「この人、友人のSさんに似ているなぁ……」って思ったことはあるはず。それはクルマも同じで、なんとなく似ているクルマはごまんとある。人間の場合はまったくの偶然だと思うが、クルマの場合は「偶然」とは思えないものも……。
そこで今回は、オマージュ、参考、インスパイア……いやいや、ただの空似だと思いたいクルマたちを紹介していきたい。
「他人の空似に違いない…」と思いたい“そっくりさん”なクルマたち
文/今坂純也(DIRT SKIP)、写真/ダイハツ、ビー・エム・ダブリュー、日産、FavCars.com、写真AC
「フィアット・X1/9」対「トヨタ・MR2(AW11)」
850スパイダーの後継車種として登場したフィアット・X1/9。ベルトーネ時代のマルチェロ・ガンディーニの手によるデザインは大絶賛された
まずは「なんとなく似ているよね」のレベルから。
フィアット・X1/9は1972年に登場し、1989年まで生産されたイタリアの量産ミドシップスポーツカー。
ランボルギーニ・カウンタックやランチア・ストラトスをデザインしたことでも有名な、マルチェロ・ガンディーニがデザイン。量産FFモデルの128のエンジンをベースとした1290ccの直4 SOHCエンジンを搭載したが、後期には1498ccまで排気量アップ。
このイタリアの量産ミドシップスポーツカーと「なんとなく似ている」のが1984年から1989年まで生産されたトヨタ・MR2(AW11)。日本で初めてミドシップレイアウトを採用した量産スポーツカーである。
ともに大衆車のエンジン(MR2はカローラ)をベースとしたエンジンをミドシップに搭載し、そして両車ともリトラクタブルヘッドライトを装備。基本構造は同じなので似ていても仕方ないか……。
「ダッヂ・チャレンジャー」対「日産・スカイラインGT-R(ケンメリ)」
1970年に登場したダッヂ・チャレンジャー。アメ車にしてはコンパクト、そこそこ安価なスポーツカーとして北米では大ヒットを記録した
「実車を見れば間違えようがないけど、写真で見るとクリソツ」な両車。
1960~70年代の日本車は、当時のアメ車や欧州車に似たクルマが多い。「似た」というか「インスパイア」されたというか……。
例えば1970年に登場したダッヂ・チャレンジャーと1973年に発売されたスカイラインGT-R(ケンメリ)。フロントマスクのデザインは「まんま?」のレベル。これを言うなら、1969年登場の3代目GT-R(ハコスカ)と同時期のダッヂ・コロネットRTも同じ顔に見えます。
ただし、ダッヂの2車はスカイライン2車と比べてかなりのワイドボディなので、実車を見ると「見間違える」とまではいかない。でも、写真で見るとやっぱりクリソツなのです……。
「ルノー・エスパス(初代・2代目)」対「トヨタ・エスティマ」
1984年に登場したルノー・エスパスの初代。ヨーロッパではなじみのなかったミニバンというフィールドを開拓したミニバンのパイオニア
1984年にヨーロッパ初のミニバンとして登場した初代ルノー・エスパスとはボディデザインが、1991年から1997年の2代目とはフェイスデザインまでそっくりなのが1990年に「天才タマゴ」のキャッチフレーズとともに登場したトヨタ・エスティマ。
エスパスはスチール製モノコックボディにFRP製パネルを貼り込んで軽量化を狙った斬新なモデルで、アメ車のフルサイズバンより少し小さいという意味の“ミニバン”として登場。
いっぽうエスティマも、従来の商用車然としたハイトワゴンから一般的な乗用車的な乗車姿勢を実現した今までにないモデル。さらにエンジンを横に75度寝かせてフロア下に収納したミドシップレイアウトとこちらも斬新だった。
両車ともボンネットからルーフラインにかけてなだらかなアールを描いた独特のボディデザインがよく似ているし、2代目エスパスとはフロントマスクまで似ている。
なんだか、車名も似ていますよね……。
「BMWミニ・ジョンクーパーワークス」対「ダイハツ・ブーン(スポルザ リミテッドパッケージ)」
BMWミニ ジョンクーパーワークス。ダイハツ・ブーンのスポルザ リミテッドパッケージと間違える人もいるかも
1959年にイギリスのBMCが生み出し、2000年までの41年間に渡って一度もモデルチェンジすることがなかった歴史的な名車&大ヒット作となったクラシックミニ。クラシックミニと似たクルマは世の中に数多くあるが、なかでも「クルマに詳しくない人なら確実に間違えそう」と思えるのがダイハツ・ミラジーノ&ミラクラシック。
とくにヘッドライトやグリルの形状がそっくりなので、あえてクラシックミニのようにカスタマイズする人もいる。
そしてクラシックミニのみならず、BMWミニにもそっくりなモデルがあってさらに驚く。
ダイハツ・ブーンのスポルザ リミテッドパッケージがBMWミニのジョンクーパーワークスと超クリソツ! もう腰を抜かすレベルで、日テレ春のドラマタイトル「それって●●じゃないですか?」を大声で叫んでしまいそうなレベルである。
スポルザ リミテッドパッケージは、ダイハツ・ブーンの上級グレードである「ブーン・シルク」に設定された、スポーティーな外観へと変更するためのアクセサリーパーツのパッケージ商品。
どうせここまでやるなら「外観」だけじゃなく、エンジンにも変更を加えてほしかった……と思うのだが。だって、そのままでは「狼の皮を被った羊」なんだもの。
筆者が驚いた!! 中国の「そっくりさん」クルマ事情とは
と、ここまで「そっくりさん」を紹介してきたが、私は以前中国に数日間滞在したことがある。初めての中国である。
富裕層にはとくにドイツ車が人気なのは知っていたが、それら以外にもイギリス車や日本車も数多く走っていた。そしてそれらのほとんどのクルマのリアに、漢字のエンブレムが付いていることに気づいた。
現地の方に聞くと、これらは中国生産のクルマなのだそうだ。つまり、本物なんだけど中国生産のクルマ。で、それらに混じって「モロそっくりさん」もかなりの数……。
「中国生産のランドローバーもあるのか!」と思ったランドローバーファンの私だったが、そう思ったクルマはすべて「モロそっくりさん」。もうどれが本物でどれがそうじゃないのか、入り乱れていてかなりの衝撃だったのだ。
それから比べれば今回紹介した「似ている」くらいはまだまだカワイイものなのかも……。
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