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ヤマハ「大きく変更したシャシーをテスト」。ホンダ「進むべき方向性がわかった」/MotoGPヘレス公式テスト

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ヤマハ「大きく変更したシャシーをテスト」。ホンダ「進むべき方向性がわかった」/MotoGPヘレス公式テスト

 MotoGP第4戦スペインGP後の月曜日に行われたそれは、2024年シーズンが開幕して初めての公式テストだった。ヤマハとホンダは、テストで何を行っていたのか。

■ヤマハ:変化は、より大きなものに

優勝争いで再び激突したふたりの王者。勝負に備えたバニャイアとタイヤが限界を迎えたM.マルケス/第4戦スペインGP

 ヤマハはモンスターエナジー・ヤマハMotoGPチームのファビオ・クアルタラロ、アレックス・リンスのふたりでテストを行った。クアルタラロの話によると、シャシー、空力デバイス、スイングアーム、電子制御など多くのことをテストしたという。

 特にシャシーについては、旋回性の向上を狙ったものだ。スペインGPの決勝レース後、クアルタラロは「ブレーキングでバイクを曲げるのにかなり苦労した。それで、レース中盤からは腕の問題に悩まされたんだ」と語っていた。クアルタラロによれば、腕上がりは今年、何度か起こっていたという。

 こうした課題に取り組んだ新しいシャシーだったが、クアルタラロとリンスの反応は芳しいものではなかった。

 クアルタラロは「進入については少しだけ改善が見られた。ただ、旋回ではなく、とても小さな前進だ。フロントからのフィードバックが少しよくなった。それは欠けていたものではあるけど、すごくよくなったといわけではないんだ」と評価している。

「特に最終セクターがうまくいかない。以前は僕たちがすごく速かったところだけど、今はそうじゃない。このふたつのコーナーでできること、フィーリングがないことを知っている。旋回性がいいときには、アグレッシブになりすぎずにバイクをピックアップできる。ひとつのことが、多くの困難を生み出すんだ。これが、僕たちが改善を求めていることなんだよ」

 改善に向けた取り組みはまだ続く、といったところだろう。ただ、ヤマハに新しい風が吹いていることは、確かだ。クアルタラロはしばしば、ヤマハの「変化」に言及してきた。そして今回のテスト後も、「ヤマハの仕事に満足か?」と問われ、こう答えている。

「新しいものをテストしたからね。小さなものではなく、大きく変わった新しいシャシーをテストしたわけで。以前はテストしても、変化は小さなものだった。でも、今は僕にとって、バイクで感じることが大きく変わったんだ。どこが正しい方向性なのかを知る最初の一歩だった」

「でも、また別のテストでちゃんと確認しなくちゃいけないし、バイクに乗って行うアイデアがある」と、クアルタラロは慎重に語っていたが、重要なことは、正しい方向性が見えているということだ。

 ヤマハはフランスGPのあと、ムジェロ・サーキットでプライベートテストを行う予定だという。

■ホンダ:ミル「方向性が見えてきた」

 スペインGP前週の金曜日、バルセロナ・カタロニア・サーキットでテストをしたジョアン・ミル(レプソル・ホンダ・チーム)は、レースウイーク木曜日の囲み取材で、「このバイクのコンセプトは正しくない。コンセプトを変える必要がある」と言い切った。ただ、ヘレス公式テストの午前中を終え、早くも囲み取材に現れたミルの表情は、明るかった。「方向性が見えてきた」と言うのである。

「見た目よりはポジティブだったよ。僕たちは異なるシステム、コンセプトをテストした。それは機能していたと思う。今後、僕が進みたい、発展させていくべきひとつの方向性だ。ただ、それは今ではなくて将来的に可能性があるかもしれない、ということなんだ。といってもまあ、とてもよかったよ。進むべき方向性がわかったからね」

「僕たちのウイークポイントである旋回性について改善を見出そうとしている。僕たちはこのマシンで、さらに旋回性を向上できると理解したんじゃないかと思う。ほかの部分については、まだ多くについて欠けている部分があるのは確かだけど、改善の余地が大いにあるところだと思うんだ」

 一方、サテライトチームの中上貴晶(イデミツ・ホンダLCR)とヨハン・ザルコ(カストロール・ホンダLCR)は、ミルがバルセロナでテストし、テストライダーのステファン・ブラドルがスペインGPで走らせたマシンをテストした。中上は「乗っている感じはほとんど同じ」と語り、ホンダのなかでも見解が一致しているということだった。

 ホンダのマシンの改善とともに、スペインGP、ヘレス公式テストで気になったのは、ホンダのMotoGPプロジェクトとして変化があったのか、ということだ。4月1日、桒田哲宏氏に代わって本田太一氏が二輪レース部門レース運営室長に就任したからだ。本田氏は二輪レース部オフロードマネージャーとして、ダカールラリーなどで指揮を執ってきた人物である。

 トップを走りながらさらに加速していくドゥカティ、それに追いつかんと精力的に開発を進めるKTM、アプリリアに追いつくためには、少なくとも、それ以上の推進力が必要であることは明白だ。取り組み方やアプローチの変化というポジティブな影響の兆候は、現時点で見られているのだろうか(あるいは、その可能性があるのだろうか)。

 中上にそう尋ねると、「あまり感じていないですね」という回答だった。それもそうだろう。まだひと月も経っていないのだから。ただ、「期待することは、もちろんある」と中上は言う。では、ホンダで7シーズン目を迎えている中上が、MotoGPプロジェクトにおいて期待する変化とは、何だろうか。

「エンジニアもそうだし、日本でもいろいろなことをやっていて、去年に比べればアイデアもすごく多くなっています。だから、仕事に対しての、ネガティブな感覚はないんです。ただ、それが自分たちが望むようなタイムやフィーリングにつながらず、攻めるときに限界があるんですね」

「僕としては、もっと違うアイデアが必要なのかな、とは思います。今の彼らが考えている枠から、違うことをするタイミングかな、と思いますね」

 ホンダもまた、状況を変えつつあるのだろうか。それを確かめるには、まだもう少し、時間が必要だ。

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みんなのコメント

5件
  • ton********
    ホンダはブラドル解雇して、中上をテストライダーにして小椋を昇格させた方が…。
  • jfj********
    新しいパーツが準備できても走って見ないとわからない そこにエビデンスがあるのか モノマネではダメで 手応えなければ撤退しないといけないと思う そこに理論はあるのかどうか
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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