ボルボのフラグシップSUV「XC90」の魅力を、あらためて小川フミオが考えた。
バッテリー性能が向上
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XC90は、今のボルボのフラッグシップといえるモデルだ。なかでも、2021年11月にエンジンがパワーアップ。バッテリー容量も上がって、EVレンジでの走行距離も伸びた。
これまでボルボといえば、セダンがトップ・オブ・ザ・ラインだったが、市場での人気ぶりからしても、プレミアムクラスのSUVであるXC90が、ポジションをとってかわったと言っていいだろう。
今回乗った、「XC90リチャージ・プラグインハイブリッドT8 AWD」はまさに象徴的なモデルだった。上質な内装が特徴の「インスクリプション」というグレードのみの展開もさることながら、力強い走りと快適な乗り心地はとてもいい出来映えだ。
パワーユニットは1968cc直列4気筒ガソリンターボ・エンジンに、前後1基ずつのモーターを組合せる。外部充電式の駆動用バッテリーは、従来の11.6kWhから18.8kWhに拡大し、利用可能電力量は9.1kWhから14.9kWhへと上がったという。
バッテリー容量拡大とともに、モーター出力も上がった。フロントはこれまで最高出力34kW、最大トルク160Nmだったのが、今回52kW、165Nmに。リアモーターは、従来の65kW、240Nmが、新型では107kW、309Nmへと引き上げられたのだ。
ひとまわり小さい「XC60」の「T6」と呼ぶパワーユニットと、モーターの出力は同一。エンジンの最高出力が、T6が186kWであるのに対して、XC90のT8は233kWに上がり、最大トルクは350Nmに対して400Nmとなる。T6、T8ともにターボチャージャー1基での過給。エンジンのマッピングの変更で、パワーに違いが出ているのだ。
ボルボのフラグシップとは
とくに、高速道路などでの中間加速のよさには、おどろかされる。全長4950mm、全高1775mmと、余裕あるサイズのボディであるものの、軽くアクセルペダルを踏み込むだけで、すかさず速度をあげるさまは、よくチューニングされていると感心した。
XC90のデビューは2014年。私もバルセロナで開催された国際試乗会に出席した。そのときから現在にいたるまで、確実に熟成度合いが高まっている。かつて乗って、もうすこし動きが機敏になればいいな? と、思った人がいるなら、最新のモデルに乗ってみるといいのでは、と、勧めたい。
それにしても、バルセロナでXC90に乗ったとき、このクルマがボルボのフラッグシップのポジションにつくとは、予想できなかった。当時はトップモデルといえば、セダンが常識だったからだ。
これまでボルボのトップモデルは、「164」(1968年)にはじまり、「260シリーズ」(1974年)、「760シリーズ」(1982年)、「960シリーズ」(1990年)といった6気筒のセダンだった。
ある時期まで車名に「6」と気筒を意味する数字が入っていて、もちろん外観もそれなりにすこし装飾的で、一目で上級車種とわかるようになっていた。どのモデルを思い返しても、4気筒よりあきらかにトルクがたっぷりで、力強く、そして重厚と表現したくなる乗り味。内装もほかのメーカーと一線を画した個性が目をひいた。
このあいだ、760に乗る機会があった。ステアリングをあえてややダルにしているのが当時のボルボ車の(安全)設計思想だったことを思い出せてくれたが、しっかりした乗り心地とエンジンパワーとハンドリングのバランスがそれなりによくて、けっして古くさく思わなかった。
いっぽう、スタイリングは「どうなの?」と、思ってきたのも事実(個人的感想)。
たいていのモデルにステーションワゴンが設定されているのがボルボ車の特徴で、そちらは長いルーフと、伸びやかな印象のリアクオーターウィンドウなどの意匠のバランスがよく、スタイルと機能性がうまく両立していた。
それに対して、セダンはリアクオーターパネルのデザイン処理がどうにもすっきりしていない。ラインがきれいにつながっていなくて、リアクオーターウィンドウにつながるラインがギクシャクしていたり、トランクの高さに不自然さがあったり……(これも個人的感想)。
せっかくパワフルな6気筒エンジンと、出来のよいシートなど、いい点がいろいろあったものの、個人的に好んできたのは、上で書いたとおり、ステーションワゴンかクーペである。
古びているように思えない
その意味でも、XC90がいま、ボルボのフラッグシップといってもいいような扱いになったのは、私にとっては当然と思える(最新のS90はいいと思うんだけど)。スタイリングも嫌みがなく、適度に押し出し感が強く、インテリアは空間的余裕を活かしてうまくデザインされており、雰囲気もいい。
とりわけ個人的に好んでいるのは 「Excellence」と呼ばれる後席のぜいたくさを追求した仕様だ。一時期限定発売されただけなので、いまはカタログに出ていないのが残念。クッションの分厚いシートをはじめ、シャンパーニュクーラーまでそなえている仕様が日本に入っていた。
いまのXC90は、3列シートがセリング・ポイントのひとつになっている。たしかに北米では商品力につながる仕様であるが、日本では、どうなんだろう?
多人数で乗車する機会が多い人ならともかく、私はXC90を買うなら、上記エクセレンスが欲しいなぁと思う。
プレミアムSUVとして、元気のいい動力性能をはじめ、快適な乗り心地と、気持ちのいい色づかいと素材づかいのインテリアなど、さまざまな特徴をそなえるXC90には、独自の存在感がある。
古びているように思えないことにくわえ、今回の改良で魅力が増した。試乗でそれがわかったのだ。
文・小川フミオ 写真・田村翔
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ロングドライブすれば分かりますが、運転中に極上の癒しを体験できます。
ボルボはEV化に向かっていますが、この癒しの乗り心地と究極の安全性はずっと受け継がれていくでしょう。