現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > マクラーレン 570S スパイダー、その斬れ味はまさに日本刀の如し! 【Playback GENROQ 2018】

ここから本文です

マクラーレン 570S スパイダー、その斬れ味はまさに日本刀の如し! 【Playback GENROQ 2018】

掲載 更新
マクラーレン 570S スパイダー、その斬れ味はまさに日本刀の如し! 【Playback GENROQ 2018】

McLaren 570S Spider

マクラーレン 570S スパイダー

マクラーレン 570S スパイダー、その斬れ味はまさに日本刀の如し! 【Playback GENROQ 2018】

真剣のスパイダー

マクラーレンのエントリーラインナップとなるスポーツシリーズ。その第3のボディタイプとなるスパイダーがついに日本にも上陸した。エントリーとはいえ十分な実力を兼ね備えているのは言うまでもない。早速ハードトップを開け放ち、冬のワインディングで堪能した。

「クーペと遜色ない剛性とそれに裏打ちされた走りを実現するスパイダー」

ワインディングの入口にさしかかったところで、570Sスパイダーの車速を40km/h以下に落として電動ルーフを開ける。すぐさま凜とした冬の空気が流れ込んでくるが、それがちょっと嬉しかったりする。ピリッと乾燥したこの時期のワインディングを走らせるとスパイダーの魅力がいっそう輝くように感じるのもあるが、すぐさま撮影できるようにルーフを開け放つ必要があった。車両を都内で受け取リ、渋滞と高速道と一般道を3時間も走ってカメラマンの待つ西伊豆にたどり着いた時には、冬至の近いこの時季らしく日が傾いていた。

マクラーレンのスポーツシリーズ第3弾となるスパイダーは、このクラスのスーパースポーツとしては当然かもしれないが、その気になれば一線級の速さで、しかもすぐさまオープンエアモータリングの開放感が得られるから魅力的な選択肢だ。ひと昔前のオープンモデルは剛性に難があったり、ハードな走りを求める向きにはオススメできないこともあったが、現代にあってはクーペと遜色ない剛性とそれに裏打ちされた走りを実現していることが多い。マクラーレンの代名詞とも言えるカーボンファイバー製モノコック、モノセルIIの霊験あらたかで、驚くべきことに今回のオープン化にあたり補強はされていないという。その結果、570Sと比べて乾燥重量の増加はリトラクタブルハードトップを電動化するための46kgに留められている。

「570Sクーペとスパイダーの動力性能差は、サーキットでなければないに等しい」

そもそも最高出力570ps、最大トルク600Nmを発生する3.8リッターV8ターボの本領を発揮するのは難しい。以前ちょい濡れのレーシングコースでクーペの570Sに試乗する機会があったが、高出力ミッドシップを全開にさせることはできなかった。勇気はともかくスキルが足りなかったのだが、実際570Sクーペとスパイダーの動力性能差は、サーキットでなければないに等しい。実際に最高速は328km/h、0-100km/hは3.2秒と570Sクーペと同様の動力性能となっている。ちなみに燃費もNEDCで同値である。近年多くの顧客がオープンモデルを選ぶのも当然だろう。

ディヘドラル・ドアを斜め上に跳ね上げ、カメラマンを乗せて走り出す。可動範囲が大きなチルトとテレスコピック、さらに微調整可能な8WAYシートのおかげで理想的なドライビングポジションがとれる。

「一般道ではスポーツモードあたりで走るのが精神衛生上いいだろう」

ワインディングに入ったらルーフを開けるのはもちろん、ドライブモードを変更すべきだろう。センターコンソールのアクティブダイナミクスコントロールの「アクティブ」スイッチを入れて、左のハンドリングダイヤルと右のパワートレインダイヤルをともに「ノーマル」から「スポーツ」にする。前者がダンパーとESCのセッティング、後者がシフトスケジュールや変速スピードなどDCTのセッティングが変更される。これで変速もマニュアルにすれば、気持ちよく“そこそこ”のペースでワインディングを飛ばすことができる。さらに車両の反応が鋭敏になるサーキット用の「トラック」モードも用意されるが、ハンドリングをトラックモードにすると、あわせてESCの警告ランプも点灯する(ESCは全オフにはならないが)ので、一般道ではスポーツあたりで走るのが精神衛生上いいだろう。

