現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 【クラシック オブ ザ デイ】打倒マツダ ロードスター! 日常的な実用性とオープンエア感覚を併せ持つボンドカー BMW Z3とは?

ここから本文です

【クラシック オブ ザ デイ】打倒マツダ ロードスター! 日常的な実用性とオープンエア感覚を併せ持つボンドカー BMW Z3とは?

掲載 3
【クラシック オブ ザ デイ】打倒マツダ ロードスター! 日常的な実用性とオープンエア感覚を併せ持つボンドカー BMW Z3とは?

ジェームズ・ボンドとともにスクリーンで活躍したロードスター。ジェームズ・ボンド・カーに憧れるなら、BMW Z3 1.8(1996年)に興味があるかもしれない。日常的な実用性とオープンエア感覚を併せ持つ、手頃なロードスター。クラシック オブ ザ デイ!

1990年代に小型の「マツダMX-5ロードスター」が成功を収めたことで、ドイツのメーカーも2シーターのオープンスポーツカーを提供するようになった。

【インスタグラム動画】ベルリンのど真ん中で盛大な炎を上げるランボルギーニ アヴェンタドール!いったい何が起きたのか?

メルセデスが1996年に「SLK」をサーキットに送り込んだのに対し、BMWは「Z3」を公道で、そして大きなスクリーンで公開した。ジェームズ・ボンド役のピアース ブロスナンは、『007 ゴールデンアイ』の中で、この小型ロードスターを駆って陽光降り注ぐキューバをクルージングした。完璧なプロダクトプレイスメントだ!

アメリカで製造された最初のBMW

バイエルンのロードスターは、スパータンバーグ(米国サウスカロライナ州、米国初のBMW生産拠点)の、当時真新しかった工場で、生産ラインからロールオフされた。ロングボンネット、ショートオーバーハング: Z3はソフトトップを備えたクラシックなロードスターである。サイドエアインテーク(機能なし)は「BMW 507」を彷彿とさせる。

華やかな「Z1(1989-1991)」と「Z8(2000-2003)」の間に位置する「Z3(ベーシックバージョンで43,700マーク=約355万円)」は、普通のクルマとしての役割を与えられ、成功を収めた。1996年当時、この妥協のない2シーターは46,000台以上を販売し、2002年までに合計280,000台近くの「Z3」が生産された。今日、市場には多くの「Z3」が出回っており、走行距離の長い巨人であれば、5,000ユーロ(約80万円)という低価格で提供されている。

どのエンジンを買うべきか?

エンジンは、115馬力の4気筒(1.8i)から、192馬力、後に231馬力の6気筒モデル(3.0i)まで、幅広く用意された。しかし、最もパワフルなバージョンでは、61,300マルク(約500万円)を支払う必要があった。よりパワフルなのは「M」モデルだけだった。タイトにカットされたインテリア、リアアクスルの近くに座ることで、ドライバーは道路との集中的なつながりを体験する。

ベーシックバージョンの115馬力は、ゆったりとしたクルージングには十分だ。初期モデルでは、ウィンドウシールのずさんな仕上がり(水漏れ)に悩まされ、乳白色のプラスチック製リアウィンドウ、ぐらつくシート、不安定なフロントアクスルには忍耐が必要だ。後者はダイナミックなドライビングには向いていない。

Z3は「トレーナー」として最も高価だった

Z3のクーペバージョンである"ターンシュー"は、当時物議を醸したが、今日では特に象徴的である。1998年当時でさえ、2.8リッターバージョンのシューティングブレークは、64,000マルク(約520万円)からと、決して安くはなかった。クーペは17,000台で、ロードスターの台数には遠く及ばなかった。

シャープな「M」バージョンと2.8リッター6気筒の他に、ルーフを持つこの2シーターには後に3リッターにボアアップされたエンジンも用意された。「Z3」は2002年7月に生産を終了し、後継モデルは「BMW Z4」となった。

大林晃平: BMW Z3はボンドカーの一台と言われてはいるものの・・・、長年のボンドオタクからすると、ちょっとそりゃあ違うんじゃないかな、と言うのが自説である。そもそもこのZ3がスクリーンに登場したピアース ブロスナン時代の007には、BMWが3台ボンドカーとして登場する。今回のZ3(ゴールデンアイ)、750iL(トゥモロー ネヴァーダイ)、Z8(ワールド イズ ナット イナッフ)の3作品で、妙に小難しく覚えにくい判別しにくいカタカナ表記の映画名であることが、007ファンには不評である(ピアースブロスナン時代の007映画そのものは、個人的に楽しくて好きである)。

当時はなんで英国MI-6のスパイのジェーム スボンドさんが、ドイツのバイエルン地方の自動車にわざわざ乗らなくっちゃいけないのよ、改造を施す(生粋のイギリス人の)MはBMWをばらしながら、ゲルマン民族はこんなけったいな設計しているのか、と不満の一つも述べているのではないか、と私も思ったものだが、そこはそれ、思い切り大人の事情だからやむを得ない。アルバートRブロッコリー プロデューサーだってそんなこと百も承知なはずである。(映画製作のEONプロダクションが、3本続けてBMWを劇中に登場させるという契約を交わしてしまったとのことである。この頃007映画も、興行成績などちょっとした苦境の時代ともいえるので、やむを得なかったのであろう。)

