現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 新車から29年 2度の廃車危機を乗り越え現在に至るスズキ カプチーノの真実とは?【Bestcar Classic オーナーズボイスVOL.5】

ここから本文です

新車から29年 2度の廃車危機を乗り越え現在に至るスズキ カプチーノの真実とは?【Bestcar Classic オーナーズボイスVOL.5】

掲載 更新 19
新車から29年 2度の廃車危機を乗り越え現在に至るスズキ カプチーノの真実とは?【Bestcar Classic オーナーズボイスVOL.5】

 一台のクルマには、縁あってオーナーになった人との歴史や思い出があり、物語になるほどのエピソードが生まれることもある。

 そんなクルマと人との関わりを、オーナーさんに直接取材して、リアルな生の声を紹介していきたいと思います。はたして、どんな生の声が聞けるのでしょうか?

初代NSXが4000万円! ドバイ ブルネイからも 専門店に聞いた初代NSX人気の秘密

 購入した動機から、愛車に対するこだわりのポイント、年間の維持費、故障箇所、愛車の主治医まで、これからそのクルマを購入しようと思っている人にも役に立つ情報満載でお届けします。

文・写真/松村透

【画像ギャラリー】「家族のような存在」オーナー内田さんが29年間乗り続けるこだわりの愛車 スズキカプチーノを見る!

■新車から29年愛し続けるカプチーノに襲った2度の廃車危機とは

 昭和から平成へと元号が変わった直後、「A・B・Cトリオ」などと呼ばれる軽自動車のオープンスポーツモデルが相次いで誕生しました。この「A・B・C」は、同時期にリリースされた少年隊の曲名ではなく、AZ-1、BEAT、Cappuccinoの頭文字をとったもの。

 今やすべて絶版車となってしまいましたが、各モデルの熱心なファンが30年近く経った令和の現在も、現役のマシンとして大切に所有しています。

 そのなかで、今回はカプチーノオーナーの内田 剛夫さんを取材。発売直後に新車で購入し、2度に渡る廃車の危機を乗り越えて現在に至るそうです。内田さんがそれほど愛してやまない「カプチーノの魅力」とは?

オーナーの内田 剛夫さん。愛車であるスズキ カプチーノとは29年の付き合い

■プロフィール&愛車紹介


・お名前:内田 剛夫さん
・ご年齢:52歳
・ご職業:会社員
・所有しているクルマ:1992年式スズキ カプチーノ
・購入時期:1992年1月
・所有年数:29年目
・購入時の走行距離:60キロ(納車時)
・現在の走行距離:30万キロ超え
・購入時の金額:約180万円(オプション込み)

■カプチーノを手に入れようと思ったきっかけを教えてください

 1989年に開催された第28回東京モーターショーに参考出品されたカプチーノのコンセプトカーを現地で見て、ひと目で気に入り「欲しい!」と思いました。

 スズキブースにいたスタッフさんに「いつ発売されるんですか?価格はいくらくらいですか?」と質問攻めしてしまったほどです(笑)。会場アンケートにも「ぜったいに買います!」と書きました。

現代の軽自動車スポーツと比較しても明らかにコンパクトなカプチーノのボディサイズ

■愛車との濃いエピソードを教えてください

 実はこのカプチーノ、過去に2回、廃車になるくらいのダメージを受けています。1回目は購入して4年目の追突事故でした。背後からノーブレーキで追突され、カプチーノのトランクがつぶれるくらいのダメージを受けました。

 私自身もむち打ちで2ヵ月入院しました。当時は新車が買える時代でしたが、この個体に愛着があるので修理することにしました。

 そして、2回目は水没です。追突事故から2年後のことでした。移動中にゲリラ豪雨に巻き込まれ、気づけば前のクルマが水没。私もUターンして回避したかったのですが、背後に4tトラックがいて身動きが取れず、そのうち水かさが増してきて……エンジンルームにも浸水。泣く泣く動けなったクルマを置いて帰宅しました(後日、レッカーを呼んで引き取りました)。

