファイバーより安価で量産に適したシャシーと、281kmより長い航続距離を備えていれば、新モデルとして紹介できそうな内容だとわかる。

10年近くも前に、BMWはこのクルマを完成させた。その仕事は、素晴らしいものだったといわざるを得ない。

未来的な見た目で、本当に運転が楽しい

i3は、大量生産を意図したものではなかったかもしれない。だが、発売時点での完成度は非常に高かった。技術的な挑戦も、小さなものではなかった。

ルノーがコンパクトな純EVを最初に開発した時は、クリオのパワートレインを載せ替え、オリジナルのボディパネルで包んだ。しかし、BMWはまったく新しいコンパクトカーを、ゼロから設計している。

駆動用バッテリーで増える車重を相殺するため、シャシーは軽いカーボンファイバーで作られている。市街地での運転のしやすさを考え、車高や窓の高さ、着座位置が決められている。

市街地など低速域での取り回しや敏捷性を高めるため、一般的なコンパクトカーよりボディサイズは小さい。それでいて、狭いもののリアシートが備わり、観音開きのドアによって乗降性も確保されている。

リサイクル素材と、高水準のインフォテインメント・システムを備えたインテリアは、とても雰囲気がいい。動力性能も高く、操縦性にも優れている。正直にいって、i3は本当に運転が楽しい。

スタイリングも特長の1つだろう。未来的で純EVらしいものの、実現されたことに驚くような個性で溢れている。BMW i3が50年後にクラシックカーとして評価されていなければ、逆に未来を問いただしてみたいとすら思う。

BMW i3(英国仕様)のスペック

価格:3万4750ポンド(580万円)
全長:4011mm
全幅:1775mm
全高:1578mm
最高速度:159km/h
0-100km/h加速:6.9秒
航続距離:281km
CO2排出量:−
車両重量:1290kg
パワートレイン:AC同期モーター
バッテリー:42kWh
最高出力:183ps
最大トルク:27.4kg-m
ギアボックス:シングルスピード・ダイレクトドライブ

この続きは後編にて。

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みんなのコメント

10件
  • i3って50年後残ってるかなぁ?外観だけで中身別物なら可能性あるかもだが。フェラーリF40は動態保存できてもポルシェ959は難しい、みたいな問題が起こるんじゃないかなぁ。
  • 50年後は知らんけど、5年後に価値が上がりそうな車というと、個人的にはマセラティのグランツーリスモあたりと、アストンのDB9(初期、中期)あたりかな。すでにネオクラシックみたいな雰囲気出しているし、名門ブランドで生産数も少ない。アルピーヌは微妙。むしろロータスエリーゼのトヨタのエンジンに変わる前くらいのやつは上がりそう。
    逆にベントレーのコンチネンタルGTの現行型あたりはそのうち暴落しそう・・すげえ増えているし、最近見飽きた。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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