日没に間に合うようにカメラマンの求めに応じて長く続く山道を飛ばす。ステアリング裏のパドルは左右が一体となっており、右を引いてアップ、左を引けばダウン。両方同時に引くことはできない。このクリック感が良く、ついついシフトしてしまう。ペダルレイアウトは車両の中央寄りで、スポーツ走行の際にはやや重めのブレーキを左足で踏む方がしっくりくる。アクセルペダルはオルガン式でこちらもやや重く渋い。

「スパイダーであっても切れ味鋭いコーナリングは圧巻だ」

ともあれワインディングを長く走らせると、日本刀のごとく切れ味鋭いコーナリングは限界域こそ測りかねるが、わずかにステアリングを切った時に、あるいはわずかにブレーキに触れた時やパーシャルスロットルで長いコーナーを走る時など、その都度ドライバーに喜びを与えてくれるクルマだと感じた。撮影ポイントを次々と変えるためにハイペースで走行を続けたが、それでも音を上げる気配すらない。

それも当然だろう。F1コンストラクターたるマクラーレンが、乗用車の延長線上にスーパーカーを求めたのか、あるいはレーシングカーから日常乗れるスーパーカーを造ったのか、答えは明快だ。装着されるマクラーレンの承認タイヤのコルサMCの限界は遙か彼方と感じた570S クーペと同様にこのスパイダーもまたすべての期待に応えてくれるスーパーカーと言える。そのスペックも中身も竹光ではない。真剣の切れ味そのものだ。

REPORT/吉岡卓朗(Takuro YOSHIOKA)
PHOTO/小林邦寿(Kunihisa KOBAYASHI)

【SPECIFICATIONS】

マクラーレン 570S スパイダー

ボディサイズ:全長4530 全幅1930 全高1201mm
ホイールベース:2670mm
車両重量:1498kg
エンジン:V型8気筒DOHCツインターボ
総排気量:3799cc
最高出力:419kW(570ps)/7500rpm
最大トルク:600Nm(61.2kgm)/5000-6500rpm
トランスミッション:7速DCT
駆動方式:RWD
サスペンション:前後ダブルウィッシュボーン
ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク
ディスク径:前394 後380mm
タイヤサイズ(リム幅):前225/35R19(8J) 後285/35R20(10J)
最高速度:328km/h
0-100km/h:3.2秒
燃料消費率:10.7L/100km
車両本体価格:2898万8000円

