4月20~21日にフランスのル・マン-ブガッティ・サーキットで開催された2024FIM世界耐久選手権(EWC)第1戦ル・マン24時間耐久ロードレース。#36 3ART BEST OF BIKEから参戦した綿貫舞空がSSTクラスで3位表彰台を獲得した。
綿貫は昨年から1000ccバイクのレースにステップアップをしたライダーだ。それまでは全日本ロードレース選手権ST600クラスにエントリーしていたが、TONE RT SYNCEDGE 4413 BMWからST1000クラスに参戦。さらにEWCでは鈴鹿8耐とボルドール24時間も経験した。
ヨシムラSERTが転倒後に追い上げ優勝、3ART綿貫も3位。TSR、Étoileは無念のリタイア/EWC第1戦ル・マン24時間
そんな彼は世界選手権への参戦を目標にしていたところ、フランスチームの3ART BEST OF BIKEに加入。2024年はEWCのSSTクラスでヤマハYZF-R1を駆る。チームメイトはドリアーノ・ビエッティ、クリストファー・ケマー、ギヨーム・ポットだ。なお、ドリアーノ・ビエッティはMoto2に参戦しているセレスティーノ・ビエッティの兄だ。
同チームは昨年の第1戦ル・マン24時間でSSTクラスの2位を獲得しているがリタイアも多い。一方、綿貫自身はル・マンでの経験が少ない状態で、予選では転倒をしてしまった。
「予選はタイヤの制限でリヤタイヤだけしか新品を入れられませんでした。リヤタイヤだけ新品だとフロントタイヤを押してしまい、フロントが切れ込んで転倒をしてしまいました」という綿貫。
綿貫のタイムは1分39秒468と一歩及ばず、チームメイトふたりのタイムでグリッドが決まり、28番手でスタートを切った。スタートライダーは綿貫ではなかったが出遅れて、オープニングラップは46番手とほぼ最後尾だった。4人目の走行となった綿貫の出走時には19番手(SSTクラス10番手)まで挽回していたが、この時点では表彰台まではまだ遠かった。
「レースでも予選と同じタイヤの組み合わせを使う予定で、どこまで攻めていいかは予選ではっきりわかったので、逆にレース中はすごくそれが活きました。予選順位があまりよくなかったので、決勝の序盤はペースを上げて、夜間もそれなりに上げられて、チームの中では夜間のタイムは一番良かったです。それがだいぶ後半に活きて、自分のタイムが上がれば、チームメイトのペースも上がっていい方向にいきました」
表彰台圏内に入ったのも夜間から朝方にかけてで、ライバルたちが転倒やトラブルにより脱落したことも要因だった。その展開でもトラブルなくハイペースで走行をしていたチームが3ART BEST OF BIKEだったが、最後の1時間で綿貫が最終コーナーでハイサイド転倒。ところが、それまでに稼いだマージンもあり、なんとかSSTクラス3位のままレースに復帰できた。
「こんなに淡々と上がっていくんだなとビックリしましたね。今回は厳しいと思っていましたが、一発タイムは出ないなかアベレージタイムは練習走行の段階からいいタイムを刻めていたので、レースは勝負になるとは思っていました。練習から新品タイヤを一切使わず、ユーズドタイヤを使ったローテーションだったのでそれがすごく活きたと思います」
その後はしっかりとチェッカーまでマシンを運び、総合11位、SSTクラス3位を獲得。耐久レースの戦い方を知っているチームだけに決勝レースは強さを見せたが、初戦から表彰台に上がれるとは「思っていなかったです。チームが結果を残しているから、もしかしたら表彰台に上れるかなと思っていましたが、本当に上れるとは思っていなかったです。次戦はわかりませんが、もう一回表彰台に上れるように頑張ります」と喜び、綿貫は次戦のスパ8時間への展望を語った。
「次戦のスパは8時間なので、もっとハイペースの戦いになると思いますが、チームの雰囲気もすごくいいので、次も頑張りたいです。素直にすごく嬉しいし、表彰台に上がれたのがすごく嬉しかったですが、会見で英語が喋れなかったのが少し悔しかったです(笑) 次までに英語を覚えてこようと思います」
第2戦スパ8時間は6月8日に決勝が行われる。2年前にカレンダーに復帰してからはスパも24時間レースだったが、今年はスプリントレースのような展開になることが予想される。次戦の表彰台はどのような顔ぶれになるだろうか。
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