毎年恒例となっているJAIA(日本自動車輸入組合)の「輸入車試乗会」が、今年も神奈川県西部にある大磯プリンスホテルで開催された。今回はイギリス、フランス、ドイツ、スウェーデン、アメリカのSUV計7台をはじめ、最新の輸入車総計10台を一挙に試乗。いずれもホテル敷地内での撮影と、近隣の一般道および自動車専用道路の西湘バイパスでの試乗を合わせて各45分間という短い時間ではあったものの、各車のお国柄とブランドの個性を明確に感じ取ることができた。
日本では新型2代目が2017年9月に発表されたばかりのアウディ製ミドルサイズSUV「Q5」。その中で唯一、354ps・500Nmの3L V6直噴ガソリンターボエンジン+8速ATを搭載する高性能バージョンが「SQ5」だ。
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結論から言えば、今回試乗したSUV7台の中で最もスポーティかつ乗用車に近い感覚で運転できるのが、このアウディSQ5だった。
新型Q5は現行A4をルーツとする進化版の縦置きエンジン用プラットフォーム「MLB evo」を採用し、前後5リンク式サスペンションにはアルミ合金を多用することで、先代より約60~70kg軽量化されている。
SQ5はそのうえで、通常時の前後トルク配分を40:60に設定するセルフロッキングセンターデフ付き「クワトロ」4WDシステムと電子制御ダンパーを搭載してシャシー性能を強化。
試乗車はさらに、走行状況に応じてEPSのアシスト量や舵角量を電子制御するオプションの「ダイナミックステアリング」が装着され、よりクイックなハンドリング特性が与えられていた。
近年のアウディ全車に共通する、シャープかつソリッドで技術力の高さを感じさせる内外装、そして走りはこのSQ5にも漏れなく備わっており、1900mmもの全幅とやや高めのアイポイントを除けば、SUVであることと1930kgの車重を持つことをほとんど感じさせない。
車重を感じさせないという点では加速性能についても同様で、発進から高速道路での追い越しまで、どのような速度・回転からも余裕をもって加速することができる。51.0kgm/1370-4500rpmの最大トルクと354ps/5400-6400rpmの最高出力は伊達ではなかった。
なお、今回の試乗車は255/40R21 102Vのハイウェイスタッドレス・ランフラットタイヤであるピレリ・スコーピオンウィンターを装着していたため、一般的なQレンジの氷雪路用スタッドレスタイヤよりは軽微ながら、標準装備のタイヤに対しドライ舗装路でのグリップやハンドリング、乗り心地の面で劣っていたと思われる。
それにも関わらず、速度域を問わずロールを最小限に抑えながら路面の凹凸をキレイにいなし、高速域では無類の直進安定性を保ち続けていたのだから、見事というより他にない。
フロントシートのサポート性、後席の居住性、荷室の容量についても申し分なく、これならば大人4人で遠出しても、疲れ知らずであっという間に目的地までたどり着けるだろう。
「アウトバーン育ち」とは、超高速域でも安心して長時間走り続けられる運動性能と快適性を兼ね備えたクルマ、特にドイツ車を形容する常套句だが、このSQ5はまさに「アウトバーン育ち」を感じさせてくれるクルマに仕上がっていた。ただしその生産工場はサン・ホセ・チアパス、実はメキシコ生まれだったりするのだが。
<アウディSQ5(4WD・8AT)>
全長×全幅×全高:4685×1900×1635mm ホイールベース:2825mm 車両重量:1930kg エンジン形式:V型気筒DOHC直噴ガソリンターボ 排気量:2994cc ボア×ストローク:84.5×89.0mm 圧縮比:11.2 最高出力:260kW(354ps)/5400-6400rpm 最大トルク:500Nm(51.0kgm)/1370-4500rpm JC08モード燃費:11.9km/L 価格:8,870,000円
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