レクサス LBXの発表で、今「小さな高級車」が再び注目を浴びている。しかし軽く思い出してみても、なんというか……パッとしないクルマも多かった気がしないでもない? そこで今一度、このカテゴリーのクルマの歴史、そして「成功と失敗」を振り返ろう。
※本稿は2023年7月のものです
文/片岡英明、永田恵一、写真/ベストカー編集部
初出:『ベストカー』2023年8月26日号
パッとしないクルマ多かったけど……ノートオーラは大成功中!! ニッポンの「小さな高級車」挑戦の歴史
■そもそも「小さな高級車」のルーツって?
バンデン・プラ プリンセス(1964年)。一部では「ミニロールスロイス」とも呼ばれる小さな高級車のルーツ的存在
ビッグサイズで高級ムードのクルマはたくさんある。だが、これとは逆に小さなサイズの高級車は、世界中を見回しても少数だ。コンパクトカーは序列の世界では下のほうだから、快適装備はそれなりでいいと割り切られている。
が、そうは言っても小さなクルマに高級を求める人たちはいるもので、その人たちのために小さな高級車は誕生した。
よく知られているのはイギリスのバンデン・プラが1964年に送り出した「プリンセス」だ。モーリス・ミニのメカニズムを用いたADO16のバン・プラ版で、独立した縦桟の重厚なメッキグリルや丸型フォグランプなどで高級感を演出した。
全長は4mに満たないサイズだが、お抱え運転手付きのショーファードリブン的な雰囲気をまとい「ミニロールスロイス」と呼ぶ人も多い。インテリアもゴージャスだ。ウォールナットの木目パネルや名門コノリーのレザーシート、後席用のウォールナットの折りたたみ式テーブルなど、贅の限りを尽くしている。
■80年代に入っても「小さな高級車」は続々と
ルノー 5バカラ。ルノー 5の上級モデルとして1987年に登場
フランスの小さな高級車はルノー5(サンク)に1987年に加えられた上級モデルのバカラだ。特徴的で、目を引くのはインテリアである。本革巻きのパワーステアリングやレザーシート、本革のリアトレイバッグ、キーレスエントリー、アルミホイールなど、ラグジュアリー装備を数多く採用して差別化を図った。
小さな高級車は、そのほとんどが外観と内装をゴージャスに仕立てたものだ。パワーユニットはベース車と同じか多少パワーアップした程度にとどめている。小さな高級車に求められるのはやはり見た目の華やかさや見栄えのよさ、そして質感なのだ。
■小さな高級車に挑んだ日本車の足跡
ローレルスピリットは5代目サニーの兄弟車で、フロントマスクを豪華ムードにして小さな高級車化。それなりにヒットしたので2代目も登場
日本にも昭和の時代から小さな高級車が存在した。日産にはスカイラインやマークIIより大人の雰囲気を強く打ち出したローレルがある。
その高級ムードをコンパクトサイズのファミリーカーに落とし込んだのが、弟分のローレルスピリットだ。5代目サニーの兄弟車だが、フロントマスクをローレルに似せ、インテリアはひとクラス上の快適装備を標準としている。
プログレはミディアムクラスの上質なセダンとして登場。小型車サイズのボディに直列6気筒DOHCを積み、インテリアも豪華だが、販売は伸び悩んだ
また、平成の時代になると、トヨタが小さな高級車のプログレを市場に放った。全長を短く抑えながら、ひとクラス上の上質な6気筒エンジンを積み、快適装備も満載する。コンパクトカーでは、プレミアムコンパクトを狙ったマツダのベリーサが有名だ。
ノートオーラはノートをベースに、LEDヘッドランプなどでフロントマスクとリアビューを変えるとともに全幅も拡大。リアバンパーはボディ同色として高級感を演出
最近では日産ノートの上級モデルとして投入されたノートオーラが小さな高級車と言えるだろう。これは先代のノートに加えられて注目を集めたメダリストの後継モデルだ。快適装備を加え、走りの質感も高い。ノートより60万円ほど高いが、売れている。
■セダンで目指した小さな高級車
・ホンダ コンチェルト(1988年)……挑戦の結果:失敗
ホンダ コンチェルト。日本ではイマイチ盛り上がりに欠けた……
ローバーとの共同開発で誕生したモデル。ちょっと古風だけど格調あるスタイルに本革シートを装着し、英国風かつ高級な雰囲気を持っていた。
・トヨタ ブレビス(2001年)……挑戦の結果:まあまあ
トヨタ ブレビス。兄弟車とはいえ生まれてくるのが少し遅かった……
「小さな高級車」プログレの兄弟車。後発モデルの優位を生かしてペダルの可動機能などを装備。セルシオを思わせる外装も多くの人の心を鷲掴みにした。
・トヨタ SAI(2009年)……挑戦の結果:成功
トヨタ SAI。維持費も安く余裕ある車室で広く親しまれた
レクサス HS250hのトヨタ仕様で、高級感を持ちながら、内外装はHSともひと味違う、親しみやすさにあふれたデザインで人気となった。
・日産 ブルーバードシルフィ(2000年)……挑戦の結果:まあまあ
日産 ブルーバードシルフィ。見た目がもう少し豪華だったらさらに売れていたかも?
