現在位置: carview! > ニュース > ニューモデル > メルセデス・ベンツEQB 350へ試乗 7シーターが○ 銘柄として物足りない部分も

ここから本文です

メルセデス・ベンツEQB 350へ試乗 7シーターが○ 銘柄として物足りない部分も

掲載 5
メルセデス・ベンツEQB 350へ試乗 7シーターが○ 銘柄として物足りない部分も

同クラスでは他にない7シーター・レイアウト

メルセデス・ベンツの純EV、SUVのEQCやサルーンのEQSと同じく、コンパクトSUVのEQBも内燃エンジンを載せたGLBに似ている。ボディの見た目も、インテリアも。実際、プラットフォームも共有している。

【画像】7シーターの純EV メルセデス・ベンツEQB 欧州で競合するSUVと比較 全137枚

この手法に親近感を覚えるか、刺激が足りないと感じるか、受け止め方は分かれそうだ。たとえ刺激不足だとしても、その仕上がりに訴求力があることは確かだが。

そもそもGLBは7シーターも選択できる、人気のコンパクトSUV。このEQBをライバルから際立たせているのが、同じく3列目も指定できるシートレイアウトにある。

このクラスの純EVは、アウディQ4 eトロンにBMW iX3、フォード・マスタング・マッハE、フォルクスワーゲンID. 4、ボルボXC40 リチャージなど混戦模様となってきた。だが、3列シートを選べるモデルは他にない。

EQBは、動力性能でもライバルに引けを取らない。フロア下に容量66.5kWhの駆動用バッテリーが敷かれ、前後に駆動用モーターが搭載される。

リア側は強力な同期モーターで、メインの動力源となるだけでなく、回生ブレーキでも活躍。フロント側にも小型の非同期モーターが載り、四輪駆動を実現できている。

システム総合での最高出力と最大トルクは、トップグレードのEQB 350 4マテックで292psと52.8kg-m。ひとつ下のEQB 300 4マテックでも258psと39.7kg-mが与えられている。

EQB 350の0-100km/h加速は6.0秒と鋭い。発進加速ではホンダ・シビック・タイプRなどに食い下がることも可能だといえる。

物足りない航続距離と急速充電能力

一方で、航続距離は413kmとやや物足りない。マスタング・マッハE AWDのエクステンドレンジ版ならEQB 350より安い上に、航続距離は539kmと、一度の充電で100km以上遠くへ走れる。アウディやBMWの競合モデルも、より遠くまで到達できる。

急速充電能力も、プレミアムブランドとしてはやや見劣りする。最大100kWまで対応するものの、多くのライバルは150kWが主流。ヒュンダイのアイオニック5なら、350kWにまで対応できる。

まだ英国には100kW以上の急速充電器は少ないももの、今後増えていくはず。長時間充電ステーションに停めておくのは、あまり気持ちいいものではない。とはいえ、EQBも10%の残量から80%まで、最短30分ほどで充電は可能だという。

今回試乗したEQBは、英国でのリリースを記念したエディション1。フル装備にオプション満載で、20インチのゴールド・ホイールとスポーティなボディトリムで着飾っていた。

エディション1の後に、通常のグレードが提供予定。AMGラインかAMGライン・プレミアムが選択でき、英国ではEQB 300 4マテックの場合は前者で5万2145ポンド(約792万円)から、後者で5万5145ポンド(約838万円)からとなる。

MGライン・プレミアムを選ぶと、19インチ・ホイールが選択肢に加わり、パノラミック・ガラスサンルーフにワイヤレス・スマートフォン充電機能など、装備も充実。カバーの掛かったフロントグリルと、スリムなテールライトは共通だ。

良好なレスポンスと視界で運転しやすい

EQBを発進させてみると、印象が薄いものの、とても滑らかに加速していく。7シーターの電動SUVに求めるものとして、まったく不満は感じないだろう。

ドライバーが得られる充足感では、やはりマスタング・マッハEの方が勝る。感触の良いステアリング・フィールで操る楽しさがあるし、シャシーバランスも良好。日常的に味わえるクルマとの一体感という点で、より考えられているように思う。

