おもてなしは日本人の美徳だが、新型アルファード/ヴェルファイアはまさにおもてなしの塊だ。今回は、ディーラーで展示車をぱっと見ただけでは分からない隠れたおもてなしポイントを3つ紹介しよう!
文/ベストカーWeb編集部、写真/トヨタ、ベストカーWeb編集部
トヨタ気配りしすぎ! 展示車だけじゃわからない新型アルファード/ヴェルファイアのおもてなしポイントがココ!
■後ろに開くドアがなぜか一瞬前に動く!
後席ドアを開けると一瞬ドアが前に動く。その真意は……?
アルファード/ヴェルファイアとくれば2列目シートに座りたくなるが、慌てて後席に乗り込む前に、まずはドアそのもの「ふるまい」を見てほしい。
アル/ヴェルの後席スライドドアは、ドアハンドルを引っ張らなくても、グリップに付いた「ワンタッチシーソースイッチ」を押すだけで開く。ラクチンなのはもちろん、ドアを動かす方向が直感的に分かる点も画期的だ。
しかし今回はスイッチじゃなく、ドアそのものの動きをチェック。開く瞬間、ドア前側の開口部を見ていると、スライドドアがわずかに前方へ動いてから、後ろへスライドするのが分かるはずだ。
なんでこんな動きをするのか。それはドアが開く動きを優雅にするためだ。
アル/ヴェルのスライドドアはドア側に鉤爪のようなラッチがあり、これが車体側のキャッチに引っかかることで固定されている。ドアを開くときはそのラッチが跳ね上がり、キャッチから離れるのだが、その離れる瞬間に、金属がこすれ合うリリース音が発生するのだ。
開発陣は、この音に高級感がないと考えた。そこでどうしたか。開き始める一瞬、ドアを前方にずらすことでラッチを前へ「浮かせ」、キャッチとの間にすき間を作ることで音を解消したのである!
この発想、そもそもは日本間のふすまや障子を美しく開け閉めするマナーに由来するというのだが、同じ発想が2列目、3列目のシェード(日よけ)にも用いられている。
アルファード/ヴェルファイアのサイドサンシェードは上から降りてくる電動式なのだが、降り切って止まる瞬間、シェードの降りる速度がゆっくりになるのだ。実に優雅なシェードの降り方。オーナーが「高級車を買ったんだなあ」と思う瞬間とは、こういう時なんだろう。
■コンビニフックまで優雅に出てくる!
未使用時はグリップ部分に格納できる買い物グリップ。押すとじわーとゆっくり出てくる!
アル/ヴェルの優雅な振る舞いは他でも感じることができる。たとえばあちこちに設けられた収納のためのギミックだ。
グローブボックスや前席のカップホルダーにダンパーを仕込み、開閉動作をゆっくりと行なうのは高級車の常識だが、アル/ヴェルで驚くのは、そのダンパーが前席背面にある買い物フックや、2列目のドアグリップに付いているコートフックにまで採用されていることだ。
両者はコンビニ袋やコートハンガーをひっかける小さなフックで、未使用時はグリップ部分に格納されている。こいつを使うときはその部分をポチッと押すのだが。それがポン! とは出てこずに、じわりと出てくるのである。
そもそも高級ミニバンにおいては、コンビニ袋をひっかけるフックにまで目が行き届かなかった。新型アルファード/ヴェルファイアはそこに着目するとともに、その動きにまでこだわったというのだから恐れ入る。日本人の繊細さを痛感させる装備といえよう。
■履き替え用のスリッパも入れられる
センターコンソール背面の収納スペース。なんと靴が入る!
収納の話題が出たので、2列目シートの意外な収納スペースについても紹介したい。
まずは左右両席の足元。前席下のほとんど床面の高さにスライドトレイ式の収納がある。仮にオーナーになっても気付かず見落としてしまいそうな収納だ。
このスライドトレイ、容量はそれほどでもないのだが、洗車用のウェスなどを入れておくには十分。しかしそれ以上に威力を発揮するのは、折り畳み傘を格納しておくことだろう。
突然降り出した雨。普通ならリアのラゲッジルームをガサゴソやって、傘はないかと取り乱す場面だが、それは優雅じゃない。慌てることなく足元からぱっと傘を出す。これこそ高級車に乗る意味なのだ。ロールスロイスがドア内部に傘を仕込んであるのと同じである。
いっぽう両席の真ん中、センターコンソールの背後には2階建てで収納スペースがある。上側は小物入れ+100Vコンセント+HDMI端子なのだが注目は下側。なんと27cmくらいまでの靴が入るというのだ。
アル/ヴェルほどのゴージャスな室内になると、飛行機のビジネスやファーストクラス同様、靴を脱いでスリッパに履き替えたいという需要はそれなりにあるだろう。ビジネスシューズを履いている人が出先でスニーカーに履き替えたいなんてニーズもあると思う。
そんなときのために、アル/ヴェルには「下駄箱」があるのだ。歴代モデルの用途を徹底分析した成果といえる。
最後にエグゼクティブラウンジのシートについて。スマホのような脱着式の操作端末に回転格納式テーブル、マッサージ機能まで備えた極楽空間だが、ひじ置きの下をみるとここにも小さな収納スペースがある。
この収納スペース、聞けば前述の脱着式の操作端末(正確にはリヤマルチオペレーションパネル)を置く場所なのだそうだ。でもそいつはおかしい。操作端末はひじ置きの先にちゃんと格納場所が用意されているからだ。
しかし答えを聞いて納得した。端末を操作してシートをリクライニングさせると、ひじ置きの先まで手が届かない。そんなとき端末が邪魔にならないよう、ここに置き場を作ったというのだ。もうどこまで心配するのよトヨタさん! さて、新型アルファード/ヴェルファイアにどれほど気配りが盛り込まれているか、お分かりいただけただろうか。オーナーになったら、ぜひともこの心づかいを堪能してほしい。
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