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言わば「日本のヨーロッパ車」! カタログで振り返るいすゞの名車「ジェミニ」

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言わば「日本のヨーロッパ車」! カタログで振り返るいすゞの名車「ジェミニ」

オペル・カデットをベースに開発されたいすゞ車

 むかしむかし、いすゞはジェミニという、それはそれはステキな乗用車を作っておってな……手元にあるいすゞ・ジェミニの現役当時のカタログを眺めていたら、常田富士男さんの声でそんなナレーションが聞こえてきたような気がした。

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 昔話といっても、いすゞが3代目ジェミニの生産終了をもって乗用車から撤退したのは1993年のこと。初代ジェミニの発売は1974年だったから、ざっと28~47年前ということになる。受け止めには個人差があると思うが、“遠い目”で、いい時代だった……と思う人は決して少なくないのでは?

初代ジェミニはベレットに代わるモデルとして誕生

 1974年に登場した初代ジェミニは、それまでのいすゞの主力乗用車だったが旧態化が否めなかったベレットに代わるモデルとして誕生した。当時いすゞはGMの傘下にあり(なので余談だが、いすゞのディーラーでフロントガラス貼り付け式のカマロの純正室内ミラーが買えたりした)、よって当時のGMのグローバルカーだった“Tカー”をベースに作られた。

 オペル・カデット(ドイツ)、ヴォクスホール・シェヴェット(イギリス)などが当時のカタログには兄弟車として小さく写真入りで紹介されているのは、ヨーロッパナイズされたクルマであることのアピールのためだったのか、それともGMの何かしきたりでもあったのかは不明だが……。なお同様にGMの“Jカー”をベースにしたクルマとして、1983年に登場したいすゞ・アスカがあった。 とはいえ最初のモデルは、エンジンこそいすゞ製の1.6Lガソリンエンジン(G161型)を搭載したものの(エンジンはこの1機種、トランスミッションは4速MTのみの設定)、主要なメカニカルコンポーネントはオペル・カデットそのものだった。

安全にも考慮した機能も備えられていた

 最初の丸型ヘッドライトをはじめ、エクステリア、インテリアも基本はカデットで、フェンダーミラーが装着されたのが、最大の“ジェミニ・ユニーク”だったというくらい。当時のカタログ写真をつぶさに観察すると、ステアリングホイール中央や外観のブランドロゴの装着位置には、いすゞのマークを“合成”ではめ込んでいることがわかる。 いずれにしても当時の同世代の日本車が豪華仕立てが一般的だったのに対して、ジェミニはドアガラスの周囲にモールさえ廃したじつにシンプルで清々しいルックスで、やはり出自は隠せなかったといったところ。ドアガラスには1250Rのカーブドガラスを用いるなどし、決して味気ないだけのデザインではなかったのはサスガだったと言うべきだろう。

 途中にノッチを付けた2段開きドア、歩行者の衣服をひっかけないようにしたゴム付きリヤバンパー、万一の追突に配慮した縦置き燃料タンク、コラプサブルステアリングなどの機能も備えられていた。

インパネは全面パッドを採用

 インテリアもシンプルながら、インパネは全面パッドを採用。ドアのインナーロックは、どの位置でもスイッチが室内のにび出さない縦型シーソータイプを採用した。シート表皮のメイン部分に、折々のモデルごとにチェック、ストライプなどの柄を入れるなどしつつ、あくまでサッパリとした室内空間であり、全体のカッチリとした造りは、当時としてもヨーロッパ車そのものだった。 スポーツモデルとしては、1.8LのDOHC(G180型)搭載のZZ(ダブルジー)があった。 130psを発揮し、シリーズ最軽量のクーペZZ/R(車両重量:975kg)で7.5kgのパワーウエイトレシオを発揮。ZZにはオイルクーラー、4輪ディスクブレーキが標準装備されたほか、1、2、3速が高められた“GTレシオ”のトランスミッションやLSDが注文装備として用意された。 一方でいすゞ車らしくディーゼル車も設定。1.8LのOHCだったこのユニットは、電子制御の即時始動装置の採用でー20℃でも予熱時間3.5秒のクイックスタートを実現。エンジンマウントにダンパーを使用したり、徹底した防音、遮音対策で静粛性も高められていた。当時の60km/h定地走行値で29km/Lの低燃費も実現していた。

5種類のフロントマスクがあった

 それともうひとつ着目しておきたいのが、生涯で5種類もフロントマスクが存在した点だ。その5パターンをまとめたカットを撮っておいたが、最初の丸型ヘッドライトとその次の大型角型までは、オリジナルの逆スラントノーズのままだったが、スラントノーズ化された3タイプ(SAE角型、ZZの丸型、最終型の矩形)は、テールランプも大型化され、当初のプレーンな雰囲気から少し離れてしまい、ジェミニらしいキュートさも薄らいでしまったようにも感じた。 そういえば先代にあたるベレットもたびたびフェイスリフトを実施したし、あの117クーペ(やフローリアンはそぐわない立派なグリルまでつけて!)も角目に変えるなど、この時代のいすゞ車のデザイン変更は「えっ!?」と思わせられることが少なからずあった。

 ジェミニ自体は、今回は言及できなかったが“街の遊撃手”のCMでおなじみだったFFの2代目、その次の3代目までオリジナルを貫き、その後はホンダのOEM(ドマーニ、シビック)で2世代続いて終わった。夢のまた夢だが粋なセンスを活かし、今の時代に即したジェミニが復活したらどうだろう? と思ったりして。

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みんなのコメント

17件
  • ドイツイギリスをはじめGM系メーカーによって作られた「Tプラットフォーム」
    その中でホットなDOHCエンジンを積んだのはわが日本のいすゞジェミニZZと
    ヴォグスホール(英)・シェベットHSだけのようですね。
    しかもシェベットの方はグループ4のホモロゲを得るために400台程度しか
    製造されなかったので(2200㏄16バルブDOHC)、総生産台数76万台余りのうち
    何台造られたかは知りませんが恐らくはシェベット以上の数のジェミニDOHC車を
    世に送り出したいすゞは誇っていいと思います。
  • 高校卒業後免許取得して、ジェミニZZ/Rの初代クーペが欲しくてお金貯めて60万円だったかな?あの丸目のクーペが欲しかった。だけど、色んな事情があってクイントインテグラを買った昭和62年。
    全然見かけるコトなくなったZZ/R。
    今でも欲しい。
    昔のラリーシーンには兄弟車のカデットが威勢良く走っているの見ると胸熱です。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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