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「川の土砂を鉄道で運べないか?」運休続く大井川鐵道の苦境 止まらぬ“出血”抑えるウルトラCはあるのか!?

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「川の土砂を鉄道で運べないか?」運休続く大井川鐵道の苦境 止まらぬ“出血”抑えるウルトラCはあるのか!?

台風被害で2年半も部分運休「大井川鐵道」

 2022年9月の台風15号による被害で不通が続く大井川鐵道の川根温泉笹間渡~千頭間について、静岡県や沿線自治体などで構成する検討会が、2028年度を目処に全線復旧を目指す方針を確認したと2025年3月に報じられました。復旧にはおよそ21億円を要すると試算されており、大井川鐵道、静岡県、島田市、川根本町の間で支援の枠組みに概ねの目処が立ったとのことです。

【写真】2年半も駅に取り残された「南海電車」!?

 SLやトーマス号の運行をはじめ、千頭から先の井川線ではアプト式区間や絶景で有名な奥大井湖上駅など、人気スポットが多くある大井川鐵道にとって、これは大きな前進といえます。

 こうしたなか、2025年3月22日(土)に川根文化センター(島田市川根町)で講演会「ローカル鉄道の再生と大井川鐵道の復旧・復興」が開催。このなかで同社の鳥塚 亮社長が、被災もあいまった赤字の状況を「出血」と表現しつつ、窮状を訴えました。

 講演会では、多くの鉄道会社や自治体が欲しがる「本物のSL」が大井川鐵道を走っていること、これらがビッグチャンスをもたらすという地域の“強み”を説明しつつも、現状を次のように解説しました。

「不通が続く大井川鐵道は、本来の半分の区間しか走っていない。半分しか走っていないということは、収入も半分になる。だからと言ってSLの整備費など、固定費が半分になるわけではない。今は経営的に厳しい状況にある。時間切れが迫っているということも考えられる」

 このまま復旧せずに時間だけが過ぎていけば、いつかは限界を迎えてしまうということをはっきりと表現していました。本格的な全線開通へ向けて大きな動きが見られた大井川鐵道ですが、復旧までの間、「出血」が止まるわけではありません。2028年度まではまだ3年の歳月があり、冷静に考えれば長い時間です。

大井川の堆積土砂を鉄道で運べないか?

 全線復旧を目指すうえで地域にも動いてもらうことが重要としつつ、後半のパネルディスカッションでは、興味深い質問も多く飛び交いました。

「被災した線路に溜まった土砂を地域住民の手で少しでも掘り出すようなデモンストレーションはできないか」という質問に対しては、法面などは私有地であり勝手に着手することはできないということ、また、安全な手順を作ることや、怪我をした時にどうするのか、といった現実的な課題をクリアする必要があると前置きをしつつも、「力を貸していただけるのであれば、これほどありがたいことはない」と実現の可能性も示唆。

 また、「大井川の堆積土砂は日々トラックで搬出しており、道路も傷む。大井川鐵道で運ぶことなどはできないか」という質問には、「考えられないことではないと思う。観光はどうしても波がある。モーダルシフトというのは世の中の流れであり、月曜から金曜は貨物で稼いで、土日は観光で収入を得るという形もありだとは思う」という回答がありました。

 現在、大井川鐵道では様々な企画が進行しています。2025年度のトーマス号は4月26日から運行を開始しますが、今年度は家山駅で久しぶりにパーシーと並びます。これは千頭駅に取り残されていたトーマスシリーズのうち、パーシーを家山駅に運んだことから実現するもの。仲間と顔を合わせたシーンは子どもたちにとって良い思い出となることでしょう。

 また、E31形電気機関車のE34は、国鉄のEF65形をイメージした青とクリーム色の塗装となり、3月30日からSLの後部補機として運転が始まりました。新たな塗装機の活躍はもちろん、東海道本線に隣接する金谷駅に、国鉄の特急色を模した塗装の電気機関車が姿を見せるということにも期待値が上がります。

「今の時代の観光は『推し活』、お気に入りになれば何度も訪れてくれる。観光はファンをつくること」と語った鳥塚社長。今後、どんな企画が登場するのか楽しみであると同時に、私たち愛好家も気になるものがあれば積極的に訪問していきたいところです。

文:乗りものニュース 和田 稔(鉄道ライター)

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みんなのコメント

15件
  • sky********
    鉄オタの排除も必要。
    車で乗り付けて乗車もせず、自身の撮りたい写真の中に入り込む者には遠慮もなく「邪魔だ!どけー!」と怒号を浴びせる連中。
    浴びせられた本人のみならず、周りの人までも2度と来るか、となってしまう。
  • tse********
    元々大井川鐵道の需要は林業とダムと観光だったのだから、林業亡き今ダムへ回帰するのは自然な事。
    こうなると桃の木延伸が頓挫したのが残念。延伸が実現していれば畑薙ダムも至近距離だったのに。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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