 幸い、保険会社の方の理解もあり、全損扱いにしてくれたので、修理費用をまかなうことができました。既にカプチーノの販売は終了していましたが、まだ純正部品が潤沢にある時代で無事に修理することができ、この点は助かりました。

水没してしまったエンジンルームも見事に復活!これも内田さんの愛情の賜物なのです

■愛車に対するこだわりを教えてください

 手に入れて以来、29年間このカプチーノでクルマ通勤しています。しいていえば「通勤で使えるように、コンディションを維持したい」ことですね(趣味車として20年以上、ハコスカGT-Rも所有)。

 職場でも「私=カプチーノ」なので、代車で通勤すると「ついに乗り換えたんですか!?」と聞かれます(笑)。

職場でも「内田さんといえばカプチーノ」として知られるのだとか

■手を入れた箇所はありますか?


・マフラー
・足回り
・ノンスリップデフ
・水没後のタイミングでエンジンの圧縮比をUP
・コンピューター
・タービン
・メタルガスケット
・ナルディのステアリング
・シートカバー

ステアリングをナルディに交換。純正シート保護ため、カバーを被せてあります

■大まかな年間の維持費を教えてください(自動車税、オイル関係、ガソリン代などを含めた概算)

 年間で20万円弱です。燃費も案外よくて、リッター15km/Lは走りますよ!

・保険→1万弱(車両はもう入れない。2回救われたから入れるなら入りたいけど…)
・オイル交換サイクルは3~4000kmに1回

内田さんのカプチーノの燃費は、現在でもリッター15km/Lをキープ!

■失礼ながら、これまで大小の故障はありましたか?

 水没時にエンジンの載せ換え、メーターが故障して交換、20万kmを越えた時にクラッチワイヤーが切れたことくらいでしょうか(前述の2度の廃車レベルのアクシデントを除き)29年間、動かなくなって困ったというほどのトラブルは1度もないですね。

 でも、雨漏りは購入時からありました。納車して1週間もしないうちに助手席に水たまりができましたから。ディーラーに相談しても「そういうクルマなので仕方ないです……」と言われまして(苦笑)。

 その後、ゴムが馴染んできたのか、豪雨では雨だれはするものの、納車時のような雨漏りはなくなりました。アタリがついて馴染んできたのかもしれないですね。

 ちなみに、ゴム類も新車時から無交換です。手に入れてから2~3年間はフルオープン(タルガやTバーよりも好きです)にしていたが、その後は屋根を開ける頻度が少なくなったので、結果としていい塩梅なのかもしれません(※愛車のコンディション保護を優先し、撮影時に屋根を開けることは避けました)。

交換前のメーターも大切に保管されています

■純正部品の入手に苦労していますか?(欠品・製造廃止している部品などご存知でしたら教えてください)

 意外に思われるかもしれませんが、入手には苦労していないんです。その代わり、年1回の価格改定のたびに2割くらい値上がりしているんです。仕方がないとはいえ、困りましたね…。

カプチーノのサイドシルに貼り付けられた"SUZUKI DESIGN"プレート

■愛車の主治医のどのようなお店ですか?(ディーラー or 専門店等)

 ハコスカGT-Rを含め、長年、懇意にしている整備工場に預けています。20代の頃からの付き合いで気心知れているので安心です。

内田さんの運転はとにかくていねいでスムーズ。愛車に優しい運転なのです

■これからも乗り続けるご予定ですか?

 「FR+軽自動車スポーツカー」というパッケージが好きなので、代わりになるクルマもないです。10万kmくらい乗った時、180SXやシルビア(S13型)への乗り換えを考えた時期もありましたが、実際にクルマを観に行くこともありませんでしたし…。おそらくこのまま走れる限り、乗り続けるんでしょうね。

カプチーノの代わりになるクルマなんてありませんよ!と語ってくださった内田さん

■未来のオーナーのために購入時のチェックポイントや愛車のウィークポイントを教えてください

 チェックポイントはやはり「ボディの錆」です。古いクルマで、なおかつオープンカーなので、どうしてもトランク・フロア・サイドシルなどに水が溜まっている可能性がありますから。後ろの窓は収納式なので、水抜き穴が詰まっている可能性大です。可能な限りリフトアップして下回りをチェックしてください。

