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魅力的な自動車雑誌が豊富にそろう!ドイツにおける最新の「自動車雑誌事情」とは?

掲載 更新 6
魅力的な自動車雑誌が豊富にそろう!ドイツにおける最新の「自動車雑誌事情」とは?

運営元:外車王SOKEN
著者 :守屋 健

ドイツのバスは連接の長いものが多いのも、お国事情の違いでしょう

EU最大の経済大国にして、世界有数の自動車大国でもあるドイツ。ところが実際にドイツに住んでみると、こうした「先進国イメージ」とは裏腹に、意外なほどアナログで後進的な社会であることに衝撃を受ける人も少なくありません。



新型コロナのパンデミックが起きるまで、クレジットカードが使えないというお店は当たり前でした。他にも、電子メールよりも手紙や電話でのコミュニケーションが好まれたり、インターネットの回線が驚くほど遅かったり、街中のWi-Fiスポットがとても少なかったり、電車やバスの遅れは日常茶飯事だったり。



筆者がもうひとつ「アナログだなあ」と感じたのが、現在の雑誌や書籍の充実ぶりです。書店に入るとわかりますが、この電子書籍の時代に「誰が買うの?」と言わんばかりの大量の雑誌、小説、写真誌がずらりと並んでいます。



今回のドイツ現地レポは、現地で数多く販売されている自動車雑誌に着目。どんな雑誌が売られているのか、中身に日本との違いがあるのか、筆者が入手した雑誌をもとにレポートしていきたいと思います。



■自動車・バイク雑誌はとにかく種類・量ともに豊富

書店やガソリンスタンド併設のコンビニに入ると目に飛び込んでくるのが、ラックいっぱいに並べられた自動車・バイク雑誌です。自動車雑誌に限ってジャンルをざっと並べるだけでも、



・新車情報誌
・スポーツカー専門の新車情報誌
・キャンピングカーの専門誌
・4輪駆動車の専門誌
・電気自動車の専門誌
・トラクターの専門誌
・クルマ本体というより、クルマでどこに旅をするか?に焦点を当てた旅行専門誌
・クラシックカー、ヤングタイマー、レストアなど古いクルマに関するそれぞれの専門誌
・フェラーリ、ポルシェ、ジャガー、メルセデス・ベンツなど、それぞれのメーカーの古いクルマから新車まで掲載する高級車専門誌
・フォルクスワーゲン、BMW、オペル、メルセデス・ベンツ、ポルシェ、それぞれのメーカー専門のチューニング雑誌



などがあり、それぞれに2~3種類ずつの雑誌が出ているので、ラックはほぼぎゅうぎゅう詰めの状態です。



ちなみに、ドイツで書籍は「生活必需品」として認識されていて、ロックダウン期でもスーパーマーケットやドラッグストアと同じく、誰でも書店に入れる状態が維持されてきました。



■クラシックカー系の雑誌をのぞいてみよう!

では早速、筆者が入手した雑誌を紹介していきましょう!



7冊ほど並べてみました。ドイツの雑誌・書籍の表紙デザインはシンプルなものが多いのですが、自動車雑誌に関しては例外で、文字や写真が多くわりとごちゃごちゃした印象を受けます。すっきりしたデザインの雑誌なんて、この中では中央のポルシェ・911が表紙の本くらいしかありません。



最初に紹介するのは、アオト・ツァイトゥング誌が発行している、オールドタイマー・ヤングタイマー専門誌「クラシックカーズ」。値段は4.5ユーロ(約590円)。
ドイツの典型的なクラシックカー系の雑誌と言ってよいでしょう。とにかく大量のクルマと文字が表紙を飾ります。A4サイズ、全130ページでフルカラー。しかし紙自体が薄いため、それほど厚みはありません。



クラシックカー系の雑誌の特徴は、多くの雑誌に「クルマの現在の相場表」が載っていることです。現状販売と整備済み車両それぞれの価格と、現在相場が上昇傾向にあるのか下降傾向にあるのか、それば一目でわかるようになっている場合が多いです。



ドイツでも大人気、フィアット・500。その下に書かれている「ZUSTAND 2」は整備済みの車両のこと、「WERTENTWICKLUNG」は価値の変動を意味しています。ここでは、整備済み車両の価格相場は7,900ユーロ(約104万円)で、価値は下降傾向にある、ということが読み取れます。特集ページの扉写真に相場情報を直に載せるのは、「結局いくらかかるのか?」と結論を急ぐドイツらしい構成だと感じますね。



情報をとにかく見やすく一か所にまとめる、というのは誌面全体に徹底しています。先ほどのフィアット・500の特集の続きですが、画像の範囲に「このクルマの良い点・悪い点、取材車両の取り扱い業者、自動車保険料、クルマの状態別相場、整備や購入に関して気を付けるべき点、交換部品の調達のしやすさと価格」が凝縮されています。ここを読めば一発で必要な情報を得られるので、慣れると本当に読みやすいです。