それでも、EQBの操作に対するレスポンスは良好で、運転はしやすい。ひたひたと路面を掴んで進んでくれる。運転姿勢は起き気味のコマンドポジションだから、視界も優れる。

車両前方の交通状態や交差点の有無などを判断し、予測的に回生ブレーキの強さを制御するシステムも効果的。良く機能し、速度制御をしやすいと感じた。ステアリングホイールにパドルが付き、回生ブレーキの強さを手動で調整することも可能だ。

一方で、完全な惰性走行は選べない。多くのドライバーが求めるものだと思うのだが。

サスペンションのダンパーは、2段階に減衰力を調整できる。ソフトな方を選ぶと、長周期での穏やかな乗り心地に浸れるが、ホイールの動きには少し粗さもある様子。舗装が荒れた区間では、少し振動が目立ってしまう。

メルセデス・ベンツには、もう少し上の洗練性を期待するはず。エディション1が履く20インチ・ホイールが足を引っ張っているのだと思うものの、同社のEQB以外の純EVでも感取されたものだから、MFAプラットフォーム固有の弱点なのかもしれない。

最大の強みは7シーターという実用性

インテリアはラグジュアリーで居心地が良い。素材の肌触りも心地良い。大きなタッチモニターには、目的地に到着した時点でのバッテリーの予想残量など、純EVならではの情報も表示してくれる。

車内空間は、2列目シートのフロアが少し持ち上げられている。足もと空間は広い反面、座面が少し低く感じられてしまう。フロントシートの座り心地は、長距離でも疲れ知らずのCクラスには届いていない。ライバルと座り比べてみると良いだろう。

EQB最大の強みは、7シーターというレイアウトにあるといえそうだ。それ以外の実力は、このクラスの純EV SUVとしては平均点程度。航続距離は物足りないし、コストパフォーマンスも高いとはいえない。

プレミアムブランドのメルセデス・ベンツとして、平均点では納得できないというユーザーもいると思う。だが、補助席的だとしても3列目のシートを重要視するなら、EQBを選んで後悔することはないだろう。

メルセデス・ベンツEQB 350 4マテック(欧州仕様)のスペック

英国価格:5万3645ポンド(約815万円)
全長:4684mm
全幅:1834mm
全高:1667mm
最高速度:159km/h
0-100km/h加速:6.0秒
航続距離:413km
電費:−
CO2排出量:−
車両重量:2030kg
パワートレイン:AC同期モーター+AC非同期モーター
バッテリー:66.5kWhリチウムイオン(実容量)
最高出力:292ps(システム総合)
最大トルク:52.8kg-m(システム総合)
ギアボックス:−

