四国のミルキーウェイ ブルーアイランド ラリー競技長の愛車はGC8 インプレッサWRX
四国を舞台としたヒストリックカーのミーティングイベントから始まり、10年間のジムカーナ大会を経て、スカベンジャーラリーとしては27回目、通算38回目を迎えた「ミルキーウェイ ブルーアイランド ラリー(以下ミルキーウェイ)」が2023年11月11日~12日に開催された。今回は、ラリーを陰で支える競技長が乗るスバル「インプレッサWRX」(GC8)を紹介しよう。
本物のWRカーであるスバル「インプレッサ」がなぜ公道を走れる?「ナンバー取得に6年かかりました」
ラリー初開催時からずっと「0カー」として活躍
全国的にもヒストリックカーのラリーイベントとしては、すでに長い実績のあるミルキーウェイであるが、そのコース設定も神々の宿る山々、瀬戸内や雄大な太平洋を望む海沿いのコースを組み合わせるなど、リピーターを飽きさせないのも人気の理由だ。コロナでのイベント自粛から4年ぶりの待ちに待った開催に、全国からたくさんのエントラントが今年のスタート地点愛媛県今治市にある久万高原に集まった。
さまざまな車種・国籍のヒストリックカーに加えて、今年も当日のコースを確認して回る0(ゼロ)カーは、ラリー初開催時の28年前には新車であった1995年式スバル インプレッサWRXだ。毎年、コース図を作成し結果の集計まで責任重大な役目を担当している、競技長こと湯本晋吾さんの愛車である。
「いや競技長といっても集計も私ひとりだけですし、誘導をしたり写真撮影もします。単なる雑用係ですよ」
と笑う。本人は謙遜しているが、毎年大勢の参加者が楽しむミルキーウェイを陰で支えているひとりだ。
普段乗りとしての快適性も考えて普通のWRXを選択
以前はAE86に乗っていたという湯本さん。AE86を手放してからはしばらく軽自動車を足にしていたが、軽自動車の傷みもあり次のクルマを考えていた。ちょうどWRCのGr.Aでもスバル、ランチア、トヨタ、三菱などのハイパワーサルーンが活躍していた時だった。
「インプレッサかランサー、どちらか悩んでいたのですが、スバルがWRC総合チャンピオンになったので、一気に気持ちがインプレッサに傾いたんですよ。ちょうど、そのタイミングのマイナーチェンジでボディカラーに青が追加されたのが決め手でした」
「本当はSTIバージョンが気になっていたのですが、この時はまだ競技車ベースのRAがベースでした。マニュアルエアコンと、手巻きウインドウという選択よりも、普段乗りのクルマとするため快適性を考えて普通のWRXを選択したのです」
とはいえ、やはりWRCのイメージへの憧れが残っていた湯本さん、足まわりのブッシュはSTIの強化品に変えてサスペンションも車高調整式にするなどのモディファイを楽しんでいたそうだが、ミルキーウェイ主催者のシロー(兵頭史朗)さんとのコース下見の時に「字が書けん」と文句を言われ、泣く泣くSTIバージョンの純正にしたという。
毎日の通勤とラリーの準備・運営で走行距離は33万キロ超え
「最初はクルマつながりの知人から会場設営の手伝いを頼まれたのがきっかけでしたが、また別の知人との再会があり、シローさんと話す機会も増えたこともあって、ミルキーウェイがミーティングからラリーに変わる頃から関わりが深くなり、ちょうどインプレッサを購入したこともあり、2回目から“0カー”として先行車となりました」
それから27年間、毎日の通勤や、年1回とはいえ2日間で約500kmを走るラリーのコース設定や下見。飽きさせないために地元松山だけでなく四国4県を跨ぐと、その走行距離も増していく。現在インプレッサのオドメーターは33万4000kmを表示している。
「30万kmを走っていると、やはりトラブルが無くはありません。ミルキーウェイ当日の朝に1気筒死んでしまったのですが、競技に使うボードの設置もあり約250kmを3気筒で走ったこともありました。ミルキーウェイにも毎年参加している岡市さんの工場カースタッフOKAICHIで面倒を見てもらっているのですが、車載のまま片側のヘッドを外してもらうなど、離れ業をやってもらったこともあります」
まだまだインプレッサとともにミルキーウェイを盛り上げていく
1995年式のインプレッサもそろそろ30年近くなり、ヒストリックカーまであと一歩という歳月が経過したクルマだ。
「部品の入手も難しくなってきていますが、頼りになるメンテナンス工場もあり、できるだけ長く乗って一緒にミルキーウェイを楽しみたいですね」
「コマ図が手書きからパソコンで作るようになった頃から本格的に競技のことも考えるようになりました。これからも簡単に優勝させない競技にしたいですね(笑)。そうした意地悪もありますが、パーティでは参加者さんを詳しく紹介したり、ミルキーウェイは人と人との関係を大事にしているのが魅力です。パーティ会場には、これまでに関わった故人を追悼するコーナーがあるのですが、他にそうしたイベントは知りません。スタッフのひとりとして関係しているのは本当に嬉しいです」
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