この記事をまとめると
■マクラーレンのハイパーGT「スピードテール」を紹介
レーシングドライバーでも操れない! 運転が難しすぎる市販車3選
■リヤのデザインはロングテールモデルを彷彿とさせる
■F1と同じ3シーターでハイブリッドシステムの全体出力は1070馬力を発生
かつてのF1と同じでドライバーは中央に座る
イギリスのマクラーレンオートモーティブが、限定生産を前提に究極のモデルをプロデュースする。それがその名のとおり同社の「アルティメットシリーズ」だ。
かつてはこのアルティメットシリーズを頂点に、スーパーシリーズ、スポーツシリーズ、そしてGTと、マクラーレンのプロダクトポートフォリオは構成されていたが、今後はそのように明確な差別化は行われないようだ。
ちなみに今回紹介するスピードテールは、「アルティメットシリーズに加わった究極にして最新のモデル。サイエンスとしてのアートと、アートとしてのサイエンスの融合をコンセプトとする一台」と紹介されていた。
スピードテールの開発プロジェクトが、「BP23」の社内コードで存在していることが初めて明らかにされたのは、2013年のジュネーブショーで、アルティメットシリーズのファーストモデル「P1」を発表した直後に開催されたディナーの席でのことだった。
それはかつての「F1」ロードカーと同様に、ドライバーを車体のセンターに配置する3シーターのモデルであり、P1とは異なるハイパーGTとして誕生するものであることがここで説明された。
途中、コロナ渦の影響で生産ラインが一時停止するなどのアクシデントはあったものの、それでもマクラーレンはスピードテールの開発を最小の遅れで進行。2020年には日本でもそのお披露目が行われたのは記憶に新しいところだ。
空力を考えたロングテールが特徴
スピードテールが最大の特長とするのは、やはりその伸びやかで高性能なボディデザインだろう。すべてのものに理由があるという、マクラーレンの設計理念はもちろんこのスピードテールのデザインにも継承されており、それは5137mmという全長に対して非常に長くデザインされたリヤエンドのデザインにも表れている。
かつてル・マン24時間レースを制したロングテールモデル、あるいは数々の速度記録挑戦車、それらがエアロダイナミクスを向上させるために採用したロングテールを、マクラーレンはこのスピードテールで再現してみせたのだ。
フロントホイールを覆うスタティックエアロカバーや、リヤカウルの後端左右に設けられたアクティブフルエルロンも、マクラーレンがスピードテールに与えた斬新なエアロデバイスの例。前者はホイールの回転で生じる乱流を整え、それをボディサイドに美しく流し、また後者は航空機の世界でもすでに実験段階にあるFlex Foilと同様に、継ぎ目のない湾曲した翼面を作ることを可能とするもの。
素材自身の変形によってダウンフォースを得ることができるこのシステムは、これまでの機械式可変ウイングなどのように作動のためのモーターなどの重量物を必要とせず、かつ翼面(テール部)に無駄なスペースを残すことなく、効率的にダウンフォースを得ることができる。
ミッドに搭載されるパワーユニットは、4リッターのV型8気筒ツインターボで最高出力は757馬力。このエンジンと7速DCTとの間に313馬力を発揮するエレクトリックモーターが挟み込まれ、システム全体の最高出力は1070馬力に達する。加速性能は0-300km/hで13秒ジャスト。300km/hの壁を越えてもその加速は力強さを衰えさせることはなく、最終的に最高速の403km/hまでそれは続く。
あのF1ロードカーと同様に、106台のみが限定生産されるというスピードテール。現地価格は175万ポンド(約3億2800万円)からと発表されたが、当然のことながらカスタマーの多くはここから、ビスポークプログラムにさらなる予算を投じることになるのだろう。
世界最速のハイパーGT、そのオーナーはすでにすべて決まり、デリバリーも順調に進んでいるようだ。
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