さてそんな3作品の中で、スティンガーミサイルを搭載し、なかなかの活動を見せるものの、あっけなく半分に切り刻まれて任務を終える「ワールド イズ ナット イナッフ」のZ8(実車が間に合わず、中身はシヴォレーのV8エンジンを乗せたクルマだったという)や、AIVISのレンタカーとして登場し(ハンブルグという場所で目立たないように移動するためにわざわざBMW 750iL……いう苦肉の設定だったのではないか、とは考えられる))、攻撃ガジェット満載の750からすると、はたしてこのZ3はボンドカーと言ってもよいのだろうかと思うほど活躍が少ない。

ゴールデンアイの中での登場シーンは2か所。確かにMのラボラトリーで一応ミサイルなどの改造を施されているシーンはあるし、ボンドカーを綿密に取り上げた解説本には、ミサイルのほかにもパラシュートブレーキや自爆装置なども装備されている、はず(と多くの「007解説書」には書いてある)が、どの装備も一切使われないまま瞬間芸ともいえる登場でZ3のシーンはオシマイ。

フロリダ(撮影はプエルトリコで行われ、ちゃんと顔が映るように本革シートの上に厚いバスタオルをひいて座るボンドガールを演じたイザベラ スコルプコの撮影ショットが有名)で、旧知のCIA友人であるフェリックス ライターからセスナを受け取るシーンに、単なる移動用のアシ車として登場しただけでZ3はスクリーンから消える。えっ? もういっちゃうの? Mが用意して解説してくれた装備はどうするの? Z3はまた後で出てくるのかもなぁ、という淡い期待を裏切って、Z3は銀幕の向こうに去って行ってしまう。

せっかくZ3がボンドカーとして登場すると聞き、どんな活躍をしてくれるのかと期待していたのに、最後はボンドから受け取ったZ3をちょっとだけドリフトさせ、嬉しそうにカウンターステアを当てながら走り去っていくライター・・・。これでZ3はもうボンド映画には戻ってこない。通算で2分ほどの「友情出演」だろうか・・・。そんな扱われ方をしたZ3ではあるが、これで未来永劫、ボンドカーの一台として仲間入りさせてもらえ、堂々と解説本などで紹介されるのであれば・・・、よかったのか・・・、な。

そんなZ3ではあるがゴールデンアイが公開された1995年の12月、アメリカの超高級デパートだったニーマンマーカスが、クリスマススペシャルカタログの中で「Z3 007スペシャルエディション」を100台限定販売している。ニーマンマーカスといえば、クリスマスカタログの中に、突拍子もないほどの高額クリスマスプレゼントを用意するのが有名で、以前にはプライベート潜水艦や、ヘリコプターなども掲載し話題となっていた。

そんなニーマンマーカス クリスマスカタログ1995年版の目玉になったのが、「Z3 007スペシャルエディション」であった。その内容としては映画と同じアトランタブルー(カラーコード番号306)に塗られ、映画で登場したのと同じビスケット色の本革シートとソフトトップを装備。ほかに特別装備としてはウッドのステアリングとシフトレバーもあったが、実はゴールデンアイに登場していたZ3にはこれらの装備はされていないので、ここだけはピュアなファンには「映画と違うじゃん」と不評であった。

ほかにも「007」の刺繍が入ったフロアマットと、専用ラゲッジ類が付属し、100台が用意されたこのスペシャルエディションはアメリカだけで販売されたが完売。アメリカって、やっぱり豊かで広い国だなぁ、とあらためて痛感したエピソードであった。なお蛇足までにこの「007スペシャルエディション」、今でもたまにアメリカの中古車サイトで見かけることがあり、だいたい2万ドル程度(300万円前後)で取引されているようである。

そんなZ3のデザイナーは日本人の長島譲二さん。自分の車がボンドカーに選ばれるなんて名誉の中の名誉ともいえるが、「ゴールデンアイ」を観たはずの(絶対に観ているはずだ!)長島さんに、映画を見終わった後の感想をぜひ聞いてみたいものだ。