 ウィークポイントは、オープンカーなので仕方ありませんが、ボディ剛性が低いところです。新車で納車された時から、わだちや段差を乗り越えた時にボディのよじれを感じますね。今どきのコペンやS660と比べてはいけません(笑)。

カプチーノの特徴でもあるさまざまなオープンバリエーションゆえ、雨漏りや錆、水抜き穴のチェックは必須です

■あなたにとって愛車はどんな存在ですか?

 「家族のような存在」ですね。あってあたりまえ、いないと寂しさを感じる存在なんです。30年も一緒に暮らしたら必然的にそうなりますよね。

29年間、使い続けているシフトノブ。テカリが歴史を感じさせます

■取材後記

 内田さんは長年にわたって「ハコスカGT-R」のオーナーでもあり、どちらかというとカプチーノは通勤用、足車とも解釈できるわけです。しかし、内田さんはカプチーノを単なる足車としては見ていないようです。

 1度目は追突され、2度目は水没…。たとえ惚れ込んで購入したクルマでも、2度の廃車の危機を乗り越え、約30年という長きにわたって1台のクルマとの生活(もはや人生)をともにしてきた内田さん。

 毎日、数十kmの距離を走り、信頼できる主治医のところでこまめにメンテナンスを行い、気になる箇所があれば修理・交換を行う……。

 屋根付きガレージで文字どおり箱入り娘として扱われた個体ではなく、実用車として乗られてきたからこその生活傷もあります。しかし、これこそがクルマ本来の姿ともいえるはず。大切に使えば30年くらい優に乗り続けられることを、内田さんが実践し、証明してくれているのです!

カプチーノのカタログももちろん保有

取材当日は軽自動車スポーツカー仲間も駆けつけてくれました

【画像ギャラリー】「家族のような存在」オーナー内田さんが29年間乗り続けるこだわりの愛車 スズキカプチーノを見る!

【キャンペーン】マイカー・車検月の登録でガソリン・軽油7円/L引きクーポンが全員貰える!