サニーとプリメーラの間のポジションに位置するモデル。クルマとしてのクォリティはさすがだったが、「あとひとつ!」というわかりやすい魅力が欲しかった。
■コンパクトカーでも高級車化に挑戦!
・日産 ティーダ(2004年)……挑戦の結果:成功
日産 ティーダ。日産の「小さな高級車」作りは昔から上手だった
サニーの後継にあたる、5ナンバーサイズのCセグカー。当時の日産車らしいワンクラス上のインテリアで構成され、乗り心地も素晴らしく大ヒットを記録。
・マツダ ベリーサ(2004年)……挑戦の結果:まあまあ
マツダ ベリーサ。販売台数は伸び悩んだが出来は最高だった
2代目デミオの兄弟車。楽曲録音用HDDや本革シートといった装備だけでなく、遮音材増加など静粛性にも配慮された、これぞ「小さな高級車」のお手本だ。
・トヨタ ブレイド(2006年)……挑戦の結果:失敗
トヨタ ブレイド。V6搭載など野心的な一台だっただけに惜しい!
オーリスの上級車で、プログレ&ブレビスの後釜として登場した。クラス以上の高級感を備え、さらに3.5L・V6搭載モデルがあったが、そんなに速くもなかった。
・日産 ノートメダリスト(2012年)……挑戦の結果:まあまあ
日産 ノートメダリスト。上質さのみを追い求めた、わかりやすい一台
ノートとティーダが統合されてから登場した2代目ノートの上級グレード。だが内外装と装備だけ高級品に置き換えただけでは……? いうのが率直な印象だ。
・アストンマーティン シグネット(2011年)……挑戦の結果:まあまあ
アストンマーティン シグネット。マニアックだが歴史に名を残した一台
トヨタ×アストンマーティンという異色のコラボで生まれた、これぞガチの「小さな高級車」。完成したiQの内外装を分解し専用高級パーツを施工したモデルだ。
■レクサスLBX登場で風向き変わる?
ブランド最小のSUVとなるレクサス LBX
「小さな高級車」の歴史を振り返れば、まさに大成功したモデルもあれば、一代限りで終わったモデル、ただ販売台数こそ伸び悩んだけど存在感だけは大きく出したクルマなど、多種多様である。
今回登場したレクサスLBXで、再び「小さな高級車」ブームがやってくるだろうか? もし来たら、よりクルマ界は盛り上がるに違いない!?
複数社の査定額を比較して愛車の最高額を調べよう!
愛車を賢く売却して、購入資金にしませんか?
複数社の査定額を比較して愛車の最高額を調べよう!
愛車を賢く売却して、購入資金にしませんか?
愛車管理はマイカーページで!
登録してお得なクーポンを獲得しよう
ホンダ新型「シティ」発表! スポーティな「RS」もある「コンパクト5ドアハッチバック」! 精悍顔がカッコイイ「新モデル」馬で予約受付開始
日産「新型スカイライン」まもなく発売 史上“最強”「匠の手組みエンジン」搭載! 旧車風デザインの「超特別モデル」 何が違う?
200万円級のトヨタ「コンパクトSUV」何がいい? 「ちょうど良すぎる」のが魅力!? 大人気の「カローラクロス」支持される理由は?
レクサスが「新型プレミアムSUV」発売へ 14年ぶり全面刷新でめちゃ上質内装דカクカクデザイン”採用! 日本初投入の「新型GX」内外装の特徴は
6MT搭載! 新型「“FR”クーペ」公開! 830馬力超えV8搭載の「最強モデル」! 60年で“最も楽しい”「スーパースネーク」米に爆誕
みんなのコメント
プログレとかプログレとかプログレの事だろ?