「10年ひと昔」とはよく言うが、およそ10年前の国産車は環境や安全を重視する傾向が強まっていた。そんな時代のニューモデル試乗記を当時の記事と写真で紹介していこう。今回はSTIが手がけた「スバル エクシーガ チューンド by STI」だ。
スバル エクシーガ チューンド by STI(2009年)
スバルが初めて送り出したミニバン、エクシーガはレガシィの基本コンポーネンツを使って作られただけに、ノーマルでもその走りのよさはお墨付きだった。乗り心地の良さとハンドリング性能の両立、そして何よりスバルならではのシンメトリカルAWDによって道を選ばぬ機動力が持ち味だ。
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それを今回、スバルのモータースポーツ部門を受け持つ「STI(スバルテクニカインターナショナル)」が、さらなる磨きこみを行なったコンプリートモデルをプロデュースした。その名も、「エクシーガ 2.0GT チューンド by STI」。
開発責任者は、スバル車の開発を長年勤めた辰巳英治氏だ。この人がSTIを担当してからのチューニングは、「強靱かつしなやかな走り」を標榜して、走りの良さを極めるとともに、乗り心地の良さを少しも失わない商品力の高さが持ち味だ。
今回のエクシーガでも、サスペンションの前後スプリングとダンパーを強化し、タワーバーなどでの補強やブッシュの一部をピロボール化を行ないつつ、上手に入力を分散して乗り心地の悪化を抑えている。
実際に乗ってみると、乗り味はいたってスッキリとしたものになった。ボディの揺れが少なく、足元からの振動も極めて少ない。ノーマルだとカドのない大きく動く足元にゆったり感を与えてくれていた反面、少々ばたつく面も見受けられた。
それがSTIチューンによって足元がピシッと引き締められ、ムダな振動は極めて少ない。それでいながら小気味良く足元が動いてくれることでしっかり感は出ているのに、カドを従来どおり感じさせない。リアサスのピロボールが足元のスムーズな動きと剛性感を見事に両立してくれているようだ。
ハンドリングも正確さを増し、ミニバンという背の高さは気にならない。ステアリングに対する応答がよい上に収まりが良く、コーナリングではレガシィ譲りのライントレース性を実現している。
パワー的には飛びぬけて速いといった印象は薄いが、2Lターボエンジンのパワーを誰でもどんなシーンでも不安なく引き出せるバランスの良さは魅力的だ。
STIのチューンによって、エクシーガの持ち味を最大限引き出してくれる進化モデルとして、スバルファンに限らずミニバンしか選べない走り好きユーザーには格好の1台といえるだろう。まさに7人みんなが走りを楽しめるモデルとして、名実ともに実力を得たようだ。
エクシーガ 2.0GT チューンド by STIの価格は、税込み359万1000円。ベースとなった2.0GTは278万2500円だから、80万円以上も高くなっているが、専用装備やチューニングの内容、そして実際に乗ってみれば、クルマ好きならその価値が分かるはず。ミニバンでも走りを楽しみたいなら、ぜひ試してみることをオススメする。
■エクシーガ 2.0GT チューンド by STI 主要諸元
●全長×全幅×全高:4740×1775×1650mm
●ホイールベース:2750mm
●車両重量:1610kg
●エンジン種類:水平対向4 DOHCターボ
●排気量:1994cc
●最高出力:165kW<225ps>/5600rpm
●最大トルク:326Nm<33.2kgm>/4400rpm
●トランスミッション:5速AT
●駆動方式:フロント縦置き4WD
●10・15モード燃費:10.2km/L
●タイヤ:215/50R17
●当時の価格(税込み):359万1000円
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みんなのコメント
ただ、いま開きドアのミニバンが廃止されている中で、中古車としての人気は高いみたいです。
・ターボは225PSの4WDでいまでも7列シート車では最速の部類
・衝突防止装置(アイサイト)が標準でついている車が多い。
・ワゴンとしては不格好だけど、いまでも車内搭載能力はスバル車の中で最大容量。
・車内は大人7名乗っても、余程大きな人じゃなければ窮屈さは皆無。
・元々の新車価格が安かったので安価でお買い得。
・初期は2LにFF車もあるし、後期の2.5Lはレガシィと同じ2500ccエンジン搭載