この記事をまとめると
■日本メーカーなのにも関わらず左ハンドルで販売されたクルマを紹介
「なんであの車種日本に入らない?」と簡単にいうが……輸入車メーカーが日本仕様車を作るときの意外な苦労4つ
■左ハンドル仕様でもブームの影響もあり売り上げは好調だった
■フルオーダー仕様のクルマは右と左を選べる場合もある
日本車なのに左ハンドルなあべこべマシンを紹介
言わずもがな日本の道路は左側通行で、すなわち国産車のハンドル位置は右となっているのが基本だ。そして、筆者が知っている限り、日本で作られた左ハンドルの国産車が、いまの日本領土内で売られたという話は、50年前に返還される以前の沖縄(当時はアメリカ)で販売されたケースくらいしか思いつかない。
もちろん、海外仕様を並行輸入したケースは数多くある。しかし、純粋に日本国内で生産された国産車なのに左ハンドル仕様で日本向けに正規販売されたことはないはずだ。
とはいえ、国産ブランドが日本向けに左ハンドル車を正規販売したケースはあった。その第1号といえるのが、1988年4月に日本に導入された「ホンダ・アコードクーペ」だ。
ホンダ・ブランドでありながらアメリカ・オハイオ州のメアリーズビル工場で生産されたアコードクーペは、ブランド的には日本車には分類されたが、間違いなく輸入車だった。実際、車検証には「ホンダオブアメリカ」と記されていた。
主要スペックは、全長4565mm・全幅1695mm・全高1340mmで、エンジンは総排気量1955ccの4気筒SOHC、トランスミッションは4速ATとなっていた。こうした5ナンバーに収まる諸元からも感じられるかもしれないが、アメリカ仕様をそのまま日本に持ってきたというわけではなく、アメリカの現地法人が日本向けにアレンジした仕様となっていた。
その背景には、日米貿易摩擦に対するポーズとして、日本がアメリカから自動車を輸入しているという事実を残すことが重視されたという話もあったが、その一方で、日本サイドの運輸省(現在は国土交通省の一部になっている)は左ハンドル仕様だけのモデルを日本で正規販売することに難色を示したという話もあった。
そうしたこともあってか、1990年3月にフルモデルチェンジした2代目アコードクーペでは、同じくホンダオブアメリカ製でありながら右ハンドル仕様も用意するようになった。それでも左ハンドル仕様を選ぶことができたのだった。さらに、1994年2月にモデルチェンジした3代目アコードクーペにおいても引き続き左ハンドル仕様は設定されていた。
オーダーメイドで左ハンドル化も可能!?
同じような例は三菱自動車にもある。それが、ご存じ「エクリプス」だ。
エクリプスも生産工場は北米で、当時提携していたクライスラー(現在はステランティスの一部)との合弁企業であるダイヤモンドスターモーターズが製造する2ドアのスポーツクーペ。エンジンは2リッターターボの名機「4G63」を積み、4WD仕様もあった。非常にポテンシャルの高いモデルとして玄人筋には注目を集めていたのがエクリプスだ。
その日本デビューは1990年6月で、言わずもがなすべて左ハンドル仕様で販売された。その後、1995年には2代目モデルへとフルモデルチェンジ、1996年には4座オープンの「エクリプス スパイダー」が設定される。
さらに2004年にはフルモデルチェンジをしてV6エンジンを積んだエクリプススパイダーが日本上陸。結果として3世代にわたって、左ハンドル仕様の日本車として名を馳せることになった。
2006年あたりで販売終了となったエクリプススパイダーを最後に日本車の左ハンドル仕様は消えていた。
しかし、もしかすると左ハンドル仕様の日本車が日本に上陸しているかもしれない。それが「Nissan GT-R50 by Italdesign」だ。
スカイラインGT-Rとイタルデザインのそれぞれ50周年を祝うコラボレーションから生まれた50台限定のGT-Rは、量産GT-Rよりも長くてワイド、そして低められたボディを持つ。エンジンについても、ニスモチューンにより推定720馬力まで高められているというスペシャルなマシンだ。
このGT-R50 by Italdesignの仕様は、完全オーダーメイドに近いといわれ、ハンドル位置も右と左のいずれも選べるという。はたして日本からオーダーした人物が存在するのか、いたとしてどちらのハンドル位置を選んだのかは明らかになっていないが、もし日本に上陸するとしても左ハンドルになっている可能性は高いといえる。日産が日本向けに展示したプロトタイプでさえ左ハンドルだったのだから……。
現時点では日本の自動車マーケットは世界第3位の規模となっているが、年々シュリンクしているのは事実。はたして、日本市場が縮小していく中で、左ハンドルの日本車が輸入されるような時代はふたたびやって来るのだろうか。
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みんなのコメント
エンブレムだけでなく正真正銘本国仕様の左ハンドルだったのが購入の決め手でしたね
ちなみにフェラーリの右ハンドルもありますよね〜