続いて、アオト・モーター・ウント・シュポルト誌の発行する、ヤングタイマー・オールドタイマー専門誌「モトーア・クラシック」。クラシックの頭文字が「K」から始まっているのは、これがドイツ語だからですね。



値段は5.5ユーロ(約730円)と、先ほどの「クラシックカーズ」よりも少し高め。同じくA4で、フルカラー146ページとなっています。日本車の特集が組まれていたので、うっかり買ってしまいました。



ドイツの自動車雑誌の特徴のひとつが「Fazit」欄です。画像中央に男性のイラストがあり、その上に「Fazit」と書かれていますが、直訳すると「結論・総括」となります。つまりここさえ読めば、この記事を担当したライターが一番言いたいことがわかるようになっているのです。



こうした「Fazit」欄は、クラシックカー系の雑誌に限らず、あらゆるドイツの自動車雑誌で見かけます。特に、新車情報誌のテスト記事の最後には必ず「Fazit」が書かれているので、もし目にする機会があれば注目してみてくださいね!



先ほどの「モトーア・クラシック」の姉妹誌、「ヤングタイマー」。70年代から90年代のクルマの専門誌です。メルセデス・ベンツ Sクラスの50周年を記念する特集記事が組まれていました。表紙には日産350Zやマツダ・ロードスターも登場しています。同じくA4フルカラー、82ページ、値段は5ユーロ(約660円)。



■ニッチな「ポルシェ911再解釈」専門誌も!

ポルシェ・911の専門誌は数多くありますが、これは「911を再解釈する専門誌」というかなりニッチな本、「ヴェルク・アインス」。今回紹介する中ではもっともスタイリッシュなデザインの雑誌で、写真や記事のクオリティも非常に高いです。その分高価で、価格は9.8ユーロ(約1,290円)。



A4フルカラー98ページですが、紙質が良く、長期保存もできそうです。内容は、シンガーに代表されるような「911を自分たちのオリジナルの解釈でレストア・モディファイする」ことに焦点を当てられています。



表紙を飾っているのは、スイスのEGMOという会社がリファインした964で、4.3リッターまで拡大されたフラットシックスは405馬力を発生。こうしたハイクオリティなリファインを施されたポルシェ・911が数多く掲載されています。



スポーツカー専門の新車情報誌の代名詞、「アオト・ビルト・スポーツカーズ」。とにかくテスト記事が豊富で、ひたすらサーキットでタイム計測を行ったり、雪原でスポーツカーをぶん回して走らせたりしています。A4フルカラー、114ページ、4.7ユーロ(約620円)。



こうしたスポーツカー系新車情報誌のアイドル的存在が、BMWアルピナです。B3ツーリングとB5ツーリングをサーキットで走らせ、そのタイムを計測し、勝者を決めるいう記事が掲載されていました。なんと贅沢な……。ちなみにこの画像にも「Fazit」欄がありますね。



この記事の最後を飾るのが、BMWのチューニング専門誌「BMWシーン」です。A4フルカラー、98ページ、4.5ユーロ(約590円)。先述したように、ドイツのメーカーのほとんどに対応したチューニング雑誌が発売されているのですが、本気度はこのBMWのチューニング雑誌が一番でした。



表紙の2002は、わざわざドイツからイギリスまで出かけて撮影した、という凝りよう。最新車種だけでなく、古い2002のようなクルマも、クラシックカーレースに出られるようチューニングして楽しむ、という文化が強く根付いているように感じました。



■ドイツにおける自動車雑誌は空港や駅でも気軽に購入できる

ここまで駆け足でドイツの自動車雑誌について紹介してきましたが、いかがだったでしょうか。通して印象に残ったのは、取材車両のオーナーや、テスター・ライター、それぞれの顔がよく見える記事が多い、ということです。多くの車両のナンバーが消されずに掲載されている点も、日本とは大きく違うと感じました。



これらの雑誌は、空港や駅の売店でもたくさん売られています。値段もそれほど高くないので、ドイツを訪れた際にはぜひお店で手に取ってみてください。それではまた、次回のドイツ現地レポでお会いしましょう!



[ライター・写真/守屋健] 



 



 



 

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みんなのコメント

6件
  • もう自動車雑誌なんてオワコン。

    そんなのネットの情報で済む話だし、
    そもそも自動車雑誌に書いてある内容も
    手のひらクルクルな忖度やネガキャン、
    都合のいい世論操作、思い出補正、
    そして時代遅れの価値観や公平にクルマが見れず
    メーカーによって態度が豹変したりと荒れ放題。

    それに自動車雑誌の表紙を見てみなよ、
    にわかと高齢者ウケなセンスばっかで
    まともな自動車雑誌は消えた。

    これはあのスクープ雑誌もだ。
    同じジャンルのクルマでも
    メーカーによって贔屓したり、
    逆に最初から叩く気満々だったりとヒドすぎ。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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