※GENROQ 2018年 3月号の記事を再構成。記事内容及びデータはすべて発行当時のものです。

こんな記事も読まれています

RB、上位入賞妨げる“スタート問題”解消へ。原因はタイヤとクラッチ?「安定感のあるレッドブルとは同じエンジン」と角田裕毅
RB、上位入賞妨げる“スタート問題”解消へ。原因はタイヤとクラッチ?「安定感のあるレッドブルとは同じエンジン」と角田裕毅
motorsport.com 日本版
ランボルギーニ初のプラグインハイブリッド スーパーSUV「ウルス SE」を日本初公開!
ランボルギーニ初のプラグインハイブリッド スーパーSUV「ウルス SE」を日本初公開!
Webモーターマガジン
未来の新幹線? いいえ、トラックです…米ケンワースがプロトタイプを発表
未来の新幹線? いいえ、トラックです…米ケンワースがプロトタイプを発表
レスポンス
レッドブル重鎮マルコ、F1モナコGPでの最大の敵はフェラーリと予想。一方ホーナー代表はマクラーレンを警戒?
レッドブル重鎮マルコ、F1モナコGPでの最大の敵はフェラーリと予想。一方ホーナー代表はマクラーレンを警戒?
motorsport.com 日本版
京急バスが東急バスを運行! 会社間の垣根越え初タッグ 横浜本社から遠隔監視
京急バスが東急バスを運行! 会社間の垣根越え初タッグ 横浜本社から遠隔監視
乗りものニュース
ポルシェジャパンが若者の夢に投資する「Porsche.Dream Together」プロジェクト
ポルシェジャパンが若者の夢に投資する「Porsche.Dream Together」プロジェクト
Webモーターマガジン
トヨタ「アルファード」が欲しい! けど“現行”は高すぎ… 「先代アルファード」なら200万円程度で買える!? 狙い目の「お買い得中古車」とは
トヨタ「アルファード」が欲しい! けど“現行”は高すぎ… 「先代アルファード」なら200万円程度で買える!? 狙い目の「お買い得中古車」とは
くるまのニュース
ポルシェ911をレストモッド…シンガーがコーンズ・グループと日本における代理店契約を発表
ポルシェ911をレストモッド…シンガーがコーンズ・グループと日本における代理店契約を発表
レスポンス
マフラー出口の本数やデザインに意味はあるのか? なつかしの「竹ヤリ」から最新トレンドまでを元チューニング雑誌編集者が解説します
マフラー出口の本数やデザインに意味はあるのか? なつかしの「竹ヤリ」から最新トレンドまでを元チューニング雑誌編集者が解説します
Auto Messe Web
“分離・合体”できる次世代モビリティ!? 電動3輪モビリティプラットフォーム「ラプター」が一般公開。年内に市販化?
“分離・合体”できる次世代モビリティ!? 電動3輪モビリティプラットフォーム「ラプター」が一般公開。年内に市販化?
くるくら
データシステム、レクサスLBX用「TV-KIT」シリーズを発売開始
データシステム、レクサスLBX用「TV-KIT」シリーズを発売開始
月刊自家用車WEB
アストンマーティンのアップデートは失敗じゃない! クラック代表「みんな結論を出すのが早すぎる」
アストンマーティンのアップデートは失敗じゃない! クラック代表「みんな結論を出すのが早すぎる」
motorsport.com 日本版
現行ベントレー・コンチネンタルGTの日本限定モデル「コンチネンタルGTアズール ラスト・オブ・ライン コレクション」が登場
現行ベントレー・コンチネンタルGTの日本限定モデル「コンチネンタルGTアズール ラスト・オブ・ライン コレクション」が登場
カー・アンド・ドライバー
次期型はポルシェの兄弟車に!? VW『シロッコ』、電動スポーツカーとして復活か
次期型はポルシェの兄弟車に!? VW『シロッコ』、電動スポーツカーとして復活か
レスポンス
壊れて当然のノリだけど現代のクルマにはない楽しさがある! 沼る可能性しかないハチマルイタフラ車
壊れて当然のノリだけど現代のクルマにはない楽しさがある! 沼る可能性しかないハチマルイタフラ車
WEB CARTOP
WRCラリー・イタリア・サルディニアのエントリーリストが公開。勝田がマニュファクチャラー出走に復帰
WRCラリー・イタリア・サルディニアのエントリーリストが公開。勝田がマニュファクチャラー出走に復帰
AUTOSPORT web
「違反じゃないんだからいいだろ」って非常識! まわりの迷惑を顧みない「自己中運転」5選
「違反じゃないんだからいいだろ」って非常識! まわりの迷惑を顧みない「自己中運転」5選
WEB CARTOP
F1、雨用ホイールカバー導入を断念。テスト実施も水しぶき低減の効果はわずか「我々は振り出しに戻った」
F1、雨用ホイールカバー導入を断念。テスト実施も水しぶき低減の効果はわずか「我々は振り出しに戻った」
motorsport.com 日本版

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

2556.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

1598.02050.0万円

中古車を検索
570S クーペの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

2556.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

1598.02050.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村