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「華麗なカーチェイス」で刻んだ記憶 フォード・マスタング・ブリット 4世代を比較(1)

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「華麗なカーチェイス」で刻んだ記憶 フォード・マスタング・ブリット 4世代を比較(1)

記憶に残るマスタングを生んだマックィーン

俳優、スティーブ・マックィーン氏演じる警部補が、渋いマスタングで華麗なカーチェイスを繰り広げた映画、「ブリット」。ワーナー・ブラザーズと手を組んだフォードは、ハイランド・グリーンに塗られた1968年式のGT390 ファストバックを提供した。

【画像】マスタング・ブリット オリジナルのレプリカとリメイク版3世代 最新7代目とEVのマッハE GTも 全106枚

マックィーンの天才性は、マスタングを激しい描写へ見事に同調する、荒々しいクルマへ仕立てたことにも表れていた。フォードは「ブリット」で生まれたイメージを、現代まで育み続けてきた。

ロックスターが奏でるような、派手なBGMはナシ。実際の道路を駆け抜ける2台が、10分53秒に渡ってカーチェイスを続ける。不自然に演出された当時の表現から一線を画すリアルな展開は、劇場で見る者へ衝撃を与えた。

グリーンのフォルクスワーゲン・ビートルが何度も登場することや、同じ左折シーンが2度用いられたことはご愛嬌。本物が追求されていたことは間違いない。マスタングも、しっかり肉体改造されていた。

レーシングドライバーでエンジニアだったマックス・バルチョースキー氏は、初代マスタング・ファストバックをチューニング。390cu.in(6384cc)のV型8気筒エンジンに手を加え、派手なスタントシーンへ対応させた。

だが、記憶に残る見た目をディレクションしたのは、マックィーン本人だったという。ハイランド・グリーンの塗装は、落ち着いた印象を与えるのと同時に、悪役の黒光りするダッチ・チャージャーと効果的な違いを生んだ。

濡れた路面では4速でもリアタイヤが滑り出す

テールライトやガソリンタンク・キャップ、ウインドウモールなどは、ダークグリーンやブラックで塗装。シリアスなイメージを強調していた。

フォグライトやバックライトといった装備は省かれ、フロントグリル内はシンプルなメッシュへ張り替えられた。当時のフォードは、ポニーのエンブレムが外されたことを知り、反発したのではないだろうか。

初めはドアミラーも外されていたが、ダークグリーンに塗装されたヤンキーメタル・プロダクツ社製の丸いミラーが、多くのシーンで映し出されている。ウインカーレバーの先端にあるフラッシャーは、最後まで残った。

デビッド・レッドヘッド氏が所有する1968年マスタング・ファストバックは、そのヒーローを忠実に再現したレプリカ。英国に存在するブリット仕様のマスタングで最も完成度が高く、状態が良い。世界中を見渡しても、トップクラスにあるはず。

EFFPI社製の、穴の空いた3スポーク・ステアリングホイールは、本来はシボレー・コルベット用。アメリカンレーシング社製のトルクスラストDホイールも同様で、ボルトパターンが異なるため、手を加えなければ装着できない。

実際に試乗させていただくと、クラシカルなアメリカン・マッスルカーそのもの。操縦系が重すぎたり軽すぎたりということはない。

極めてトルクフルで、1速でも3速でも、アクセルペダルを強く踏みすぎるとリアタイヤが滑り出す。濡れた路面では、4速へ上げても耐えきれない。

販売数を回復させる効果的なアップグレード

ステアリングレシオはスローで、映画のように勢い良く向きを変えるには、大きなステアリングホイールを思い切り回す必要がある。勇気を奮い立たせて。

穏やかに運転するぶんには、至って快適。とはいえ、捲し立ててスポーティな個性を引き出す方が望ましい。リアタイヤのグリップ力を過信しなければ、不安は小さい。

レッドヘッドのレプリカを見ると、多くの初代がブリッドに影響を受けた理由がわかる。鮮やかな塗装とクロームメッキ・トリムの組み合わせではなく、気取らずクールな雰囲気にある。マックィーン本人のように。

初代マスタングは、世代交代とともに価値が軽んじられるようになるが、20世紀末に入ると復調。クラシックカーとしてコレクターの関心が高まり、レストアされる例も増えていった。ブリッド風に仕立てられることも少なくなかった。

フォードもその変化へ注目し、2000年のロサンゼルス・オートショーで4代目マスタングをベースにしたブリッド仕様を発表。ボディはハイランド・グリーンで塗装され、フロントグリルはメッシュに。トルクスラストDを模したアルミホイールが履かされた。

ボンネットに大きなエアインテークが開けられ、フォード・ブースでは最も多くの人気を獲得。4代目はモデル末期にあり、販売数を回復させる効果的なアップグレードになると判断された。

半数以上が指定したハイランド・グリーン

量産仕様の登場は、2001年4月。メッシュグリルとインテーク付きボンネットは、衝突テストや生産設備へ求められるコストを理由に、実現されなかったが。

それでも、ステッカーやストライプで飾る以上の内容が必要だとも考えられていた。ボディサイドには、1968年式ファストバックを彷彿とさせる専用トリムが与えられ、車内にはクラシカルなリブの入ったレザーシートが設えられた。

17インチのトルクスラストD風アルミホイールは、ブリッド仕様より先に、上級のGTグレードへオプション設定されていた。ボディカラーには、ブラックとブルーも用意。それでも、半数以上のオーナーがハイランド・グリーンを指定した。

ブリッド仕様のマスタングは、理想的なタイミングでリリースされた。映画「ブリッド」をリアルタイムで見ていた10代の少年たちは、年齢を重ね一定の資金力を持つようになっていた。

同時にBMWミニなどを中心に、懐古的デザインのブームも訪れていた。クライスラー PTクルーザーが、北米では人気を集めていた。

アップグレードは見た目だけに留まらず、アグレッシブなサウンドも追求された。ただし映画では、別に収録されたレース用V8エンジンの音へ、編集時に置き換えられていたのだが。ゆっくり走るシーンのみ、本来の音が残されていた。

この続きは、フォード・マスタング・ブリット 4世代を比較(2)にて。

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みんなのコメント

1件
  • mas********
    「ブリッド」ではありません。「ブリット」です。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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