クルマ好きの夢「セカンドカー」がカーライフに彩りを与えてくれる
今から40年ほど前のこと。当時大学生の分際でいすゞ117クーペを乗り回していた僕の頭に、ふと“セカンドカーが欲しい”などと不敵な思いが浮かんだ。町の外れの小さな中古車店の店先に並べられた、マルーンのスズキ・フロンテクーペの姿が目に止まる。
お気軽だけどマジで乗って楽しい! ドラテク磨きにぴったりなクルマ5選
「お、これだ! ジウジアーロのコレクションが1台増やせる!」と勇んだ僕は、早速、展示車を見せてもらうことにした……のだが、実はプライスカードの“0”が隠れて見えなかっただけで本当は50万円だったか70万円だったかの値付けで、バイト代をはたいてJBLのスピーカー(今も愛用している)をはじめとしたホームオーディオ一式を揃えたばかりだった僕には到底手が出せるはずもなく、その壮大なプランは一瞬にして消滅したことがあった。
セカンドカーは欲しいけど現実問題お金がかかる……
「セカンドカー」という響きは、クルマ好きにとっては夢の始まりのような言葉ではないだろうか? すでに何か1台所有していて、さらにもう1台あるいは2台、3台と……。ミニチュアカーなら部屋中に溢れるくらい集めたとしても、せいぜい家族から文句が出るくらいだが、本物のクルマとなればそうはいかない。
犬や猫のペットも多頭飼いすれば頭数分の保険代やら注射代がかかるのと同じように、クルマは駐車場代を始め、保険、税金、その他メンテナンス費用を考えると、複数台を持つには負担が増えるのは当然のこと。なかには秘密の車庫にヴィンテージカーや家族には内緒のクルマを持っているような強者もいらっしゃるが、せいぜいセカンドカーまでの2台持ちが一般的かもしれない。
欧州コンパクトカーの2台体勢でセカンドカーライフを堪能
今、僕は2気筒のフィアット500のファーストカーだけですべてをこなしているが、かつてメインのクルマともう1台、別のクルマを持ちながら2台態勢でやっていた時期がある。その時のセカンドカーに選んでいたのは主に欧州コンパクトカーでクラシック・ミニ(2台)、初代フィアット・プント、フォードKA、初代BMWミニなど。自宅は都下の長閑なエリアゆえ、庭にクルマを置く場所だけはあったが、まだセットバックがされていない昔ながらの田舎道だらけで、日常の買い物などでコンパクトカーは重宝する。
なので家庭内でも「買い物用ね」と同意を取り付けて、用途と気分で2台を乗り換えてセカンドカーライフを堪能していた。
スポーツカー気分で軽快な走りも楽しめた経済的なフォードKA
先に挙げた車種のうちフォードKAは、某中古車雑誌で見つけた中古車だった。買う瞬間は気持ちが高揚していて、後で考えると70万円は高かったかな~とも思ったが、正規導入直前にイギリスと南フランスの試乗会で乗ったその時の印象のままに、1.3LのOHVエンジンは決してパワフルではなかったものの回せば爽快なエンジンフィールだったし、何でもない足まわりだったが意外と低重心で、スポーツカーの気分でワインディングを走らせることもできた。
5速MTもスコスコとリズミカルに操作が可能で痛快。ある時、係員のいる駐車場で「これ、軽自動車じゃないよね?」と念を押されたことがあったが、あのクルマの人畜無害そうなルックス、キャラはそうやって少し世間を和ませる効果もあったかもしれない。
中古車だったKAだが乗っている間、幸い大きなトラブルは経験しなかった。1度だけホーンが鳴らなくなりディーラーで純正の新品(プッ! というかペッ! と鳴るプリミティブな単音のヤツ)に取り換えたことがあったが確か数千円の費用で済んだ。
スポーティMT車がリーズナブルに購入できる輸入車が狙い目
セカンドカーに話を戻せば、2台目をどんなクルマにするか、は、人それぞれのパターンや環境次第。だが、世の中のお父さんの身になると、メインにミニバンがあって実用上こと足りているのなら、ここは思いきって趣味性の高いクルマを選ぶというのもアリだ。 とくに輸入車、それもMT車などだったら存分に楽しめていいだろう。ただしMT車というと車種がある程度絞られる上、流通量も決して豊富ではないはず。とはいえ中古車市場の専門家ではないので無責任なことを書くわけにはいかないが、車種として出会う可能性があるのは当然スポーティモデルで、A&BセグメントならVWルポGTIやフィアットHGTアバルト、シトロエンC2 1.6VTS、プジョー206RC、ミニ・クーパーS(初代BMWミニ)など。
Cセグメント以上なら、アルファ156は初期モデルなら2LもV6(2.5L)もMT車のみでスタートしたモデルだし、147でもMTの用意があった。ルノー・メガーヌIIルノースポール、BMW330Ci(E46のクーペボディ)、VWゴルフ、コラードといったMT車も希少だが見つかる可能性はありそうだ。
ただし注意も必要だ。たとえば価格を50万円以下に絞ると、車種にもよるが年式もそれなりに低いのが一般的。MT車の場合はAT車との人気差でお値打ち価格になっていることも考えられるが、いずれにしてもコンディションは個体ごとの判断になる。信頼できる目利きのいる販売店に出会えれば、メンテナンスまで任せながら不安なく乗り続けることができるだろう。 コロナ禍で大変な時代ではあるが、気分を変えて低負担でカーライフの楽しみの幅を広げてみるのもよいかもしれない。
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