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プレミアムカーに搭載されている「Dolby Atmos for cars」が奏でる圧倒的な臨場感の秘密

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プレミアムカーに搭載されている「Dolby Atmos for cars」が奏でる圧倒的な臨場感の秘密

ライフスタイルの変化やハードの進化によって、音楽や映画を楽しむ環境は部屋から外へと広がりを見せている。それを支えているのが、音声や映像の記録・再生技術を研究するドルビーラボラトリーズ(以下、ドルビー)だ。

同社が開発した最新の立体的な3Dオーディオ技術「ドルビーアトモス」(Dolby Atmos®)は、「Dolby Atmos for cars」という名称でメルセデス・ベンツをはじめとするプレミアムカーブランドの車種に搭載され、いまだかつてない臨場感あふれる音楽体験を提供している。その革新的な技術と可能性を、関係者への取材を通して探る。

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ドルビーは感動体験を支える黒子的存在

「Dolby Atmos for cars」の概要を説明する、ドルビージャパンの鈴木克典氏。長年にわたり国内やアジアのIT関連事業に関わり、2016年、ドルビージャパンに入社。シニアディレクターとして、日本のライセンス及びコンテンツ関連事業を統括する。

昭和のオーディオ世代にとってドルビーは、音声信号に含まれるノイズを抑圧・軽減する信号処理技術「ノイズリダクション」のブランドとして知られている。映画館でドルビーのロゴを見たことがある人も多いだろう。現在ではドルビーアトモスやドルビービジョンといった音響と映像をより楽しむ為の技術を展開する。もっとも、同社はテレビやオーディオ機器を製造するメーカーに技術を提供する立場であり、カスタマーにとっては〝有名だけれどいまひとつ実態がわかりにくい〟ところもある。

「ドルビーは、いわば黒子のような立場です。たとえば映画製作においては、ポストプロダクション(注:撮影後の技術的仕上げ作業)から参加しているのですが、それができるのもコンテツクリエイターに寄り添い、ドルビーの技術を使ってもらってきたという歴史があるからです」と語るのは、ドルビージャパンの鈴木克典氏(以下、コメントはすべて鈴木氏)。

クリエイターにとっても、自身が意図する体験を叶えるために、ドルビーは製作現場に自社のシステムや技術を提供し、制作における自由度を広げ、作品の質を高めるパートナーといえる。

「ドルビーでは製作、配信、再生環境といったそれぞれの分野に技術提供を行い、相互運用性をサポートする意味で、こうした取り組みを〝エコシステム〟と呼んでいます。映画館から始まった技術ですが、現在では映像や音楽配信などでもドルビーの技術を使ってもらっています」

映画館では「ドルビーシネマ」(国内に10スクリーン)「ドルビーアトモススクリーン」(国内32か所・40スクリーン)という名称で導入しているので、皆さんもぜひ体験いただきたい。

スピーカーがない上方向からも音が降ってくる!

電気自動車専用のプラットフォーム(車体の基本骨格)を採用し、メルセデス・ベンツが長年培ってきたラグジュアリーと快適性の理想を実現した電気自動車『EQS』。

さて、今回の主題である「Dolby Atmos for cars」を実際に試聴した感想をお届けしよう。体験したのはメルセデス・ベンツのブランドストア「メルセデス ミー 東京」(六本木)。このシステムをいち早く搭載しているメルセデス・ベンツは、電動化の普及を見据えたドライブ中の体験の価値を高める試みに取り組んでいる。

その回答のひとつが立体音響技術のドルビーアトモスであり、今回の試聴は電気自動車のプレミアムサルーン『EQS』で行なった。サウンドシステムは「ブルメスター」で、Apple Musicからドルビーアトモスに対応した楽曲をストリーミングして試聴する。

驚いたのは、音が横方向だけでなく上方向からも聴こえてくることだ。それはボリュームを下げても変わることがなく、どの座席に座っていても音に包まれるような臨場感に満ちている。

「家庭でも車内でも、天井にスピーカーか設置されているに越したことはありませんが、必ずしも必要というわけではありません。それでも上から聴こえてくるのは、ドルビー独自の『バーチャライザー』というサウンドエフェクト技術を使い、人間の耳に上から音が入ってくるような効果を出しているためです」

ドルビーアトモスの圧倒的な臨場感は、走行音が静かな電気自動車の室内空間でひときわ映える。運転操作に集中しながら美しい音楽に包まれる体験のなかで、見慣れた景色は新たな魅力を放ち、初めて訪れた緑豊かな旅先では、彩りを増して、まさに〝実り豊かな旅〟として記憶に刻まれることだろう。

往年の名曲もドルビーアトモスで!

ブルメスターのサウンドシステムに組み込まれたドルビーアトモスの技術が、より明瞭で、空間的で、奥行きのある音楽を再生する。ブルメスターサウンドシステムを搭載したメルセデス・ベンツの中でドルビーアトモスに対応するモデルは、今回視聴した『EQS』や『Sクラス』『Eクラス』『EQE』。これに加え、コンパクトモデルの新型『GLA』など多くの車種で対応が始まっている。
※一部のモデルではオプション設定

冒頭で書いたように、ドルビーはオーディオメーカーではない。

「車載するにあたり、オーディオのヘッドユニットにドルビーアトモスのシステムを組み込んでからオーディオメーカーが調整し、再生される音質をドルビーが認証します。ドルビーアトモスを加えてもらうことで、オーディオメーカー独自の技術と合わせて活用いただくことで、クリエイターが意図したとおりの音楽を提供することができるわけです」

この点については映画と同じで、アーティストやエンジニアの意図をリアルに体験できるという点において、概念としても演奏者と聴き手の距離が近くなるわけだ。

ドルビーアトモスで楽曲を楽しむ場合は、Mercedes me connect(※)とペアリングした上で、オンラインミュージックのApple MusicからDolby Atmosのロゴが入った作品を選択する。

Appleが空間オーディオの楽曲を集めたプレイリストを公開しているので、そこから選択するのがわかりやすいだろう。

※サービスをご利用いただくには、Mercedes me IDとMercedes me connectサービスの利用規約への同意が必要です。また、車両と対応するユーザーアカウントとのペアリング、および情報通信サービスへの申込が必要となります。

Appleが提唱する「空間オーディオ」として、Apple Musicではドルビーアトモスに対応した楽曲を配信中。

「古い曲でもマスターの音源が残っていればドルビーアトモスでリミックスすることができます。例えばビートルズの楽曲などはドルビーアトモスで再ミックスされ、Apple Musicで配信されています」

ドルビーは映像・音楽の視聴環境に合わせた技術開発に今後も取り組んでいくという。それはクルマの電動化が照らす未来の一助となるだろうし、ひょっとしたら既存の内燃機関搭載車(旧車も含む)を愛する人たちにとっても、今まで以上に豊かな音楽体験をもたらす技術が生まれてくるかもしれない。クルマを軸としたライフスタイルの多様化は、カーラジオから始まった音楽体験をさらなる高みへと押し上げていくに違いない。

今回の取材会場となったメルセデスミーでは、最新の車種を含め、ドルビーアトモスに対応したモデルの試乗も可能(要予約)。気になった方は是非メルセデスのショールームで体験してほしい。

ドルビーアトモス オフィシャルサイト
メルセデスコール 0120-190-610

文/櫻井香
出版社で男性誌の編集を務めたのち独立。自動車、ファッション、男性美容などライフスタイル全般からサブカルチャーまで幅広く企画・編集・執筆。

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