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【デザインも大きく変わる?】ミニ 2030年までに全モデルEV化 トラベラー、マイナーの名も

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【デザインも大きく変わる?】ミニ 2030年までに全モデルEV化 トラベラー、マイナーの名も

中国市場での存在感を確立

text:Hilton Holloway(ヒルトン・ホロウェイ)

【画像】変化を続ける「ミニ」らしさ【現行ミニのラインナップを写真で見る】 全114枚

translator:Takuya Hayashi(林 汰久也)

ミニは、2030年までにラインナップを刷新してEVのみのブランドとする親会社BMWの戦略により、大きな変革がもたらされようとしている。

ミニは2022年後半から2025年にかけて、全長わずか3.5mの超小型3ドアEVを発売した後、より大型のカントリーマン(日本名:クロスオーバー)と、広々としたMPV(ミニバン)で新シリーズを構成すると予想されている。

後者の2モデルは、少なくとも全長が4.5mになると見られ、これまでのミニの中で最も大きなモデルとなる。現在の3ドアハッチと5ドアハッチ、そしてコンバーチブルとクラブマンも置き換えられるものとAUTOCARは予想する。

また、フォーミュラEのペースカーとして使用されるワンオフの電動ミニJCWペースセッターが発表され、電動ブランド化に向けた一歩が踏み出された。

BMWの関係者によると、スタイリングの過激さを抑えたJCWの電動バージョンが、今年の終わりか2022年の初めに発売されるとのこと。JCWの特徴であるパワーとシャープなハンドリングを披露することで、電動化された新世代のミニの信頼性を確立することを目的としている。

最近、冬期テストを行っている別のEVが目撃されているが、これは「マイナー(Minor)」の名前を復活させるものと思われる。

マイナーは、BMWと長城汽車による新会社、光束汽車が中国で展開する最初のモデルとなる。このモデルは、BMWと長城のエンジニアが共同開発した新しいプラットフォームをベースにしている。中国の江蘇省にある5億5000万ポンド(824億円)の光束新工場の建設は、2020年6月に開始された。

両社は、この工場の役割として、EVの研究開発や、グローバル市場向けの新型ミニモデルの製造などを挙げている。現在、中国ではミニの全モデルが輸入されており、その結果、価格は現地生産のBMW 3シリーズと同等になっている。

ミニの中心となるモデルを、非常にコンパクトな国産都市型EVとして投入することで、中国における同ブランドの存在感を大きく高めることが期待される。

BMWの新型パワートレイン採用か

BMWがミニの超小型化を実現できたのは、EVのプラットフォームが持つパッケージングと省スペース化のメリットがあったからだと考えられている。

横置きエンジンとサンプ・トランスミッション、新しい小型サスペンション、小さなホイールを採用して超小型化を実現した初代ミニと同様に、ミニ・マイナーには、バッテリーによるフラットフロアと、BMWが開発中の新しいオール・イン・ワン電動パワートレインが活用される。

「ヒート(Heat)」というコードネームで呼ばれるこのパワートレインは、新型の水冷式モーター、パワー・エレクトロニクス、1速トランスミッションを、一般的な内燃機関のスペースに収まるように1つのモジュールにまとめたものだ。

新型ミニ・マイナーの技術的な詳細はまだ明らかになっていないが、もしヒートを採用した場合、予想される出力は135ps程度になると思われる。車両サイズが小さく、重量も比較的軽いことから、約35kWhのバッテリーを搭載し、最大で270km強の航続距離を実現すると考えられる。

BMWのある関係者によると、一般的な1日の平均使用距離が37kmであることから、都市部に住むドライバーが1週間分の移動を充電なしで行うことができるという。

現在のデザイン路線から脱却

現在、BMWが目指しているのは現行のミニシリーズを刷新することであり、このプロセスは2023年の初めに開始される見込みだ。3ドア、5ドア、クラブマンの後継モデルは、内外装のデザインと、パッケージングのさらなる改善が期待される。

ミニのデザインチーフであるオリバー・ハイルマーは、最近のインタビューで、次世代のミニが新しいプラットフォームをベースにしていることを明らかにした。FAARと名付けられたこのプラットフォームは、BMWの前輪駆動車に使用され、ICE車、プラグイン・ハイブリッド車、完全EVの各パワートレインに適応する予定だ。

