オートモビルカウンシル2024に出展された三菱の名車たち
本格的な悪路走破性を備える1トンピックアップトラック「トライトン」の日本再導入で、再び「四駆の三菱」として注目を集めている三菱自動車が、千葉県千葉市の幕張メッセで、2024年4月に開催されたヘリテージカーの展示イベント「オートモビルカウンシル2024」に出展し、往年の戦う4WD車たちを展示しました。
【画像】覚えてる!? パリダカやWRCで活躍した三菱のラリーカーを写真で見る(42枚)
今回の出展テーマは、「モータースポーツへの挑戦の歴史」とし、ダカールラリー参戦の礎となった初代パジェロの市販モデル、2002年のダカールラリーで総合優勝したパジェロ、1992年のWRCアイボリーコーストラリーで総合優勝を飾ったギャランVR-4、2001年にモンテカルロラリーにて優勝したランサーエボリューションVIなどを展示しました。
まずはブースを彩ったラリー参戦車を簡単に紹介しましょう。
2002年のダカールラリー総合優勝を飾ったパジェロは、増岡 浩選手がドライブ。同年のダカールラリーでは、市販車改造クラス(T2)に新たに「スーパープロダクション部門」を設定。同カテゴリーの車両は、車体のFIA公認が不要で、チューブラーフレーム構造も可能とするなど、大幅な改造が可能となったのが特徴でした。
三菱は、基本性能と信頼性の高いT2仕様をベースに、新カテゴリーで可能となった各部の改良を施したパジェロ・スーパープロダクション仕様の4台を投入し、篠塚健次郎選手、増岡浩選手、J・クラインシュミット選手、J-P・フォントネ選手がステアリングを握りました。その結果、全てが1位から4位までを同車が占めただけでなく、L200や他の仕様のパジェロも含めると、1位~8位までも三菱車で独占。さらに10位もパジェロが付けるなど、三菱が圧倒的な強さを示したラリーとなりました。
同ラリーは、増岡浩選手にとっては初の優勝であり、日本人のダカールラリー制覇は1997年の篠塚選手に次ぐ、二人目の快挙でした。
三菱といえば、WRCの活躍も忘れてはいけません。
1992年のWRCアイボリーコーストラリーで総合優勝を飾ったギャランVR-4は、2024年3月18日に死去された日本を代表するラリーストのひとり、篠塚健次郎選手がステアリングを握ったもの。ギャランVR-4は、1988年7月のWRCニュージーランドより投入。ギャランの日本人ドライバーとして、篠塚選手が参戦しました。
参戦体制が強化された1989年には、8月開催のフィンランド1000湖ラリーで、ミカエル・エリクソン選手が初の総合優勝。11月開催の英国RACラリーでも、ペンティ・アイリッカラが総合優勝し、4戦中2勝を果たし、そのポテンシャルの高さを示しました。
1991年シーズンでは、6月よりマイナーチェンジした市販モデルをベースとしたグループAギャランのエボリューションモデルを投入し、10月開催のラリーコートジボワールにて、篠塚選手が日本人初のWRC総合優勝を果たし、翌年も同ラリーで総合優勝を飾り、2連覇を果たしています。
平成の三菱自動車が生んだ伝説といえば、やはり、ランエボです。
勝利のために、積極的に最新技術を投入して進化し、性能を強化していく姿は、多くのクルマ好きを虜にしてきました。
展示された2001年モンテカルロラリーにて優勝したランサーエボリューションVIは、トミー・マキネン選手がドライブしたもの。
2000年のシーズン前半、三菱は市販車ベースですが、ライバル同様に骨格以外は別物のWRC競技クラス最上位となるWRカーの参戦を果たすべく、車両開発をスタート。超短期計画とし、実践投入は、翌年10月のイタリア・サンレモラリーに設定されました。
しかし、それは現行車でWRカー勢に挑むことを意味していました。そこで三菱は、2001年シーズン中のWRカー投入を条件に、本来、市販モデルベースの競技車には取り入れることができない改良をグループAランサーエボリューションに採用したいとFIAに申し入れました。
