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「想像を超えた成功作」が3代目へ 爽やかな走り プジョーE-3008へ試乗 1.2LマイルドHVも登場

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「想像を超えた成功作」が3代目へ 爽やかな走り プジョーE-3008へ試乗 1.2LマイルドHVも登場

98kWhのユニットで航続は最大700km

テスラではなく、「ステラ」。プジョーも属する、ステランティス・グループの新プラットフォームの名前だという。今後、同グループの基礎骨格として活躍することになるが、その第一弾が新しいプジョー3008だ。

【画像】想像を超えた成功作が3代目へ プジョーE-3008 競合サイズの電動SUVは? 最新E-308も 全126枚

現行の2代目3008が発売されたのは、2017年。想像を超えた成功作となり、世界中で合計130万台が売れた。新型にはその人気を維持するという、大きな期待が掛かる。

このステラ・アーキテクチャには、モデルサイズに応じてスモール、ミディアム、ラージ、フレームという4種類が存在し、3008が採用するのはミディアム。バッテリーEVを前提に設計され、内燃エンジンとプラグイン・ハイブリッドにも対応する。

ステラ・ミディアムの開発で主任技術者を務めたエルヴェ・シャイデッガー氏は、「バッテリーを中心にすべてが決まりました」。と話す。可能な限りの大容量化が目指され、シャシー剛性を担う役割も与えられているという。

実際、E-3008では最大98kWhのユニットも選べ、1度の充電で走れる距離は最長700km! 最初に提供されるベーシックな仕様には、73kWhのバッテリーが載るが、それでも航続距離は524kmが主張される。急速充電能力は、160kWに対応する。

新型E-3008の全長は4542mm、全幅が1895mm、全高が1641mm。2代目から僅かに大きくなったが、ファミリー・クロスオーバーとしてド直球の大きさといえる。

シルエットはファストバック風。従来以上にスマートでバランスが良く、高級感も漂わせる。筆者は、アウディQ4 e-トロンより存在感があると思うが、いかがだろう。

EVだけでなく1.2LマイルドHVも

パワートレインは、210psのシングルモーターで前輪駆動が標準。英国価格は4万5850ポンド(約848万円)からに設定された。1.2Lエンジンを搭載したマイルド・ハイブリッドも、当初から設定されるという。

約1年後には、先述の98kWh仕様が追加され、そちらには230psの駆動用モーターが組み合わされる。73kWhの駆動用バッテリーにツインモーターが載る四輪駆動と、プラグイン・ハイブリッドも同時期に投入予定だ。

インテリアも、スタイリングと同様に質感を高めた。チープなクロームメッキは見当たらず、風合いに優れるファブリックと本物のアルミニウム製トリムで、スタイリッシュに仕立てられている。

アンビエントライトは、筆者がこれまで見てきた中ではベスト。ダッシュボードがバックライトで照らされ、ドライブモードによって色が変化する。奇抜な印象は与えず、モダンな雰囲気と調和している。

プジョーは、E-3008の説明資料で「魅力」や「魅惑」という表現を多用している。確かに、それを納得させるデザインではないだろうか。

最近のプジョーは、小さなステアリングホイールが低い位置へ伸びる、i-コクピットを特徴としている。新型では、進化したパノラミックi-コクピットを、上位グレードのGTで選べる。

小ぶりなステアリングホイールはそのままに、モニターはダッシュボードの高い位置へ移動。従来のように、メーターがリムで隠れることはなくなった。身長の低いドライバーは、前方視界にモニターの上端が重なるかもしれないけれど。

21インチのパノラミックi-コクピット

パノラミックi-コクピットでは、メーター用とインフォテインメント用、2面のモニターが統合。全体では21インチに相当するそうだ。グラフィックは、もう少しブラッシュアップしても良いだろう。好印象なインテリアへ追いついていない。

英国のベースグレードとなるアリュールでは、10インチモニターが2面、独立して設えられる。

実際に押せるハードボタンは限定され、タッチセンサー式の「デジタル・トグルスイッチ」へ置き換えられた。必要に応じて機能を割り付けられ、タッチモニターへ集約されるより、遥かに機能的で扱いやすいと思う。

ただし、試乗車はソフトウエアが仕上がっていないためか、タッチモニターを利用することはできなかった。インフォテインメント・システムは音声操作にも対応し、エアコンの温度変更などは、運転席と助手席で個別に認識が可能だとしている。

フロントシートは調整域が広く、座り心地は良好。しっくりくるドライビングポジションを探しやすいだろう。滑らかなデザインのダッシュボードが遠く感じられ、助手席側は特に広々としている。

リアシート側の空間も、ファストバック・シルエットでありながら充分広く、ドアの開口部も小さくない。荷室容量は520L。床面がフラットで、使い勝手は良さそうだ。

予習はこのくらいにして、肝心の走りへ移ろう。筆者がまっさきに思い浮かんだ言葉は、「ファイン」だった。ネガティブな要素は特になく、全般的にイイのだ。初夏のカラッと晴れた日のように、爽やかで心地良い。

ファミリー・クロスオーバーとして望ましい完成

動的な印象は洗練されている。静かで扱いやすい。加速時には駆動用モーターのノイズが聞こえてくるが、ハミングのようにささやく程度。

平均的な舗装状態なら、乗り心地にも優れる。GTグレードでは20インチのアルミホイールを履くが、車重が2tを超えるからか、落ち着いていた。ステラ・アーキテクチャは、オフローダーのジープの基礎骨格も担うため、強固で比較的重いようだ。

操縦性は、その車重が影響し、おっとり気味。ステアリングレシオもスロー側にある。反応は予想しやすく、ボディロールは抑制されているが、興奮を誘う勢いまではない。

とはいえ、ファミリー・クロスオーバーとして安定・安全志向にあり、運転しやすい。多くのユーザーの期待には応えるはず。プジョーらしいキラリと光る部分があれば、なお良かったとは思う。

最小回転直径は10.6mがうたわれる。航続距離は、フル充電での発進時に433kmが示されていた。

近年のバッテリーEVは、合理的に設計され、高品質なインテリアを備える例が少なくない。同時に、動的な個性が乏しいモデルも多い。E-3008もそれに当てはまるといえるが、かといって仕上がりを否定するつもりはない。

ファミリー・クロスオーバーとして望ましい完成度にあり、爽やかに楽しいバッテリーEVライフを送れると思う。価格は上昇したものの、アップデート内容を踏まえれば、納得できる範囲でもある。

タッチモニターを今回は試せず、総合的な評価は次の機会に。それでも、先代以上の訴求力を備える可能性は高いと思う。

◯:素晴らしいインテリアデザイン 洗練されたドライブフィール
△:ライバルよりお高めの価格 おっとり気味の操縦性

プジョーE-3008 210 GT(欧州仕様)のスペック

英国価格:4万9650ポンド(約918万円/試乗車)
全長:4542mm
全幅:1895mm
全高:1641mm
最高速度:169km/h
0-100km/h加速:8.7秒
航続距離:524km
電費:7.2km/kWh
CO2排出量:−
車両重量:2114kg
パワートレイン:永久磁石同期モーター
バッテリー:73.0kWh(実容量)
急速充電能力:160kW
最高出力:210ps
最大トルク:34.6kg-m
ギアボックス:1速リダクション(前輪駆動)

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