現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 工芸品の趣がある──新型日産スカイラインNISMO試乗記

ここから本文です

工芸品の趣がある──新型日産スカイラインNISMO試乗記

掲載 8
工芸品の趣がある──新型日産スカイラインNISMO試乗記

日産「スカイライン」に設定された1000台限定の「NISMO」は、魅力的なスポーツセダンだった! サトータケシがリポートする。

毎日の足に使ってもいい

1980年代に採用されたマニアックな日本車の装備3選

クルマに興味がある人は、“いまさらスカイライン!?”と、思うかもしれない。実は筆者も、スカイラインNISMOに試乗すると聞いて、そう思った。

デビューから約17年、そのパフォーマンスを磨きに磨き抜いて世界のスーパーカーの仲間入りを果たした「GT-R」。デビューから2年、世界中で人気が爆発してオフィシャルHPに“ご注文の一時停止のお知らせ”の案内が出ている「フェアレディZ」。この2台にはさまれたスカイラインは、影が薄い。立派になったふたりの弟を横目に、くすぶっている長男のイメージだ。

けれども、スカイラインNISMOのステアリングホイールを握っていると、多幸感がじわじわと、波のように押し寄せてきた。このクルマには、乗った瞬間に「楽しい!」と、思わせるような、わかりやすさはないけれど、一度寄り添ったら離れられなくなるような、滋味深さがある。

契約した1000人(1000台限定だ)のオーナーは、ホントにいい買い物をしたと思う。こんなクルマは二度と出てこないかもしれないので、末永く、大切に乗ってほしい。

現行の「スカイライン400R」をベースに、パワートレインと足まわりをNISMOが鍛え上げた、というのがこのクルマの売り文句だ。ただし、スタートして最初に感じるのは洗練されている、という印象だ。

まず、乗り心地が洗練されている。後輪はベース車両の400Rが245/40R19サイズだったのに対して、265/35R19と太くて薄くなっており、しかも資料にはリヤサスペンションを4割以上強化しているとある。

したがってタウンスピードではドスンという突き上げを覚悟していたけれど、いい意味で肩透かしを食らった。凸凹を突破しても4本の脚が滑らかに伸び縮みして、路面からの衝撃の角を丸めてくれる。これなら毎日の足に使ってもいい。

エンジンの最高出力はベース車両比でプラス15psの420ps、最大トルクはプラス75Nmの550Nm。

興味深いのは、バカッ速さや超絶レスポンスをわかりやすくアピールするのではなく、アクセルペダルを踏み込むにつれて自然に加速が伸びるフィーリングを重視していることだ。スロットル開度と加速のセッティングや、7段ATとエンジンのコンビネーションが大人っぽい。

会話が成り立つクルマワインディングロードでは、大人っぽいという印象がもう一歩前進して、玄人っぽいという印象に変わる。

はっきり言って、脳天に突き抜けるような快感を提供するハンドリングマシーンではない。けれども、ステアリングホイールを切ると、前と後ろがバランスよくロールして、きれいなコーナリングフォームで曲がっていることが実感できる。市街地で感じた洗練された乗り心地が、こうした場面でも変わりないことも特筆モノだ。

スカイラインNISMOで走っていて感心するのは、会話が成り立つクルマだということだ。アクセルペダルを踏むと、「もうちょっと踏み込むと、もっとイイ感じになるよ」というメッセージが伝わってくる。ブレーキペダルを踏むと、「ここで少し踏力を緩めようか」というアドバイスが返ってくる。ステアリングホイールを切り込むと、「もう一杯一杯だから、これ以上切ってもムダだよ」と、諭される。

なるほど、運転とはクルマとの対話なのだ、ということがひしひしと伝わってくる。そしてクルマの背後に、どなたかは存じませんが、念入りにチューニングを施した手練れの影が浮かび上がる。

1000台限定とはいえ工場のラインで製造しているから作品と呼ぶのは無理があるだろう。とはいえ、単なる工業製品ではなく、工芸品の趣がある。

スカイラインNISMOに乗っていると、「おもしろい! 楽しい!!」ではなく、「ずっと乗っていたい」と、感じる。

冒頭で、GT-RとフェアレディZに比べると影が薄いと書いたけれど、街でこのクルマを見かけたら、“わかっている人が乗っている”と、尊敬の眼差しを向けてしまうだろう。

文・サトータケシ 写真・安井宏充(Weekend.) 編集・稲垣邦康(GQ)

