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老舗ヤナセが手がけるクラシック・ベンツの世界とは? 3台の美しきSLたち

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老舗ヤナセが手がけるクラシック・ベンツの世界とは? 3台の美しきSLたち

4月9日~11日、幕張メッセ(千葉県千葉市)で、旧車イベントである「オートモビルカウンシル2021」がおこなわれた。そこで気になったクルマを武田公実がピックアップする。今回は、ヤナセが手がけたメルセデス・ベンツSLのお話。

価格差の理由

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2021年のオートモビルカウンシルにおいて、ひときわ大きなブースを展開していた「ヤナセ・クラシックカーセンター」は、第2次世界大戦後まもない時期のメルセデスから、フォルクスワーゲン「ビートル」のコンポーネンツを流用したレーシングカーの「フォーミュラVee」に至る、ヤナセの歴史を彩る7台のクラシックカーを展示した。

なかでも、今回メインを飾る主役として前列に並べられたのは、3世代・3台のメルセデス・ベンツ「SL」だ。1968年型280SL (W113系)と1989年型560SL(R107系)、そして1993年型500SL (R129系)である。

いずれもクラシックカーセンターの正規販売車両であり、280SLには「1760万円」、560SLには「968万円」、500SLには「528万円」というプライスボードが掲げられていた。

おなじSLクラスであっても世代によって明らかな価格差が生ずるのは、マーケットにおける人気や相場価格が反映されるクラシックカー/コレクターズカーの世界では当たり前のことというべきだろう。

ハードトップの特異な形状から「パゴダ(Pagoda)」の愛称とともにそのスタイリッシュさが讃えられ、人気を集めているW113系だけでなく、その人気に引き寄せられるかのように、この10年で一気に評価を高めたのがR107系だ。

それに対してR129系は、「ヤングタイマー」と呼ばれるネオクラシックカーの分野でこそ順調に地位を築きつつあるものの、まだヤングタイマー市場そのものが新しく、それ以前の真正クラシックカー市場ほどの価格帯が形成できていない。

それが、この価格差をもたらした最大の理由であろう。

並行輸入モデルベースも販売へ

今回展示されたSLのうち、1989年型560SL(R107)と1993年型500SL (R129)は、正規輸入され、ヤナセ販売網で新車販売された車両だ。

かつて新車として販売したのち、たとえオーナーが変遷したとしても、ヤナセ・ネットワーク内でメンテナンスや修理がおこなわれてきたヒストリーの残っている個体から、さらにベース車両としてのコンディションが良好なものが販売の対象となるという。

そして、不具合箇所の修理および長年の経験から知りえた弱点の予防整備をおこなったうえで車検を取得。6カ月または走行5000kmを上限とする「ヤナセクラシックカー保証」つきで販売されるそうだ。

この2台こそ、これまでのヤナセ・クラシックカーセンターの販売形態に即したものであるが、1968年型の280SL (W113)は新たなスタイルの販売車両だった。

最大の違いは、ベース車両がいわゆる並行輸入車である点。近年、アメリカから輸入された個体であるという。整備販売及び販売後のメンテナンスが受けられるという点については正規輸入車とおなじながら、ヤナセクラシックカー保証の対象にはならないという。しかしそのコンディションは、1760万円という価格も納得の素晴らしいものであった。

3Dプリンターの活用

クラシック/ヤングタイマー・メルセデスは、数年前に比べると価格が高騰している。それは全世界的な傾向であり、日本国内も例外ではない。

とはいえ、ヤナセ・クラシックカーセンターが掲げるプライスには、しかるべき理由がある。サービス業務に携わるスタッフには、これらのクラシックモデルたちが現役だった時代をリアルタイムで知る熟練のメカニックたちもいるそうだ。また、マイスターの技術を後世に伝えるべく、若手メカニックも積極的に登用・育成し、顧客に恒久的なサービス体制を継続する努力をおこなっている。

さらに、パートナー企業である「スタークラフト」の協力を得て、3Dプリンターを用い、入手できなくなってしまったパーツの復刻にも取り組んでいるという。

ヤナセのブースには、クラシックカーセンターによるフルレストア第1号車の、1958年型メルセデス・ベンツ「190SL」(W121系)も展示されていた。

この190SLがオートモビルカウンシルに登場するのは、今回が3度目である。前々回はベース車両の状態、前回はクリーム色のボディ/ライトブラウン内装でレストア途上だったが、今回は「99%レストアを完成した状態」とのことで、すでに購入を決めている顧客の要望に応え、シルバー外装/赤革インテリアへ変身を遂げていた。

190SLは参考出品で、しかも特定カスタマーからの委託レストアゆえにプライスは掲げられていなかった。こちらもまた、ヤナセ・クラシックカーセンターの知見と技術力の高さを目に見えるかたちでアピールする最高のサンプルだった。

文と写真・武田公実

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