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完璧な無音と無振動 ロールス・ロイス・スペクターへ試乗 卓越のドライバーズクーペ 前編

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完璧な無音と無振動 ロールス・ロイス・スペクターへ試乗 卓越のドライバーズクーペ 前編

ツインモーターで584ps 航続距離は529km

遂にロールス・ロイス・スペクターの量産仕様へ試乗することが叶った。同社初となる、新時代を告げるバッテリーEVだ。最近ラインナップから姿を消したクーペのレイスではなく、2008年のファントム・クーペの後継モデルに当たるという。

【画像】完璧な無音と無振動 ロールス・ロイス・スペクター ファントム・クーペとレイス 2ドアのBEVも 全121枚

基礎骨格をなすのは、ロールス・ロイスのアーキテクチャー・オブ・ラグジュアリーと呼ばれる、汎用性の高いもの。このアルミニウム製プラットフォームを利用したモデルとしては、4台目となる。

スペクターのボディサイズは、全長が5453mmで、全幅が2080mm、全高が1559mmとかなり大きい。例えるなら、ダブルキャブを備えたピックアップトラックより、さらにひと回り大きい。

パワートレインは、2基の駆動用モーター。前後アクスルに1基づつ搭載され、フロント側は最高出力258psと最大トルク37.1kg-mを発揮し、リア側は490psと72.3kg-mを生み出す。

システム総合での最高出力は584ps、最大トルクは91.6kg-mとなる。2つのモーターが、同時に全力で働くことはないようだ。

トランスミッションはシングルスピード。123年前にロールス・ロイス・リミテッドを創業した、チャールズ・ロールス氏が追求し始めた、完璧な無音と無振動を実現している。電動のパワートレインは、このブランドにピッタリといえる。

駆動用バッテリーは、実容量で102kWhと巨大。WLTP値で529kmと、不足ない航続距離を持つ。途中のショッピングセンターで充電することなく、グレートブリテン島西部のコッツウォルズからロンドンまで往復できる。

ひと目でわかるロールス・ロイスなデザイン

駆動用バッテリーの重さは、実に700kgにもなる。それはすべてキャビンのフロア部分に敷かれており、必要なハーネスやパイプ類も通されている。シャシーの底面は、Cd値0.25と空気抵抗を小さく抑えるため、フラットな状態だという。

ロールス・ロイスのオーナーの場合、平均で6台ほどクルマを所有しているそうだが、それでも年間4800km程度は距離を重ねるとか。そんな使われ方でも、最大195kWまで対応する急速充電能力がしっかりバックアップする。

スタイリングは、ひと目見ただけでロールス・ロイスだとわかるもの。過去にないほどワイドなパルテノングリルは、空気を滑らかに流すよう柔らかなカーブを描く。テールライト回りは、ボディ側面の空気をきれいに導くよう、シャープなエッジを描く。

ルーフラインは滑らかにトランクリッドへつながり、衝撃安全規制を満たしつつ、可能な限り後方へ伸ばされている。フロントの先端に飾られるスピリット・オブ・エクスタシーでさえ、風洞実験で数100時間も形状が練られたそうだ。

大きなラジエーターへ空気を当てる必要はなくなっても、ロールス・ロイスのクーペらしい、堂々とした顔立ちを持つ。2030年までに、同社は内燃エンジンモデルをすべて終了すると発表している。今後、どのようなデザインになるのか興味深い。

新しく、伝統的な雰囲気も漂わせる車内

ボディサイドへ回ると、近年のロールス・ロイスでは最長となる、約1.5mあるリアヒンジのドアへ驚く。それを開くと、4名がけの豪華な車内が広がる。シートは上質なレザーで包まれ、このブランドの既存ユーザーなら、すぐに馴染める空間なはず。

同社のCEOを務める、トルステン・ミュラー・エトヴェシュ氏は、目をつぶってスペクターへ乗っても、ロールス・ロイスだと理解して欲しいと考えている。もちろん、運転時は目を開く必要があるが。

フロアには毛足の長いカーペットが敷かれ、ドアやダッシュボードのスイッチ類は、見た目通り本物の金属か複合素材。お行儀が悪いかもしれないが、実際に爪で軽く叩いてみると、プラスティック製ではないとわかる。

新しいデザインでありながら、伝統的な雰囲気も漂わせる。先日、1964年式のロールス・ロイス・シルバークラウドIIIへ試乗する機会があったが、車内の印象には通じるものがある。ドライブトレインは、まったくの別物だとしても。

BMW譲りのインフォテインメント・システム

ダッシュボードに組み込まれたタッチモニターは、親会社となるBMW譲りのインフォテインメント・システムで稼働する。iドライブと同様に、モニターだけでなくロータリー・コントローラーを介しても操作でき、全般的に扱いやすい。

グラフィックは、ロールス・ロイス独自のもの。エアコンには、実際に押せるハードボタンが残された。BMW i7やiXとは異なるアプローチで、新鮮さすらある。必要なら、デジタル技術から距離を置くことも可能だ。

繁華街に建つ豪華なマンションは、広告の光や町の騒音などから完全には逃れられない。だが自然公園の奥に佇む邸宅なら、喧騒から完全に隔離される。

これと同等の体験を本当に叶えられる高級車は、ロールス・ロイスかベントレー程度。新しいスペクターも、その1台になる。

この続きは後編にて。

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