こんな記事も読まれています

GRヤリス×GR-DAT公道試乗レポート! 気になる改良ポイントは?
GRヤリス×GR-DAT公道試乗レポート! 気になる改良ポイントは?
レスポンス
平均年収約458万円… 1800万円の「レクサスの最上級SUV」は買えないのでしょうか? 4人だけが乗れる「LX EXECUTIVE」を愛車するために必要な年収とは
平均年収約458万円… 1800万円の「レクサスの最上級SUV」は買えないのでしょうか? 4人だけが乗れる「LX EXECUTIVE」を愛車するために必要な年収とは
VAGUE
ソフトタイヤだけの使用に限定しても、オーバーテイクは増やせない……ピレリ、”抜けない”モナコ対策に白旗「我々にできることはあまりない」
ソフトタイヤだけの使用に限定しても、オーバーテイクは増やせない……ピレリ、”抜けない”モナコ対策に白旗「我々にできることはあまりない」
motorsport.com 日本版
横須賀に「新スマートIC」計画進行中! 三浦半島がもっと便利に!? 横浜横須賀道路「横須賀PA」直結工事はいつ始まるのか
横須賀に「新スマートIC」計画進行中! 三浦半島がもっと便利に!? 横浜横須賀道路「横須賀PA」直結工事はいつ始まるのか
くるまのニュース
URBAN DRIVESTYLE「Unimoke MK Surf」 サーフボードスタンドを備えた限定モデル登場
URBAN DRIVESTYLE「Unimoke MK Surf」 サーフボードスタンドを備えた限定モデル登場
バイクのニュース
[音のプロが推す“超納得”スタートプラン]「低予算でスピーカーだけを交換」or「お得にデッドニングまでを実行」!
[音のプロが推す“超納得”スタートプラン]「低予算でスピーカーだけを交換」or「お得にデッドニングまでを実行」!
レスポンス
マツダ アイコニックSP【1分で読める国産車解説/2024年最新版】
マツダ アイコニックSP【1分で読める国産車解説/2024年最新版】
Webモーターマガジン
【最新アクセサリー通信】スタイリッシュなだけでなくハンドリングが向上するヴェゼル用18inアルミ登場
【最新アクセサリー通信】スタイリッシュなだけでなくハンドリングが向上するヴェゼル用18inアルミ登場
カー・アンド・ドライバー
オジエが白熱首位争いでリード拡大。勝田はマシントラブルでデイリタイアに/WRCイタリアデイ2
オジエが白熱首位争いでリード拡大。勝田はマシントラブルでデイリタイアに/WRCイタリアデイ2
AUTOSPORT web
スズキが軽SUV「ハスラー」の「クーペ仕様」を提案! 悪路も走れる「スポーツカー」に変身! 斬新モデル「ハスラークーペ」登場に期待大
スズキが軽SUV「ハスラー」の「クーペ仕様」を提案! 悪路も走れる「スポーツカー」に変身! 斬新モデル「ハスラークーペ」登場に期待大
くるまのニュース
【クルマ持っとく? いらない?】シェアカーとマイカー、どちらがおトクなのか? 見極めポイントはココ!
【クルマ持っとく? いらない?】シェアカーとマイカー、どちらがおトクなのか? 見極めポイントはココ!
月刊自家用車WEB
「ピーポー」「ウーウー」「カンカンカン」違いを知らないとヤバい。消防車・救急車・パトカーなどサイレンの使い分け。
「ピーポー」「ウーウー」「カンカンカン」違いを知らないとヤバい。消防車・救急車・パトカーなどサイレンの使い分け。
月刊自家用車WEB
4年で108人死亡 岡山県「人食い用水路」はなぜ誕生したのか? 危険性は近年緩和も、そもそも存在するワケとは
4年で108人死亡 岡山県「人食い用水路」はなぜ誕生したのか? 危険性は近年緩和も、そもそも存在するワケとは
Merkmal
R32GT-Rのいい教科書になった! GT-Rを名乗れなかった儚き[スカイラインGTS-R] 中古車価格はGT-Rより半額以下の800万円!
R32GT-Rのいい教科書になった! GT-Rを名乗れなかった儚き[スカイラインGTS-R] 中古車価格はGT-Rより半額以下の800万円!
ベストカーWeb
ホンダ「クロスカブ110」【1分で読める 原付二種紹介 2024年現行モデル】
ホンダ「クロスカブ110」【1分で読める 原付二種紹介 2024年現行モデル】
webオートバイ
人気の軽にポップアップルーフをプラス! 車中泊にバッチリ対応したホンダ N-BOXがベースの軽キャンパー
人気の軽にポップアップルーフをプラス! 車中泊にバッチリ対応したホンダ N-BOXがベースの軽キャンパー
月刊自家用車WEB
大型免許必要サイズの巨大ボディ!! テスラ[サイバートラック]は超快適車だった!? 日本での発売はあるのか
大型免許必要サイズの巨大ボディ!! テスラ[サイバートラック]は超快適車だった!? 日本での発売はあるのか
ベストカーWeb
キャンパーたちのアウトドア系愛車スナップ #14 【日産 グロリア】
キャンパーたちのアウトドア系愛車スナップ #14 【日産 グロリア】
グーネット

みんなのコメント

5件
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

991.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

409.0778.0万円

中古車を検索
EQCの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

991.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

409.0778.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村