こんな記事も読まれています

【スーパーGT】性能調整がフェアじゃない! 元F1ドライバーから不満あがるほどのパフォーマンス見せる2号車muta。速さの秘訣はクルマづくりの緻密さか
【スーパーGT】性能調整がフェアじゃない! 元F1ドライバーから不満あがるほどのパフォーマンス見せる2号車muta。速さの秘訣はクルマづくりの緻密さか
motorsport.com 日本版
スバルが新型「WRX tS」初公開! オシャブルー内装&ワイドボディ採用!? 2024年後半に米国で発売へ
スバルが新型「WRX tS」初公開! オシャブルー内装&ワイドボディ採用!? 2024年後半に米国で発売へ
くるまのニュース
EcoFlowが自動車のオルタネーターの余剰電力を利用し1.3時間で1000Wh充電できる走行充電器「Alternator Charger」を発売
EcoFlowが自動車のオルタネーターの余剰電力を利用し1.3時間で1000Wh充電できる走行充電器「Alternator Charger」を発売
@DIME
【スクープ】アストンマーティンのV12搭載新型スーパースポーツに「ヴァンキッシュ」の名前が6年ぶり復活へ!
【スクープ】アストンマーティンのV12搭載新型スーパースポーツに「ヴァンキッシュ」の名前が6年ぶり復活へ!
LE VOLANT CARSMEET WEB
【MotoGP】クアルタラロ、イタリア決勝で大苦戦18位。ヤマハのアップデートで好転の兆し見せるも“フィジカル”への負担が問題に
【MotoGP】クアルタラロ、イタリア決勝で大苦戦18位。ヤマハのアップデートで好転の兆し見せるも“フィジカル”への負担が問題に
motorsport.com 日本版
ポルシェ『911カレラ』改良新型…空力と動力性能を向上させるデザイン[詳細画像]
ポルシェ『911カレラ』改良新型…空力と動力性能を向上させるデザイン[詳細画像]
レスポンス
ヤマハ発動機が発表した不適切行為の該当車種一覧
ヤマハ発動機が発表した不適切行為の該当車種一覧
日刊自動車新聞
ポルシェ新型911 ついにハイブリッド登場 カレラGTS T-ハイブリッド【公式動画】
ポルシェ新型911 ついにハイブリッド登場 カレラGTS T-ハイブリッド【公式動画】
Auto Prove
ホンダが発表した不適切行為の該当車種一覧
ホンダが発表した不適切行為の該当車種一覧
日刊自動車新聞
アウディのラスボス登場!? 『RS Q8』改良新型、ド迫力フェイスでニュル激走
アウディのラスボス登場!? 『RS Q8』改良新型、ド迫力フェイスでニュル激走
レスポンス
汚れも気にせず愛犬がリラックスできる広い車内 トヨタ ハイエースがベースのキャンパー
汚れも気にせず愛犬がリラックスできる広い車内 トヨタ ハイエースがベースのキャンパー
月刊自家用車WEB
堂々たる体躯がユーザーを魅了! トヨタ三代目「ソアラ2.5GTツインターボL」とは
堂々たる体躯がユーザーを魅了! トヨタ三代目「ソアラ2.5GTツインターボL」とは
バイクのニュース
日産「新キャラバン」発表! “お手軽”「車中泊」仕様が超スゴイ! アンダー380万円で買える「マルチベッド」とは
日産「新キャラバン」発表! “お手軽”「車中泊」仕様が超スゴイ! アンダー380万円で買える「マルチベッド」とは
くるまのニュース
出入りしやすく進化!Bears Rock のソロテント「ハヤブサテント」がリニューアル
出入りしやすく進化!Bears Rock のソロテント「ハヤブサテント」がリニューアル
バイクブロス
キジマの極小ウインカーランプ Nano シリーズ用「ウインカーステー」が発売!
キジマの極小ウインカーランプ Nano シリーズ用「ウインカーステー」が発売!
バイクブロス
CT125ハンターカブ用「ZETA エンジンプロテクション アンダーガード」がダートフリークから発売!
CT125ハンターカブ用「ZETA エンジンプロテクション アンダーガード」がダートフリークから発売!
バイクブロス
KTM新型250デューク試乗「 OHCの新エンジンは2スト的な特性!? 車体はよりコンパクト&フレンドリーに」
KTM新型250デューク試乗「 OHCの新エンジンは2スト的な特性!? 車体はよりコンパクト&フレンドリーに」
モーサイ
マイカーの維持費は月平均1万7613円、2人に1人が「1年前より維持費高騰」を実感
マイカーの維持費は月平均1万7613円、2人に1人が「1年前より維持費高騰」を実感
@DIME

みんなのコメント

8件
  • ジェミニタイプR
    工芸品と言うほど造形が素晴らしいわけでもなく、フェラーリのように美しい訳でもなく。
    パワーがあって速いセダンは今の時代少ないからここまで持ち上げてるだけで、これはスカイラインと名前がついた工業製品というだけでしょう。
  • zoo********
    現行スカイラインのNISMO仕様。
    それを「新型」とは言わないよ。
    100台ならまだしも、1,000台もあったら限定という感じでもない。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

456.9948.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

18.82050.0万円

中古車を検索
スカイラインの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

456.9948.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

18.82050.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村