国産車でプラグインハイブリッド車(PHV)を普及させた三菱アウトランダーがフルモデルチェンジを行った。また、レクサスブランド初のPHVがNXに設定されるなどPHVの注目度が高まっている。
エネルギーの地産地消が行えるPHVは、ドライバーの乗り方一つで航続走行距離を延ばすことができるスグレモノだ。
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そんなPHVだが、新車価格ではハイブリッド車よりも高価でなかなか手が出せない。そこでここでは、割安な価格となっている国産PHVを紹介する。
文/萩原文博、写真/三菱自動車、萩原文博
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ディーラー車でもリーズナブルな価格が魅力の現行型プリウスPHV
現行型プリウスPHVのフロントスタイル
まず紹介するのは、国産PHVの中古車で最も流通台数が多い現行型トヨタプリウスPHV。2代目となる現行モデルは2017年2月に販売開始している。
プリウスPHVは先代モデルにもラインアップされているが、現行モデルでは大容量のリチウムイオンバッテリーの搭載やPHVシステムの効率化により、EV走行距離を68.2km/Lへと大幅に拡大。またEV走行最高速度も時速135km/hとモーターのみで走行できる領域を拡大しているのが特徴だ。
充電時間はAC100V/6Aの配線工事不要の普通充電で満充電まで約14時間。200V/16Aでは約2時間20分で満充電となる。また急速充電にも対応し、約20分で満重電量の約80%まで充電可能だ。
また、PHVの特徴である外部給電機能は、今回追加した「EV給電モード」を選択すると、エンジンをかけずに家電が利用可能。さらにエンジンが作動する「HV給電モード」では、最大1,500Wの出力でガソリン満タン状態から2日程度の電力を供給可能となっている。
安全装備も衝突回避支援パッケージ「Toyota Safety Sense」を標準装備。またDCMと呼ばれる専用通信機と11.6インチT-Connect SDナビゲーションシステムはSグレードを除き標準装備。ユーザーの安心・安全・便利なカーライフをサポートする多彩なコネクティッドサービス「T-Connect DCMパッケージ」を提供している。
デビュー当初の乗車定員は4人乗りだったが、2019年5月の一部改良で、リアシートが改良され5人乗りとなっている。また全モデルに家庭用電気機器が使用可能な1500Wアクセサリコンセントが標準装備されている。
グレード構成はエントリーグレードのSとA、Aプレミアムの3種類でSにはセーフティパッケージ。そしてGR-SPORTが用意されている。現行型プリウスPHVの車両本体価格はSの338万3000円~Aプレミアムの401万円。
現在、現行型プリウスPHVの中古車は約450台流通していて、平均価格は約259.5万円。中古車の価格帯は約161.8万~約440万円。200万円以下の中古車が約24台流通している。その200万円以下の中古車でもディーラー系販売店が取り扱っているクルマが多い。
約450台流通している中古車のうち、約380台が2019年5月の一部改良前のモデル。したがって乗車定員は4人乗りとなる。5人乗りとなった一部改良後のモデルは約70台なので、見つけるのは現状難しいかもしれない。
現行型プリウスPHVの中古車のグレード構成は1.8Aが最も多く約135台。続いて最上級グレードの1.8Aプレミアムの約63台。そして1.8Sナビパッケージの約57台となっている。
最も多い1.8Aの価格帯は約180万~約365万円。1.8Sナビパッケージの価格帯が約176万~約322万円なので、グレードによる価格差は縮まっているので上級グレードを積極的に狙いたい。
また、先代プリウスPHVの中古車は約71台流通していて、価格帯は約45万~約145万円となっている。EV走行距離は約26.4km/Lで普通充電のみに対応している。街乗り中心という人にはリーズナブルなこちらがオススメ。
アウトランダーPHEVは2.4Lエンジン車は少なめ。狙いは2015年式以降だ
旧型三菱アウトランダーPHEVのフロントスタイル
続いて紹介するのは、2012年12月に販売開始された旧型なりたての三菱アウトランダーPHEV。アウトランダーPHEVは「i-MiEV」で培ったEV技術、「ランサーエボリューション」で鍛えた4WD技術、そして「パジェロ」で築いたSUVのノウハウを結集した三菱の集大成といえるモデルだ。
アウトランダーPHEVは画期的な“自分で発電する電気自動車”で、システム用バッテリーを搭載する関係で、5人乗りのみとなっている。