ハイルマーは、現在のミニのデザイン路線から脱却し、過去20年間で失われたオリジナルのミニのシンプルさを取り戻すことを目指していると述べている。第4世代となる次期ミニの最重要課題の1つとして、フロントオーバーハングの縮小が挙げられている。これは、ミニのノーズを短くするために、衝撃吸収材として発泡スチロールを使用するという革新的な手法を含む、大規模なデザイン・オーバーホールの要となるものだ。

最近のインタビューで、ハイルマーは「ミニのデザインをできるだけ減らしたい」と語っている。

「わたし達は常に1959年のミニを振り返っています。何が装飾的で、何を取り除くことができるかを考えているのです」

彼はまた、3ドアのミニがそのデザインのルーツから大きく外れることはないと示唆している。例えば、丸いヘッドライトなどの要素は残るが、次期カントリーマンにはまったく異なるアプローチが必要になるという。

トグルスイッチも廃止の可能性

ハイルマーは2019年12月、AUTOCARに対し、現在のクラムシェル・ボンネットのデザインは存続しない可能性があり、トグルスイッチなどの長年続いているディテールについても再検討していると語った。また、現在の重厚なドーム型のサイドはやめて、スペースを確保するためのフラットなパネルに変更される可能性もある。

新しい5ドアハッチのスタイリングは、「はるかに改善される」と述べている。現行モデルは、大型のクラブマンのホイールベースを維持しつつ、小柄に見えるように造形されている。そのため、次期クラブマンはおそらく、全長・全高ともに拡大してトランクや室内空間が広くなり、クロスオーバー風のデザインを採用することになるだろう。

一方、カントリーマンは本格的なSUVへと成長すると思われる。新型BMW X1の兄弟車となるこのモデルは、新しいFAARプラットフォームを採用している。BMWのトップは、重要な米国と中国の両市場で本格的に競争するためには、サイズアップが必要だと述べている。

「ハッチバックの場合、サイズが最も重要です」とハイルマーは語っている。「他のモデルでは、サイズはあまり問題になりません。わたしは各モデルがセグメント内で最も小さく、あるいは視覚的に最も小さくなるようにしたいと考えています。しかし、小さいことが販売に役立つとは限りません」

パワートレインとしては、新型の3ドアハッチ、5ドアハッチ、クラブマン、カントリーマンは、現行の3気筒および4気筒エンジンから大きく外れることはないだろう。カントリーマンにはマイルド・ハイブリッドとプラグイン、クラブマンにはプラグインが用意されると考えられる。カントリーマンの完全EV仕様の計画も進んでいる。

新型ミニバンのアーバノート

最終的には、「トラベラー」と呼ばれるMPVスタイルのEVが登場すると予想される。昨年末に発表されたコンセプト、アーバノートで予告されたこのモデルは、ローバー・グループのデザイナーが24年前に描いたスピリチュアル・ミニのコンセプトを彷彿とさせる。

このモデルは、環境負荷の少ない都市型ファミリーワゴンと商用車として販売される可能性がある。

アーバノート・コンセプトは、BMWが最近発表したばかりの「スケートボード」シャシーをベースにしていた。「ノイエ・クラッセ(ニュークラス)」と呼ばれるこのアーキテクチャーは、最大限のリサイクル性と、クラウドベースのコネクティング・サービスの導入を目指して設計される。2025年までに発売される予定はない。

しかし、トラベラーはカントリーマンのように、FAARプラットフォームのEVバージョンを採用する可能性がある。もしミニが全長4.6mのクルマを作る気があるのなら、BMW 2シリーズ・グランツアラーのような7人乗りのクルマになるかもしれない。

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みんなのコメント

3件
  • 色んな「ミニ」が出てくるのは良いことだと思います。せっかくEVやるんだったらシティコミューター的な小さなミニも作ってくれたらなーなんて思ってしまいます。
  • トラベラーは日本の市場にジャストサイズのミニバンかも知れない。
    VW BUZZは魅力的だけど大きすぎるからレンタカーで使うには良いと思うが。

※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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