現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 【試乗】3代目アウディA6がフェイスリフトで示した「小さなエンジン」のかっこよさ【10年ひと昔の新車】

ここから本文です

【試乗】3代目アウディA6がフェイスリフトで示した「小さなエンジン」のかっこよさ【10年ひと昔の新車】

掲載 更新 1
【試乗】3代目アウディA6がフェイスリフトで示した「小さなエンジン」のかっこよさ【10年ひと昔の新車】

2009年1月、シングルフレームグリルを備えて「新時代のアウディ」を象徴してきた3代目アウディA6がフェイスリフトされて日本に上陸した。エンジンやデザインの変更、充実した新機能の採用など実施されて大きな注目を集める中での登場だった。ここでは登場後まもなく行われた試乗テストの模様を振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2009年3月号より)

フェイスリフトと同時にラインアップを変更
今回試乗したのは、新しくA6のラインアップに加わったスーパーチャージャーを備えた3L V6エンジン搭載の「3.0TFSI」、そのセダンとアバントの2モデルだ。アバントは、アダプティブエアサスペンションを備えた「Sライン」である。

●【くるま問答】ガソリンの給油口は、なぜクルマによって右だったり左だったりするのか

ちなみに日本仕様のA6は、このフェイスリフトと同時にラインアップが変更され、セダン/アバントともにエンジンは3.0TFSIと改良型の2.8FSIの2種類となり、さらにすべてクワトロモデルになっている。

まずエクステリアで気が付くのが、ヘッドライトデザインの変化だ。いまや、アウディのデザインアイコンといえるLED式のポジショニングランプが、ヘッドライト内の下側に一直線状に備えられた。新しいA4に採用された「くまどり」のように独特なラインのものと比べると、だいぶ落ち着いた印象のものだが、それでもアイラインの表情は力強いものになった。フロントグリルのデザインも、ナンバープレート周囲まで一体化されたものとなり、下部のエアインテーク形状も抑揚が強調されている。

セダンのリアコンビネーションライトも変化した。今までよりも薄型のLED式となり、さらにトランクリッドの内側まで伸びて、A4とも共通する二分割型の水平基調のものになった。

アウディが独自に開発した新しいCAJ型エンジンは、バンク間のスペースに1基のルーツブロワー式スーパーチャージャーを備えた直噴式3L V6DOHC。最高出力290ps、最大トルク420Nmで、これまでA6に搭載されていた3.2FSIの255ps/330Nmを大きく上まわる。さらに、組み合わされるクワトロシステムの前後駆動力配分も、基本設定がフロント40%、リア60%となって、前後均等の設定からリア寄りとされた。

洗練された走り具合は上級車ならではの味わい
走り出すと、低回転域から実に柔軟でトルクフルだ。アクセルペダルをグッと踏みこめば、即座に力強い反応を示してくれる。

伝達効率と燃費性能を向上させるため、トルクコンバーター部などに徹底的な設計の見直しを受けた6速ATは、デュアルクラッチ型トランスミッションでは味わえないしっとりとした滑らかさを感じさせつつ、素早いシフトアップぶりを見せる。パドルシフトでシフトダウンさせれば、控えめなブリッピング制御とともにこちらもスムーズに変速する。熟成されたコンベンショナルなATならではの上質感が、ここにはある。

アクセルペダルをフルに踏み込めば、シフトアップは6800rpmで行われるが、そこまで回すシチュエーションはまずほとんどないと思えた。セダンで1840kgという車重を意識させず、低回転からの分厚いトルクで、爽快に走っていく。

瞬時の加速が必要なときでも、Dレンジに入れたまま3000~4000rpmも回せば、ほぼ用は足りてしまった。100km/h走行時のエンジン回転数は6速で1850rpm弱ほど。6370rpmあたりで200km/hに到達する計算だ。

ハンドルの操作力だが、センター付近がとても軽いので、ワインディング路などでも苦にならない。むしろ、もう少し重い方がリニアなフィーリングになるのでは、と感じたほどだ。新しいクワトロシステムの効果もあるのか、屈曲したワインディング路でも、軽やかさをもって走り抜ける姿に驚かされた。