搭載されているプラグインハイブリッドEVシステムはデビュー当初は、総電圧300V、総電力量12kWhの大容量駆動用バッテリーを搭載し、フロントとリアにそれぞれ一基ずつモーターを搭載。
エンジンは2L直列4気筒ガソリンエンジンを搭載し、シリーズ走行モードでは発電専用として、パラレル走行モードでは主に駆動用として使用される。駆動方式はこれまで積み重ねてきた4WD制御の技術・ノウハウをベースに前輪はモーター及びエンジン、後輪はモーターでそれぞれ独立して駆動させる「ツインモーター4WD」を採用している。
2015年にマイナーチェンジを行い内外装の変更をはじめ、サスペンションの取り付け部の剛性アップや、PHEVシステムの制御系の変更などが行い、続く2018年の大幅改良ではPHEVシステムを一新している。
従来のPHEVシステムは搭載されているエンジンの排気量が2Lだったが、2.4Lと拡大。さらにカムプロフィールの変更やバルブタイミング制御により、アトキンソンサイクル化することで、低回転域での発電の効率をアップしている。
また、PHEVシステムの駆動用バッテリー容量を従来の12.0kWhから13.8kWhに増大するとともに、最高出力を10%向上。さらにリアモーター出力を約12%、ジェネレーター出力も約10%それぞれ向上させることで、EV走行の航続走行距離が65.0kmまで延長された。
さらに車両運動統合制御システム「S-AWC」は様々な路面状態や運転状況にきめ細かく対応するために従来のモードに加えて、「SNOW」「SPORT」の2つの走行モードを追加している。
現在、旧型のアウトランダーPHEVの中古車は、約400台流通していて、平均価格は約255万円。フルモデルチェンジの効果が出ていて、流通台数は増加傾向で平均価格は値落ちと絶好の買い時を迎えている。
中古車の価格帯は約100万~約488万円と非常に幅広く、予算200万円でも約100台がヒットする。約400台のうち約260台は2LエンジンのPHEVシステム搭載車で、2018年に行った一部改良後の2.4LのPHEV車はまだ少なめだ。
グレード構成では2.0Gナビパッケージが最も多く、次いで、2.0Gセーフティパッケージ。2.0Gプレミアムパッケージの順。一方後期型では2.4Gプラスパッケージが最も多く、2.4Gプレミアムパッケージが続く。
前期型で最も多い2.0ナビパッケージの価格帯は約100万~約315万円。後期型で流通台数の多い。2.4Gプラスパッケージの価格帯は約273万~約416万円と多少クロスオーバーしているものの、価格帯はハッキリと分かれている。
ポテンシャルは高いが中古車が少ないクラリティPHEV
クラリティPHEVのフロントスタイル
最後に紹介するのは、2021年12月で生産終了となったホンダクラリティPHEV。ホンダクラリティはまず2016年3月に水素を燃料とする燃料電池車のフューエルセルをリースで販売開始。そして、2018年7月のクラリティPHEVを販売開始した。
クラリティPHEVは家庭用200Vの普通充電に加えて、チャデモ方式の急速充電ポートを採用し、普通充電であれば約6時間で満充電となり、急速充電だと約30分で満充電の80%の充電が可能だ。
満充電時のEV走行距離はWLTCモードで101kmを実現。同じ国産車のPHEVで比較するとトヨタプリウスPHVの68.2km、そして三菱アウトランダーPHEVの65kmを大きく上回っている。
クラリティPHEVは1.5L直列4気筒ガソリンエンジンと駆動用そして発電用の2つのモーターを採用した「スポーツハイブリッドi-MMDプラグイン」と呼ばれるプラグインハイブリッドシステムはWLTCモード燃費で24.2km/Lという優れた燃費性能を実現。しかもリアシートは3人掛けなので乗車定員は5人となる。
また、大型のバッテリーを搭載するプラグインハイブリッド車ながら、床下にバッテリーや燃料タンクを最適に配置することで、トランク容量は512Lを確保。さらに6:4分割可倒式のリアシートを倒せばさらに荷室が拡大する野が魅力だ。
新車登録台数が一桁ということが多く、新車のセールスで苦戦していたこともあり、クラリティPHEVの中古車は約7台しか流通していない。平均価格は約341万円で中古車の価格帯は約268万~約488万円となっている。
諸費用込みの乗り出し価格、約323万円でディーラー系販売店が扱う中古車が手に入るのは魅力だ。クルマ自体は不人気だったが、ポテンシャルは高いので、中古車で狙う国産PHVとしては最も狙い目だ。ただし、流通台数が少ないため自分の好みのクルマを見つかられるかは運次第となりそうだ。
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みんなのコメント
アウトランダーはハイブリッドモードの燃費が悪い
クラリティはガソリンタンクの容量が極端に少ない
全部一長一短だね