登場から6年の歳月が経つ人気のフラッグシップSUV。数々の改良が加えられ、走りや装備に磨きがかけられているのも事実。その熟成度を見るため改めて試乗してみた。(Motor Magazine 2022年5月号より)
改良=熟成が進むことで、魅力が増していく
ボルボが多額を投資して完成させたモジュラープラットホーム「SPA(スケーラブル プロダクト アーキテクチャ)」を最初に使ったのが2世代目XC90である。2016年のことだ。その後、ほかの90シリーズ、シリーズも続いてデビューしているが、登場から6年が経過しているこのXC90は、一層磨きが掛けられている。
●【くるま問答】ガソリンの給油口は、なぜクルマによって右だったり左だったりするのか
輸入車の「熟成モデルは買い!」とよく言われるが、それは常に改良などが積み重ねられているからである。つまり熟した果実のように、熟成が進んだ輸入車は、とても「美味しい」と言うわけだ。
今回試乗したそんな美味しいモデルは、XC90 B6 AWD インスクリプションである。価格は1024万円。そういえば、ボルボ車として初めて1000万円という価格を超えたのもこのXC90である。ボディカラーはパイングレーメタリック、シートはパーフォレーテッドファインナッパレザー、シート&インテリアカラーはマルーンブラウンとなる。
優れたトータルバランスが魅力の3列シートSUV
装着オプションは、電気制御式リアエアサスペンション/ドライビングモード選択式FOUR-Cアクティブパフォーマンスシャシ、ラグジュアリーパッケージ(チルトアップ機構付電動パノラマガラスサンルーフ/Bowers&Willkinsプレミアムサウンドオーディオシステム[1400W 19スピーカー]サブウーファー付/ボルボドライブレコーダーフロント&リアセット[工賃含])となり車両と合わせた合計価格は1088万9650円となる。
ディメンジョンや出力などのスペックは、従来と変わらないが、このモデルは、しっかり大人が座ることができるスペースを持った3列シートSUVという個性が際だっており、それゆえ指名買いも多い。やはり他には見当たらないこのサイズ感に加え、ことさらハイパフォーマンスを強調するわけでもなく、北欧の香りが強く漂うモデルというのは魅力なのだ。
ドイツでも日本でもないというのも個性のひとつだろう。とくにインスクリプションはマッサージ機能などロングドライブを快適にこなせる装備も備え、ADAS系は先進機能がしっかり装備されている。トータルバランスに優れているのも人気の理由なのである。
ボディサイズの大きさを感じさせない軽快な走り
そして走り出すとこのクルマは魅力がさらに増す。大きなボディを感じさせない軽快なフットワークの持ち主なのだが、熟成が進み、それがさらに増幅したようだ。
最高出力300ps、最大トルク420Nmを発生する2L直4ターボエンジンは、急な登り坂もグイグイと力強く駆け上がっていき力不足を感じる場面はまったくなかった。元気さは、ワインディングロードに持ち込んでも健在である。コーナリングも実に楽しいSUVである。
そして乗り心地も実にいい。たとえば道路の段差を乗り越えた時に乗員に伝えてくる振動はとてもまろやかだ。さらに荒れた路面を走るときなどは足まわりがよく動いてくれるという印象を持った。
XC90はとても饒舌に路面からのインフォメーションを伝えてくれる。クルマと対話しながら走ることができるのである。そもそもボルボ車はどのモデルも長距離ドライブに適しているが、このXC90
も間違いなく疲労を極力少なくしてくれる。
今回も試乗で500km近くは走ったが、これでもまだ走り足りない、もっと遠くへ行きたいと思ってしまうほどなのだ。
XC90のマルチな才能は、さまざまなライフスタイルの相棒として最適な1台と言えるだろう。(写真:井上雅行)
ボルボXC90 B6 AWD インスクリプション主要諸元
●全長×全幅×全高:4950×1960×1775mm
●ホイールベース:2985mm
●車両重量:2130kg
●エンジン:直4DOHCターボ+電動スーパーチャージャー+電気モーター
●総排気量:1968cc
●最高出力:220kW(300ps)/5400rpm
●最大トルク:420Nm/2100-4800rpm
●モーター最高出力:10kW/3000rpm
●モーター最大トルク:40Nm/2250rpm
●トランスミッション:8速AT
●駆動方式:4WD(AWD)
●燃料・タンク容量:プレミアム・71L
●WLTCモード燃費:10.5km/L
●タイヤサイズ:275/45R20
●車両価格(税込):1024万円
[ アルバム : ボルボXC90 B6 AWD インスクリプション はオリジナルサイトでご覧ください ]
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みんなのコメント
高速や長距離移動するには、これ以上安全快適で疲れないSUVは無いと思いますね。
次は完全なEVになる事が決まってますし、大事に乗り続けようと思っています。
ただ落ち着いた内装と動力性能、安全装備は値段相応なのかなと思いました。