まだまだ目が離せないカウンタックの市場
2024年5月10日、RMサザビーズがモナコで開催したオークションにおいてランボルギーニ「カウンタック LP5000 QV」が出品されました。1985年にデビューした同車は、フェラーリに対抗するために排気量を拡大し、エンジンは1気筒あたり4個のバルブが採用されたモデルです。オークションに登場にしたのは後期型で、走行距離は4万473kmと魅力的な1台でした。
北米仕様「カウンタック」が1億円オーバー!「LP5000QV」でも高額な予想落札価格だった理由は、ワンオーナー走行1273キロだったからでした
フェラーリに対抗するために進化を遂げた
ランボルギーニは、1974年に発表された「カウンタック」のファーストモデル「LP400」を原点に、1978年には「LP400S」、1982年には「LP500S」をデビューさせ、スーパースポーツとしてのパフォーマンス、そしてランボルギーニというブランドの存在感をアピールし続けた。
だが彼らにとって最強のライバルともいえるフェラーリは、それまでの「BB」シリーズに代わる新世代12気筒ミッドシップの「テスタロッサ」を1984年に発表。それはランボルギーニにとって脅威ともいえる新型車にほかならなかった。
もちろんランボルギーニが、テスタロッサの誕生まで、カウンタックの進化策を検討していなかったわけではない。当時のチーフ・エンジニア、ジュリオ・アルフィエーリには、当然のことながらさらに強力な12気筒ミッドシップとBBシリーズに代わるフェラーリの次期モデル像は想像されていた。一方のランボルギーニとしても、それに対抗するにはカウンタックをさらに進化せるほかには策はなかった。
実際に後継車の「ディアブロ」がランボルギーニから発表されるのは1990年のことだ。それまでランボルギーニは、1985年発表の「LP5000 クアトロバルボーレ(以下:QV)」でフェラーリに対抗し続けることになる。
LP5000 QVがアップデートされた箇所とは
アルフィエーリの考えたカウンタックの進化策は、リアミッドに搭載されるV型12気筒エンジンをさらに強化することから始まった。前作LP500Sの4754cc仕様のV型12気筒エンジンをベースに、85.5mmのボアはそのままに、ストロークのみを75mmに延長したことで得られた排気量は5167cc。これはじつに413ccもの排気量拡大となる。組み合わせられるキャブレターもそれまでのサイドドラフト式からダウンドラフト式のウェーバー製44DCNFに変更された。そのためにエンジンフード上には大きなバルジが設けられることになった。したがってキャビンのミラーからの後方視界はほとんど皆無に近いものになった。
さらにアルフィエーリは、V型12気筒エンジンに、DOHC 4バルブヘッドを与えている。「LP5000」という車名に添えられるクアトロバルボーレとは、イタリア語で4バルブを示すもの。LP5000 QVは、最高出力ではテスタロッサに対して80psものアドバンテージを持つスペックを得ることになったのである。アルフィエーリは開発初期にはV型12気筒エンジンのターボ化なども考慮したというが、それは耐久性等の問題で断念されている。
LP5000QVには、ほかにもいくつかの進化の跡がある。フロントフードとエンジンフードは、軽量化のためにいずれもケブラー製となり、1988年モデル以降ではブレーキダクト付きのサイドスカートをオプション選択できるようになった。そしてもうひとつ忘れてはならないのは、ランボルギーニはLP5000 QVにおいて、ボッシュ製のKジェトロニックや触媒と排出ガス回収装置を搭載したことだ。
さらに灯火類やバンパーなどを法規に合わせた、正式な北米仕様を初めて設定したこと。LP5000 QVの生産台数はトータルで610台と、今回のモナコ・オークションを主催したRMサザビーズは解説しているが、それにはこの北米仕様の貢献度も大きい。出品車はブレーキダクト付きのサイドスカートを備えた、いわば後期型のモデル。走行距離はわずかに4万473km、年間に5000kmしか走行していない計算になる。
1988年7月にランボルギーニから出荷されたこのモデルは、その後ドイツにおいて新車で販売され、1年後にはイギリスの現オーナーの手に渡った。また今回のモナコ・オークションに出品するためのサービスを含めた、以後のサービス記録のすべてが保管されていること、そしてスペアホイールとツールロールが付属していたことも、高評価へとつながる材料だった。
実際にオークションで決着したプライスは、45万5000ユーロ(邦貨換算約7600万円)。カウンタックの人気は、これからまだまだ上昇しそうな気配だ。
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トヨタなんてその2年前から既に庶民的な価格でツウィンカム、クアトロヴァルヴォーレを実現出来ているというのに