3.0TFSIは、標準でスポーツサスペンションと245/40R18サイズのタイヤを装備する。荒れた路面ではわりと正直にコツコツとした反応を伝えてくるが、ボディをしっかりと抑え込んでくれるので、その動きは小気味よい。

対してSラインは、アダプティブエアサスペンションと255/35R19サイズのタイヤの組み合わせ。試乗したのがアバントで車重も異なるせいか、エアサスペンションの設定をもっともハードな「ダイナミック」モードにしても、セダンのそれよりはシャープさが抑えられていた印象だ。

A6が備える何よりの魅力は、見るものに上質な存在感を訴える流麗なスタイリング、そして細部まで丁寧に作り込まれたインテリアがもたらしてくれる「満足感」だと思う。この3.0TFSIは、そこに動力性能と燃費性能を両立させたパフォーマンスの高さ、という価値がさらに加わる。

このクラスのモデルにおいては「それなりの対価を支払うことへの満足感がどれくらい得られるのか」ということがとても重要だ。自分が選んだものは間違っていなかった、と感じさせてくれるもの。それを、どれだけ備えているか、感じさせてくれるか、である。

新しい独自パワーユニットを搭載したA6 3.0TFSIには、その魅力が確かにあると感じられた。(文:Motor Magazine編集部 香高和仁/写真:小平 寛)

アウディ A6 3.0TFSIクワトロ 主要諸元
●全長×全幅×全高:4925×1855×1435mm
●ホイールベース:2845mm
●車両重量:1840kg
●エンジン:V6DOHCスーパーチャージャー
●排気量:2994cc
●最高出力:213kW(290ps)/4850-6800rpm
●最大トルク:420Nm/2500-4850rpm
●トランスミッション:6速AT
●駆動方式:4WD
●燃料・タンク容量:プレミアム・80L
●10・15モード燃費:9.4km/L
●タイヤサイズ:245/40R18
●最高速度:250km/h(リミッター)
●0→100km/h加速:5.9秒
●車両価格:780万円(2009年当時)

アウディ A6アバント 3.0TFSIクワトロ Sライン 主要諸元
●全長×全幅×全高:4925×1855×1475mm
●ホイールベース:2845mm
●車両重量:1910kg
●エンジン:V6DOHCスーパーチャージャー
●排気量:2994cc
●最高出力:213kW(290ps)/4850-6800rpm
●最大トルク:420Nm/2500-4850rpm
●トランスミッション:6速AT
●駆動方式:4WD
●燃料・タンク容量:プレミアム・80L
●10・15モード燃費:9.4km/L
●タイヤサイズ:255/35R19
●最高速度:250km/h(リミッター)
●0→100km/h加速:5.9秒
●車両価格:893万円(2009年当時)

[ アルバム : 3代目アウディA6 フェイスリフト はオリジナルサイトでご覧ください ]

