ハイパーカーをカスタム
いまやスーパーカーの上を行くハイパーカーも数多く存在しているが、ビジネスとして不動の地位を確立したのはブガッティと言って過言ではありません。そのブガッティが、創業100周年を記念して製作したのが「ヴェイロン16.4ブルーサントネール」で、現在そのマシンを所有しているのが、大阪の高級インポートカービルダーとして名高いエスアンドカンパニーでした。
ブガッティはいかにして「世界最高の自動車ブランド」になったのか? 創業から半世紀で生産7800台の第1期を振り返る【ブガッティ・ヒストリー_01】
100周年を記念した特別モデル
ヴェイロン16.4ブルーサントネールは、ブランド100周年を記念したモデルとして数多くの特別装備を盛り込んで作られた1台だ。ブガッティのブランドを象徴するブルーをその名前に冠しているとおり、微妙に異なる2色のブルーでボディを塗り分けられている点が特徴となっている。
はじめて登場したのは、2009年に開催されたジュネーブ・モーターショーだった。ベース車両はヴェイロンのオープングレード「グランスポーツ」で、装着するパーツをあらためて見直し、より特別で高価なチタン、ドライカーボン等に部品を置き換えることで、さらなるパワーウエイトレシオの向上が図られた。その効果は絶大で、総重量にして100kgもの軽量化を達成させた。
エンジンはミッドシップマウントの8リッターW型16気筒エンジンで、ターボチャージャー4基を搭載。このエンジンがマークする最大出力は1200psという点にも驚いてしまう。
このエンジンに組み合わされるトランスミッションは、7段DSGの2ペダル方式を採用しているため、日本ではオートマチック限定免許でも運転可能。もちろん、今となってはあたり前だが、モード切替機構付きで、フルオートマチックモードとセミオートマチックモードを備えている。
記録によると、このヴェイロン16.4ブルーサントネールの性能は、0−100km/h加速わずかに2.5秒、0-200km/hまで7.5秒、0-300km/hまでは16.7秒で達し、最高速度は407km/hをマークする。
この性能に対して、タイヤはヴェイロン専用に開発された最高速合わせの特別なミシュラン・ランフラットタイヤを装着。
ホイールはマグネシウム製を純正採用しているが、カスタムが得意のエスアンドカンパニーは、あえてタイヤはトーヨー・プロクセス、ホイールはアメリカン鍛造モデルをセットさせている。
基本性能とデザインはそのままに
スタイリングは純正をキープさせたままたが、ボディ全体をラッピングし、そこにブランドロゴを配置(ブルーサントネールの深みのあるブルーと違うのはそのためだ)。
純正の優れた機構──たとえばヴェイロンの空力特性を最大限に引き出すモードチェンジ機構などはそのまま使用できるようになっている。ちなみに、そのモードチェンジ機構とは、高速走行時は地上最低高とリアウイングの高さを3段階調整。その地上最低高もノーマル120mmに対し「ハンドリングモード」に切り替えると80mm、さらに「トップスピードモード」に切り替えると60mmにまで低くすることが出来るというものだ。
そして、リアウイングは油圧式で、アップモードではルーフを越える位置まで上昇し、ブレーキを踏むとウイングが立ち上がりエアブレーキになる凝った機構を、すでに2009年の時点で採用していた。
また、インテリアについては、スノーベージュの名が与えられた特別なレザーで統一。シートはラグジュアリーではなく、スポーツバケットシートになっている点も注目であろう。
クルマのキャラクターに合ったデザインであるが、このシートは通常のバケットシートとはまったく比較にならないくらい、長距離ドライブも疲れなくて楽ということだった。
このヴェイロン16.4ブルーサントネールの意味名については諸説あるが、一般的に知られているのは、フランス語のサンブルーから「青い血」「貴族」を意味する表現が与えられたとされている。
このクルマは、そのネーミングから想像できるとおり、生まれも育ちも高貴なモデルであり、何よりも名門ブガッティが世に誕生させた100周年記念モデルという点においても、特別な存在である。
こうした特別なモデルはオリジナルを保っていることが重要であるため、カスタムして遊ぶとするならば、ここで紹介しているようにホイールでイメージを変え(純正ホイールは保管しておくことが肝心)、ラッピングで元色を残したままカラーチェンジして雰囲気を一新させて楽しむのが最良である。
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