その改良が施したのが同車で、ファンの間では「エボ6.5」の愛称で親しまれました。WRカー規定を部分的に適用したマシンを駆り、マキネン選手は、モンテカルロラリー3連覇を果たすなど大活躍を見せ、見事、WRカーであるランサーエボリューションWRCへとバトンを渡しますが、このWRカーでは、同シーズンでは苦戦。それでもマキネン選手がドライバーズランキング3位を獲得できたのは、熟成されたグループAで熟成を図ったエボの最終形「エボ6.5」の活躍のおかげでした。
2009年にモータースポーツから撤退後も進化する三菱の4WD技術
世界的なラリーで輝かしい実績を持つ三菱ですが、なぜラリー参戦にこだわってきたのでしょうか。
三菱で長年、4WD開発に携わる澤瀬 薫さんは、「三菱自動車がラリーに挑むのは、クルマの性能を磨くことが目的です。パリダカでの活躍でパジェロの4WD性能の高さが有名になりましたが、三菱はFRのコルトで、1967年から国際ラリーに挑戦しています。その時代から様々なラリーに参戦することで、クルマの耐久性を評価する手段として活用していました。そこで発生した不具合を開発にフィードバックし、設計基準に落とし込んでいきました。だから、昔から、三菱の駆動系は丈夫だと言われてきました。だからこそ、時代の流れでラリー競技車が、走行性能が高い4WD車へと変化し出したときも、いち早く4WD研究開発に取り組むことが出来ました」と、ラリー参戦が、三菱4WDの歴史に大きく関与していることを指摘します。
ラリー参戦は、三菱自動車の市販車にどのような変化を生んだのでしょうか。
澤瀬さんは、センターデフ付き4WDシステムの普及が大きいといいます。当初のパジェロは、パートタイム式4WDと呼ばれる悪路走行など必要なシーンだけ4WDにするものでした。しかし、当時、ラリーの世界では、センターデフ式のフルタイム4WDが主力。初代パジェロのような直結式4WDでは、砂漠を疾走するようなシーンは良いのですが、曲がりくねった道のあるテクニカルセクションでは、曲がりにくいなどの悪影響がでてしまいます。
もちろん、WRCでは、タイトなターンが連続するので、コーナリング性能が重要となります。そこでセンターデフ付きのフルタイム4WDの開発が一気に進み、2代目パジェロよりセンターデフ付きの4WDシステム「スーパーセレクト4WD」が搭載されています。このスーパーセレクト4WDは進化し、第2世代となる「スーパーセレクト4WDII」に。最新のトライトンにも「スーパーセレクト4WDII」の進化版が搭載されています。もちろん、中身は大きく進化していますが、理想とする4WDの概念に違いはなく、その思想は今も受け継がれています。
※ ※ ※
近代三菱の4WDシステムの特徴といえば、ランエボシリーズで積極的に採用された電子制御技術があります。
これは安全性の向上が目的であり、三菱のクルマ作りの信念のひとつである「ドライバーの意のままに走れることが、一番の安全」という考えに基づいてたものだそう。そのため、4WDのデメリットを制御で解決し、ドライバーが想う通り操れるクルマに仕上げることで、ドライバーがミスを起こさないような運転環境を実現しているのです。
もちろん、これらはランエボが育んできたこともあり、速く走るための技術と受け止められていますが、高速域での安全性の確保は、日常運転の余裕に繋がるため、相乗的に安全なクルマ作りに繋がるとしています。
ただ三菱は、2009年にモータースポーツから撤退を決断。ラリーなどのモータースポーツでのクルマの磨き上げは行われなくなりましたが、その高い4WD技術が失われることなく、アウトランダーなどの電動4WDやトライトンのようなフルタイム4WDに受け継がれ、高い評価を受けています。
ギャランVR-4やランエボのように、WRCで大暴れした三菱の姿も見てみたいものですが、ピックアップトラックながら、SUVのような高い快適性と優れた悪路走破性を備える新型トライトンの登場は、パジェロ復活の期待を膨らませるばかりです。
またアウトランダーのような電動車でも自前の4WDの魅力を発揮しているだけに、これからも安全かつ走りの愉しい4WD車を送り出してくれることでしょう。
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