この記事をまとめると
■東京オートサロン2024のNATSのブースには学生の作品が展示されている
まさかの「ド新車」発掘? 美しすぎる「2代目ソアラ」は学生が意地で仕上げた逸品だった
■数ある卒業製作のなかからグランドスラムなハマー(?)に注目
■ハマーのように見えてじつはエスクードとジムニー2台で製作したカスタムカーだった
ハマーH1をイメージしたフルスクラッチモデル
オートサロンに出品しているのは、なにもカスタムファクトリーやプロのチューナーだけではない。クルマが大好きな学生たちを育てている自動車/工学系の学校が出品するクルマがじつに面白いのだ。
そこには自由な発想があり、商売を抜きにした純粋な情熱が垣間見え、仕上がりや完成度はプロに譲ったとしても、見る者の心を揺さぶって止まない。
そんなクルマが何台も出品されているが、今回チョイスしたのはNATSこと日本自動車大学校が製作したNATS JIMNY J1だ。ご覧のとおり、アメリカの軍用車を民生化したモデルとして有名なハマーH1をイメージしたフルスクラッチモデル。しかも、エアサスを装備した超車高短バージョンという遊び心まで付与されているのだ。
車名からジムニーをベースにしていそうだが、エンジンとシャシーはエスクードのものを使用している。そして、名前の由来となったジムニーは、なんとほぼ2台分のボディが使われていて、それぞれを横に並べるようにくっつけて、前後にも延長されている。言葉で表現すれば簡単だが、フロントスクリーンは横幅をそろえるようにカットされているし、リヤボディは逆にストレッチされるなど「切った貼った」の工程は緻密、かつ複雑だ。
学生たちの優れた点は面白ボディを作ったことだけでなく、スペースフレームかのような補強を加え、前述のエアサスに車高調整機能を持たせて、しっかり自走できるようにさせたことにほかならない。
大きく切り開かれたルーフをみれば計算されたケージが丸見えだし、ルーフラックとして使用できるよう工夫したのも感心するアイデアに違いない。細かなポイントだが、観音開きが採用されたリヤドアのヒンジもまた手が込んだカスタムなので、ぜひ実車でチェックしてほしい。
ちなみに、リヤカーゴにはハマーらしくきちんとスピーカーシステムがビルトインされており、クロムのエアタンクとあわせて西海岸あたりのカスタムシーンでも主役を張れそうな雰囲気。
こうしたハードやディテールのこだわりを見れば、決してハリボテなどとは呼べるわけもなく、ひたすら学生たちのクルマ愛に感動するほかない。
なお、NATSブースにはJIMNY J1以外にもスズキ・マイティボーイをケンメリスカイライン風にカスタムした「幻のちびメリ」や1964モデルのコロナをローライダー風にカスタムしたコロナOGなど、一見の価値があるモデルが多数出品されている。
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