V6 3Lツインカム搭載のラグジュアリークーペ
様々な車名が登場しては消えていく自動車業界。消えていく――それはもちろん人気がないためだが、消えたあとで人気が上昇するケースもいくつかある。その例として、日産レパードを真っ先に挙げることができるだろう。
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レパードは1980年9月に、新規車種として登場した。それまでセドリック/グロリアに設定されていた2ドア・ハードトップを受け継ぐ形で生まれた、上級スペシャリティカーである。また同時に、ブルーバードの6気筒モデルを発展させたものでもあった。ボディは2ドアと4ドアのハードトップ、エンジンは2Lと2.8Lの直列6気筒(後者はのちに3LのV6ターボに変更)、1.8Lの直列4気筒を搭載。これが1986年2月にフルモデルチェンジを果たして登場したのが、今回の本題である二代目レパード(F31型系)である。
初代レパードは910ブルーバードのシャシーを用いたものだったのに対し、二代目はスカイライン、つまり前年デビューのR31型とシャシーを共用していたのが特徴だ。ボディ形式は2ドア・クーペに一本化され、直接の競合車種であるトヨタ・ソアラへの対抗意識をはっきりと現していた。そのスタイリングは、クーペとしてはオーソドックスなもので、BMWの6シリーズなどとの類似も指摘されたが、もっとはっきりと言ってしまうと初代ソアラに似たものであった。
シャシーレイアウトはもちろんFRで、エンジンは初代の後期型で導入されたVG型に一本化。VGは日本初のV型6気筒として誕生したエンジンであり、初代レパードに搭載されたのは3LターボのVG30ETのみだったが、二代目レパードではツインカム化されたVG30DE(185ps)を筆頭に、2Lターボ(可変ノズル式のJETターボにインタークーラーも装着したもの)のVG20ET(155ps)、そしてベーシックなNAのVG20E(115ps)の3種類が用意された。
サスペンションはスカイライン同様にフロントがマクファーソンストラット、リアがセミトレーリングアーム。さらに、路面の状況などを検知した上でショックの減衰力を3種類のモード(ソフト、ミディアム、ハード)の中で自動的に切り替えるという、電子制御サスペンション「スーパーソニックサスペンション」が組み合わされている。このほか、電子制御パワーステアリングや4WASも採用されたが、これら3つのデバイスは全て最高グレードのアルティマのみの装備となる。
グレード構成はこのアルティマを最上級モデルとし、これのみにVG30DEを搭載。2LターボにはXSとその上級版XS-II、2LノンターボにはXJとその上級版XJ-IIという布陣で、全5グレード。インテリアももちろん豪華なものであったが、ダッシュボードは俗に「絶壁」と呼ばれるデザイン(この頃の日産が好んで採用した、前面がそそり立つように直立した形状)で、これはあまり好評とは言えなかった。特筆すべきは、助手席のシートバックに中折れ機構を採り入れたパートナーコンフォートシートで、これもアルティマのみの装備である。
1987年6月には、2Lの最高グレードであるXS-IIと、3Lツインカムのアルティマに、それぞれ豪華版のグランドセレクションを追加。これはハイテクウールシートやカラーテレビ(XS-IIグランドセレクションではオプション)を装備したもので、専用のボディカラーであるパールホワイトツートンとレッドパールも新設定された。
そして翌1988年8月にはマイナーチェンジを行い、内外装のイメージを大幅に刷新するとともに、3Lツインカムターボなどの新エンジンを導入。まず外観では、フロントグリルやテールランプのデザインが変更されるとともに、前後バンパーが丸みを帯びた形状となり、ボディ形状に変化はないながらも、全体に曲線基調へと印象を改めている。インテリアのデザインも変更され、特にダッシュボードの形状が「絶壁」から柔らかで丸みの強いものへと一新された。
このマイチェンを機に搭載されるようになった新たなエンジンは、3Lツインカムにターボを装着したVG30DET(255㎰)と、2Lターボをツインカム化したVG20DET(210ps)の2種類で、ノンターボのVG30DEも細部の改良により最高出力を200psへと向上。その一方、VG20ETは消滅している。機構面では、さらにフルレンジ電子制御オートマチックのE-ATやビスカスLSDが導入されたほか、スーパーソニックサスペンションと4WASについて、XJを除く全グレードに採用範囲を拡大した。
そして登場から6年後の1992年6月、二代目レパードはレパードJ.フェリーへとモデルチェンジ。今度は4ドア・セダンに統一されたのであった。
20年の時を経て登場した前期型レパードのプラモ!
ライバルであるソアラの人気の高さはお互い二代目となっても変わらず、F31型レパードの販売成績はあまりよいものではなかった。ただひとつ特筆すべきは、TVドラマ『あぶない刑事』において、主人公ふたりの専用の覆面パトカーとしてレパードが採用されたことである。続編の『もっとあぶない刑事』、および映画版3作において、ゴールドやダークブルーの前期型、同じくダークブルーの後期型が活躍。当時の販促にはさほど結びつかなかったようだが、再放送や映画のテレビ放映を重ねるうちにその人気は盛り上がり、新車時より高い価格がつけられるという事態までを生んだ。
プラモデルの世界においてもこうした人気が放置されるわけはなく、二代目レパードの1/24スケール・キット化はアオシマから行われている。1990年代には後期型のみであった同社製F31だが、2009年にはとうとう前期型も製品化。当然ながら後期型のキットをベースとしたものだが、ボディをはじめとして前期型ならではの特徴を有する部分は全て新規のパーツに入れ替わっている(金型の改修ではない)。もちろん、『あぶない刑事』の名を冠し、その劇中車を再現した仕様もリリースされた。
ここでお目にかけている作品は、そんなアオシマのレパードをベースに、映画(2作目)『またまたあぶない刑事』での仕様を再現したものだ。何より目を引くのは、作中の1シーンをイメージさせる、ドアミラーにひっかけられた白いジャケットだが、もちろんそればかりでなく、車両そのものにも細かく改修やディテールアップの手が入っている。そうした工作については、工作中の写真に添えたキャプションや、追って公開する後編の記事をお読みいただきたい。
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正しくカッコいい未來感に満ち溢れていて、一番好きだ。