こんな記事も読まれています

5バルブエンジンといえばF1にスーパーカーから軽自動車まで採用され一世を風靡……したけど消滅! どんなエンジンでなぜ消えたのか?
5バルブエンジンといえばF1にスーパーカーから軽自動車まで採用され一世を風靡……したけど消滅! どんなエンジンでなぜ消えたのか?
WEB CARTOP
インディカードライバーたちびっくり! レース中、マネキンがコース脇に落下の異常事態??
インディカードライバーたちびっくり! レース中、マネキンがコース脇に落下の異常事態??
motorsport.com 日本版
“しなる”ホイールも装着! マイチェン『ヴェゼル』に新設定のホンダアクセス流「スポーツスタイル」
“しなる”ホイールも装着! マイチェン『ヴェゼル』に新設定のホンダアクセス流「スポーツスタイル」
レスポンス
阪神タイガース優勝記念バイクにファン感涙必至! 「トラ柄」CBX400Fはこれぞ関西魂!! 【大阪オートメッセ2024】
阪神タイガース優勝記念バイクにファン感涙必至! 「トラ柄」CBX400Fはこれぞ関西魂!! 【大阪オートメッセ2024】
WEB CARTOP
【F1メカ解説】スプリント実施にもかかわらず……中国GPに投入されたアップデート。激戦の中団を戦い抜くため、立ち止まることは許されない
【F1メカ解説】スプリント実施にもかかわらず……中国GPに投入されたアップデート。激戦の中団を戦い抜くため、立ち止まることは許されない
motorsport.com 日本版
【MotoGP】マルティン、スペインGP決勝は手痛いノーポイント……「奇妙な転倒だった」と納得できず
【MotoGP】マルティン、スペインGP決勝は手痛いノーポイント……「奇妙な転倒だった」と納得できず
motorsport.com 日本版
全通「楽しみ」 市街地スルーで東名阪&新名神がより近く! 国道1号「北勢バイパス」2024年度延伸開通へ
全通「楽しみ」 市街地スルーで東名阪&新名神がより近く! 国道1号「北勢バイパス」2024年度延伸開通へ
乗りものニュース
ご飯が沁みた! 日本へ向かうフライトの機内食に、心中ガッツポーズ
ご飯が沁みた! 日本へ向かうフライトの機内食に、心中ガッツポーズ
バイクのニュース
スズキ「ジムニー シエラ」の納車を待って15カ月。気がつけばマイナーチェンジもあって、手元に届く前に旧型に…【Key’s note】
スズキ「ジムニー シエラ」の納車を待って15カ月。気がつけばマイナーチェンジもあって、手元に届く前に旧型に…【Key’s note】
Auto Messe Web
激しい雨には「AMT STORM GEAR DRYSTAR® XF JACKET」!高い防水&通気性能で快適ライディング!  
激しい雨には「AMT STORM GEAR DRYSTAR® XF JACKET」!高い防水&通気性能で快適ライディング!  
モーサイ
常設ベッドと豊富な収納で快適車中泊が楽しめる! トヨタ ハイエースがベースのキャンパー
常設ベッドと豊富な収納で快適車中泊が楽しめる! トヨタ ハイエースがベースのキャンパー
月刊自家用車WEB
混んでる料金所の“最速ゲート”見分けるコツは? 「自分の選んだゲートが遅い…」脱却するテクニックとは
混んでる料金所の“最速ゲート”見分けるコツは? 「自分の選んだゲートが遅い…」脱却するテクニックとは
くるまのニュース
プリウスのクロスオーバースタイル「bZ3C」がカッコよすぎる!トヨタが北京モーターショーで新型BEV2車種を世界初公開
プリウスのクロスオーバースタイル「bZ3C」がカッコよすぎる!トヨタが北京モーターショーで新型BEV2車種を世界初公開
Webモーターマガジン
F1エントリー拒否に「気分を害した」とマリオ・アンドレッティ。GMに他チームとの提携を要求したことにも立腹
F1エントリー拒否に「気分を害した」とマリオ・アンドレッティ。GMに他チームとの提携を要求したことにも立腹
AUTOSPORT web
今年で5回目となる「スーパーアメリカンガレージ朝霞の森 2024」イベントレポート
今年で5回目となる「スーパーアメリカンガレージ朝霞の森 2024」イベントレポート
旧車王
マクログリンがパワーを抑えて今季初優勝。ペンスキー1-2|インディカー第3戦バーバー決勝
マクログリンがパワーを抑えて今季初優勝。ペンスキー1-2|インディカー第3戦バーバー決勝
motorsport.com 日本版
前半の混雑本格化!! 渋滞突破まで1時間を要す場所も出現【4月28日の渋滞予測】
前半の混雑本格化!! 渋滞突破まで1時間を要す場所も出現【4月28日の渋滞予測】
乗りものニュース
いすゞの「和製スーパーカー」!? 700馬力超えV12エンジン搭載! ミッドシップの4人乗り斬新マシン「コモ」に「今見てもかっこいい!」の声も!
いすゞの「和製スーパーカー」!? 700馬力超えV12エンジン搭載! ミッドシップの4人乗り斬新マシン「コモ」に「今見てもかっこいい!」の声も!
くるまのニュース

みんなのコメント

19件
  • カプチーノの天敵はボディというかフレームの錆。上っ面はオールペンでピカピカになっていても、フレームに大穴があいてるなんて中古車を買ってしまったら悲劇です。ボディの綺麗さに誤魔化されることなく、中古車を購入する際にはリフトアップしてでも、フレーム周りをチェックするべきです。エンジンルームのダンパー取り付け部の周辺や、リアサスアームのピボット部付け根など、腐ってる個体は結構ありますからね。
  • 車に愛着ある人も無い人もいる。身の丈に合った維持してれば良い
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

145.8万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

45.8320.0万円

中古車を検索
カプチーノの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

145.8万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

45.8320.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村