こんな記事も読まれています

スズキのコンパクトSUV「エスクード」国内販売が終了 新たな「グローバルSUV」投入に期待!
スズキのコンパクトSUV「エスクード」国内販売が終了 新たな「グローバルSUV」投入に期待!
くるまのニュース
スタイリッシュなスタイルと折りたたみ機構を採用 電動アシスト自転車「Refna WINDY」発売
スタイリッシュなスタイルと折りたたみ機構を採用 電動アシスト自転車「Refna WINDY」発売
バイクのニュース
アルファロメオ ジュリア/ステルヴィオ、限定車「ヴェローチェ スペリオーレ」発売
アルファロメオ ジュリア/ステルヴィオ、限定車「ヴェローチェ スペリオーレ」発売
レスポンス
GWにホンダ青山本社で「モーターサイクルショー」開催、新型車をじっくり見られる機会!
GWにホンダ青山本社で「モーターサイクルショー」開催、新型車をじっくり見られる機会!
モーサイ
ホンダN-VANがマイナーチェンジ。特別仕様車FUN「STYLE+ NATURE」を同時発売
ホンダN-VANがマイナーチェンジ。特別仕様車FUN「STYLE+ NATURE」を同時発売
カー・アンド・ドライバー
ランボルギーニの電動化第二弾は「ウルス」!フェイスリフトでPHEVになったウルスの全情報!
ランボルギーニの電動化第二弾は「ウルス」!フェイスリフトでPHEVになったウルスの全情報!
AutoBild Japan
トヨタが「新型モデル」世界初公開! クロスオーバー&SUV 2台同時に! 25年半ばまでに発売!? 「bZ3C」と「bZ3X」中国で登場
トヨタが「新型モデル」世界初公開! クロスオーバー&SUV 2台同時に! 25年半ばまでに発売!? 「bZ3C」と「bZ3X」中国で登場
くるまのニュース
フォーミュラEの改良型マシン『GEN3 EVO』が初公開。4輪駆動化と超高速充電対応で2025年デビュー
フォーミュラEの改良型マシン『GEN3 EVO』が初公開。4輪駆動化と超高速充電対応で2025年デビュー
AUTOSPORT web
フォルクスワーゲンが次世代大型電動SUV『ID.CODE』を発表
フォルクスワーゲンが次世代大型電動SUV『ID.CODE』を発表
レスポンス
ホンダ ヴェゼルをマイナーチェンジし新グレードも設定
ホンダ ヴェゼルをマイナーチェンジし新グレードも設定
Auto Prove
最近、スズキのデザインが尖ってきたワケ「キーワードはGSX-R DNAとプラットフォーム」
最近、スズキのデザインが尖ってきたワケ「キーワードはGSX-R DNAとプラットフォーム」
モーサイ
鉄道はあれど重い荷物にはバスのほうがラクだが……運休!? 空港行きの高速バスで2024年問題を痛感した!
鉄道はあれど重い荷物にはバスのほうがラクだが……運休!? 空港行きの高速バスで2024年問題を痛感した!
WEB CARTOP
全長5m超えのトヨタ「大型バン」登場! 斬新“観音ドア&縦4灯テール”採用!? 特許庁が「新ハイエース」公表、反響は?
全長5m超えのトヨタ「大型バン」登場! 斬新“観音ドア&縦4灯テール”採用!? 特許庁が「新ハイエース」公表、反響は?
くるまのニュース
これ全部ベスパ!? 1万5000台による大パレードが行われたベスパワールドデイズ2024
これ全部ベスパ!? 1万5000台による大パレードが行われたベスパワールドデイズ2024
バイクのニュース
[カーオーディオ 逸品探究]実力ブランド「モレル」の最新ハイエンド機『イレイト カーボン』の魅力に迫る!
[カーオーディオ 逸品探究]実力ブランド「モレル」の最新ハイエンド機『イレイト カーボン』の魅力に迫る!
レスポンス
7代目フォルクスワーゲン パサートは中身の濃い変更が行われていた【10年ひと昔の新車】
7代目フォルクスワーゲン パサートは中身の濃い変更が行われていた【10年ひと昔の新車】
Webモーターマガジン
決算期3月は乗用車全セグメントで前年実績割れ!SUVマーケットはどうなっている?(24年3月の軽自動車を含むSUV車販売登録ランキングTOP20)
決算期3月は乗用車全セグメントで前年実績割れ!SUVマーケットはどうなっている?(24年3月の軽自動車を含むSUV車販売登録ランキングTOP20)
カー・アンド・ドライバー
ホンダが新型「5ドアスポーツクーペ」を世界初公開! 流麗デザイン×斬新ハンドル採用! 25年内に登場予定の新型「GT コンセプト」 北京で初披露
ホンダが新型「5ドアスポーツクーペ」を世界初公開! 流麗デザイン×斬新ハンドル採用! 25年内に登場予定の新型「GT コンセプト」 北京で初披露
くるまのニュース

みんなのコメント

1件
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

795.01140.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

38.0798.0万円

中古車を検索
A6 (セダン)の車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

795.01140.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

38.0798.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村