スズキ ソリオ 「使い勝手のよさが素晴らしい」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

使い勝手のよさが素晴らしい

2023.1.11

年式

2020年12月〜モデル

総評

とにかく実用車としてベスト。車体が小さいから運転しやすいし、使い勝手が良く、安価で、燃費もいい。日常の移動ツールとしてベストなクルマだと思います。ポジションとしては「軽スーパーハイトワゴン＋α」ですが、自動車税などわずかな出費と引き換えに軽スーパーハイトワゴンに対する余裕が得られるのは魅力だと思っています。

満足している点

室内（特に後席）が広いうえに、先代やライバルに対して積載性能で勝るパッケージング。車両価格が控えめなこと。そしてカタログ値だけでなく実際の燃費もいいこと。よくできた実用車です。

不満な点

車体が小さくて室内が広くて実用的で安価。そういう目的をもってクルマ選びをする人にとってネガティブなポイントはないのでは？　いっぽうで高級感が欲しいとか、スタイリングに立派さが欲しいといった“欲”があるのなら、ソリオ以外を選んだほうが幸せになれるかもしれません。

デザイン

3

ソリオのハイブリッドモデルに標準車と「バンディット」という2タイプのデザインがあり、大きな違いは顔つきです。どちらを選ぶかは好み次第ですが、標準タイプでも上質感あるデザインで個人的にはこちらで十分のような気がしています。もともと“小さな車体サイズに最大限の室内空間”というパッケージング重視のクルマなので、車体のプロポーションをはじめスタイリングの自由度は少ないですから、やはり顔つきで個性を出していこうということなんでしょうね。

走行性能

3

運転を楽しむクルマなので「これは凄い」といった部分を見つけるのはなかなか難しいです。しかし、走りのしっかり感というか、運転していてきちんと筋が通っているのはさすがスズキ。峠道を走っても極端にフラフラしないから安心できるし、それは日常の領域でも実感します。ガチンコライバルのあのクルマに比べるとタイヤが路面をしっかり捉えている感覚や、前後左右へのふわっとした揺れが少なく、その結果としてしっかり感や安心感で上位に立っているといっていいでしょう。

乗り心地

4

日常の快適性を重視したクルマは、もし乗り心地が悪かったら詐欺に近いのではないでしょうか。というわけで安心してください。ソリオは乗り心地も良好で快適。先代は「走りのしっかり感に振りすぎて乗り心地のゴツゴツ感が少しあるような……」などと一部でいわれていましたが、新型はしっかりとバランスをまとめてきましたね。

積載性

4

先代に対する進化であり、同時にライバルに対するアドバンテージにもなっているのが積載性能。現行モデルはフルモデルチェンジ時に先代に対して全長が8cm伸びましたが、それはそのまま荷室の奥行き拡大となっています（リヤゲートの内張りの改良でも2cm拡大して奥行きは合計10cm広がった）。たとえば、後席を倒したりスライドすることなく機内持ち込みサイズのスーツケースを6個（床上に5個＋床下にひとつ）積めます。広い後席スペースに加えてその積載量ってすごくないですか？　ちなみにガチンコライバルは同じ状態だと2個しか積めません。

燃費

4

WLTCモードで19.6km/L。素晴らしいですね。ソリオのハイブリッドは「マイルドハイブリッド」と呼ばれるモーター出力が小さく簡易的なタイプですが、それでもしっかりと燃費に効いています。具体的には、停止からの発進を繰り返すような市街地走行だと燃費への寄与度が高いですね。しかも、こういった安価なコンパクトカーにとっては価格アップが少ないのも長所と言っていいでしょう。それにしても、普通に走って実燃費15km/Lオーバーも難しくないのだから素晴らしい。

価格

5

さすがスズキといっていいのではないでしょうか。ハイブリッドのベーシックタイプ（ソリオにとっては中級グレードなので助手席側のパワースライドドアを標準採用するなど装備は充実）である「ハイブリッドMX」が185万200円。運転席側の電動スライドドアやLEDヘッドライトを加えた最上級の「ハイブリッドMZ」が202万2900円というのは、内容を考えるとバーゲンプライスに思えます。ちなみにソリオシリーズの中では、ハイブリッドではないベーシックグレードの「G」なら158万1800円から選べます。アンダー160万円は安すぎ……。