Text: Matthias Techau

こんな記事も読まれています

経験豊富なジャービス、LMP2クラス制するも「これまでで最もハードなレースだった」
経験豊富なジャービス、LMP2クラス制するも「これまでで最もハードなレースだった」
motorsport.com 日本版
スバルの「斬新オープンカー」は悪路も走れる! 最低地上高「200mm」で走破性がスゴい! “SUV×オープン”を実現した「スクランブラー」とは!
スバルの「斬新オープンカー」は悪路も走れる! 最低地上高「200mm」で走破性がスゴい! “SUV×オープン”を実現した「スクランブラー」とは!
くるまのニュース
[15秒でわかる]ボルボトラック『FH16』新型…性能と環境対策をより強化
[15秒でわかる]ボルボトラック『FH16』新型…性能と環境対策をより強化
レスポンス
「シルビア」のパーツをダイハツ「エッセ」に流用! 還暦レーサーがワンオフで手掛けたチューニング内容とは
「シルビア」のパーツをダイハツ「エッセ」に流用! 還暦レーサーがワンオフで手掛けたチューニング内容とは
Auto Messe Web
恐竜好きな親子におすすめ!「化石ハンター展 ~ゴビ砂漠の恐竜とヒマラヤの超大型獣~」【新着ドライブスポット】
恐竜好きな親子におすすめ!「化石ハンター展 ~ゴビ砂漠の恐竜とヒマラヤの超大型獣~」【新着ドライブスポット】
くるくら
コーンズ・モータースがドライビングアカデミー開催…現役のGTドライバーがインストラクター 8月28日
コーンズ・モータースがドライビングアカデミー開催…現役のGTドライバーがインストラクター 8月28日
レスポンス
EQBがメルセデス・ベンツ最新のデザイン言語にブラッシュアップ|Mercedes Benz
EQBがメルセデス・ベンツ最新のデザイン言語にブラッシュアップ|Mercedes Benz
OPENERS
700馬力のジュークに2000馬力のランクル! メーカーがガチで生み出した化け物SUV3台
700馬力のジュークに2000馬力のランクル! メーカーがガチで生み出した化け物SUV3台
WEB CARTOP
日本限定30台のショーファードリブンモデル  「メルセデス・マイバッハ S 580 Night Edition」を発表 
日本限定30台のショーファードリブンモデル  「メルセデス・マイバッハ S 580 Night Edition」を発表 
月刊自家用車WEB
メルセデス・ベンツEQBが商品改良。新バッテリーを搭載して航続距離を延長
メルセデス・ベンツEQBが商品改良。新バッテリーを搭載して航続距離を延長
カー・アンド・ドライバー
意地か矜持か!? こんなクルマほかにない! 自動車メーカーが「あり得ないほどこだわりを詰め込んだ」クルマ4台
意地か矜持か!? こんなクルマほかにない! 自動車メーカーが「あり得ないほどこだわりを詰め込んだ」クルマ4台
WEB CARTOP
目がバグる! 「“運転席2つ”商用バン」が新車で買える!? 「2台連結マシン」まさかの公式仕様に驚きの声! 欧州「謎車」に反響集まる
目がバグる! 「“運転席2つ”商用バン」が新車で買える!? 「2台連結マシン」まさかの公式仕様に驚きの声! 欧州「謎車」に反響集まる
くるまのニュース
人気の5/7人乗り“欧州ミニバン”に特別仕様車登場! フィアット「ドブロ」「ドブロマキシ」に限定モデル追加
人気の5/7人乗り“欧州ミニバン”に特別仕様車登場! フィアット「ドブロ」「ドブロマキシ」に限定モデル追加
VAGUE
もはや自転車中心の生活!? バルテリ・ボッタスが自転車グラベルロードレースで優勝! しかもレース創設者はボッタス本人「僕の初勝利」
もはや自転車中心の生活!? バルテリ・ボッタスが自転車グラベルロードレースで優勝! しかもレース創設者はボッタス本人「僕の初勝利」
motorsport.com 日本版
【スクープ】アウディ「Q7」次期型にはドアノブがない!? フラッグシップSUVが10年ぶりにフルモデルチェンジへ!
【スクープ】アウディ「Q7」次期型にはドアノブがない!? フラッグシップSUVが10年ぶりにフルモデルチェンジへ!
LE VOLANT CARSMEET WEB
メルセデス・ベンツ、新型「EQB」を発表。バッテリーの強化で、航続距離を伸長
メルセデス・ベンツ、新型「EQB」を発表。バッテリーの強化で、航続距離を伸長
月刊自家用車WEB
細部パーツを組み込んでいよいよ完成へ!フジミ製プラモ「プレリュードSi」を作り込む!第6回【CARSMEET モデルカー倶楽部】
細部パーツを組み込んでいよいよ完成へ!フジミ製プラモ「プレリュードSi」を作り込む!第6回【CARSMEET モデルカー倶楽部】
LE VOLANT CARSMEET WEB
紙のカタログにはオンラインにはない“夢”があった…初代BMW 1シリーズ【懐かしのカーカタログ】
紙のカタログにはオンラインにはない“夢”があった…初代BMW 1シリーズ【懐かしのカーカタログ】
レスポンス

みんなのコメント

3件
  • moo********
    Z3 イイですねぇ。
    コンパクトで、カッコいい!
    Z4になって、ガックリ
    品質では、ロードスターに負けるけど
    ボンドカーですからね。
  • ユーノスロードスター(輸出名マツダミアータ)の後を追い、欧州の名門、老舗も2シータースポーツカーを出したけど………如何せん…品質でマツダミアータには敵わなかったけどね(笑)
    ホント80年代後期から90年代初頭は日本車が欧米の名門メーカーを驚愕させましたね。マツダミアータ、トヨタセルシオ、日産スカイラインGT-R 今尚、名車の誉れ高い
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

105.8128.8万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

4.888.0万円

中古車を検索
Zの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

105.8128.8万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

4.888.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村