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エスクァイア生産終了公表!! 月販1000台でも消滅へ 進むトヨタの販売再編と競争激化!!

掲載 更新 17
エスクァイア生産終了公表!! 月販1000台でも消滅へ 進むトヨタの販売再編と競争激化!!

 5ナンバーミニバンとして人気を博した「エスクァイア」の生産が終了する。トヨタの公式サイトにて、「21年12月上旬をもって生産終了いたします。詳細はお近くの販売店にお問い合わせください。」という一文が掲示された(2021年9月19日確認)。エスクァイアの2021年1~8月累計販売台数は8983台。平均月販台数は1122.8台で、それなりにヒット車のまま生産終了となる。今回のエスクァイア終了情報と、トヨタの販売計画の行方を整理してお伝えしたい。

文/ベストカーWeb編集部
写真/TOYOTA

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■「大人のミニバン」、約7年で生産終了

 かねてから車種整理の対象になるといわれていたエスクァイアだが、このたびトヨタから今年(2021年)12月上旬で生産終了となることが正式に公表された。ノア/ヴォクシー/エスクァイア三兄弟は5ナンバーミニバンとしてこのジャンルを牽引するモデル。現行型登場から約7年となり、次期型の動向が注視されていた。ノア/ヴォクシー/エスクァイアの新型へのフルモデルチェンジは2022年春頃が有力とされていたが、エスクァイアについては、その約半年前のモデル終了発表ということになる。

トヨタ公式サイトにて公開。(突然中止されるとユーザーへの影響が大きいことがあるため)トヨタは比較的、こうした生産終了情報を公開していくメーカーだが(完全に終了するまで公表しないメーカーもある)、それでも終了3か月前の公表は珍しい

 エスクァイアは2014年10月、現行型ノア/ヴォクシーの兄弟車として(トヨタ店、トヨペット店の専売車として)発売された。デビュー当初の月販目標台数は4000台。

 比較的購買年齢層が高いトヨタ店、トヨペット店の専売車種として(ノア/ヴォクシーと比べて)「上質感」を前面に押し出し、ドアハンドルやバックドアにメッキ加飾、内装もインストルメントパネルからドアトリムにかけて合成皮革をあしらい、金属調加飾やステッチを採用するなど、豪華で大人なミニバンとしての演出が施された。

ノアやヴォクシーに比べると、高級感を前面に打ち出したエスクァイア

 順調な販売が続いていたが、トヨタは2020年5月から全国で(東京では先行して2019年4月から)チャンネル別販売制度を撤廃。これまでトヨタ店、トヨペット店、カローラ店、ネッツ店とそれぞれ主要購買層に合わせた専用販売車種を持っていたが、この時点からどのトヨタディーラーでもすべてのトヨタ車が購入可能となった。

 この改革により、それまでネッツ店でしか買えなかったヴォクシー、カローラ店でしか買えなかったノアが、トヨタ店でもトヨペット店でも購入可能となった(もちろんネッツ店でもカローラ店でもエスクァイアが購入可能となった)。

 これを契機にエスクァイアの販売は低下。それでも月販2000~3000台程度売れていたが、近年は1000台程度で落ち着いている。トヨタ以外の他メーカーであれば販売の中心的存在といえる販売台数ではあるが、トヨタにしてみればこのくらいの台数でも整理対象になるということのようだ。

エスクァイアの内装。合成皮革やステッチなど、高級志向の内装に仕立てられていた

 販売チャンネル制度が廃止となり、売れるクルマと売れないクルマの差が大きくなるなか、トヨタは長年続いていた「兄弟車種(いわゆる「バッジ違い同一車種」)」を徐々に廃止。2020年9月にはルーミーの兄弟車であるタンクが生産終了し、2021年にはプレミオとアリオンが両車種とも生産終了。今年から来年にかけてノア/ヴォクシー/エスクァイアも整理されると、あとはアルファード/ヴェルファイアが残ることになるが、こちらも2022年にはどちらから整理されるという情報が届いている。

[gallink]

■国内自動車販売の大きな変革の流れのなかで

 トヨタが国内販売車種数を大幅に削減する、というニュースは、2017年10月頃から報じられていた。その時点では(レクサス車を含めて)約60車種のラインアップを、2020年代中頃には半減して約30車種にするという内容であった。
 2021年9月時点でトヨタブランドの国内販売車種数は約36車種で、レクサスブランドは約10車種。合計46車種で、この先さらに再編は進むと見ていい。兄弟車の整理と、販売が伸びていないセダン分野や、あきらかに車種数が多いコンパクトカーやSUV分野で、整理される車種が出てくるだろう。

ヴェルファイアも車種整理対象と言われているが…こちらはどうなるか

 これまで、兄弟車を含めて、選べる車種数が豊富であり、最寄りのディーラーで(トヨタが用意している車種が)どれでも買えるという状況は、ユーザーにとってありがたいことだと言われていた。

 しかし全店舗全車種扱いとなったことで、現場のディーラー販売員への負担が増加。グレード構成やエンジン種類、複雑化する安全装備、駆動方式などが細かく違う約40車種を、来店者に合わせてすべての販売員がすべて細かく覚えておくことは難しく、タブレット端末の導入や説明の簡素化などで対応していたが、結果的に売れるクルマはより売れるように、売れないクルマはより売れなくなる傾向が強まっていった。
(「エスクァイアが欲しい」といって入店した客に対して、試乗車が用意できないため近隣ディーラーからヴォクシーを借りてきて「こちらで」と案内するケースもあるそう)

 日産やホンダの各店舗の取り扱い車種は(軽自動車を含めても)15~20車種ほどであり、メルセデスベンツやBMWは7車種ほどとなる。確かにトヨタの取り扱い車種は多すぎる。

 また、これは数字としてまだ表面化していないが、ディーラー間の競争が激化することで小店舗での細かい営業が難しくなる懸念もある。これまで地場経営による小さなディーラーが全国にたくさんあったが、全店舗全車種扱いとなり、さらに車種数も減っていけば、値引きや整備の面で大型店舗や大規模販売チェーンがより有利になる。大規模販売チェーンに再編されて生き残ることができればよいが、採算がよくない地域は「無ディーラー地帯」が増える可能性もある(ざっくり言えば、大手スーパーと地域商店街の関係と似た状況が、自動車販売現場でも進む可能性がある)。

 自動車販売現場にもデジタル化の波が押し寄せ、来店者や来店回数は減少傾向にある。購入前にいろいろな店舗へ、何度も来店するケースは減り、事前にWebサイトで情報を調べて、「決め打ち」で来店するユーザーが増えた。

 エスクァイアのような、かつての人気シリーズでも早々に生産終了を公表することは、こうした大きな国内販売改革の一端でもある。

 これから先の10年、日本自動車販売現場は大きな変革を遂げることになる。少子化が進み、国内経済が全体的に疲弊するなかで、生存競争はますます厳しくなってゆく。自動車は日本の基盤産業でもあることから、なるべくならユーザーにとっても、販売店にとっても、より多くの人にとってやさしい変化であることを願いたい。

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みんなのコメント

17件
  • ホンダや日産みたいに売れてたものを売れなくするより、スパッとやめるダイナミックさがトヨタにはある。
  • コストはかけられない。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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