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【ヒットの法則211】159スポーツワゴンにはアルファの遺伝子が色濃く受け継がれていた

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【ヒットの法則211】159スポーツワゴンにはアルファの遺伝子が色濃く受け継がれていた

2006年はアルファロメオにとって「豊作」だったと言えるだろう。ブレラ、159と続いて、さらにアルファ スパイダーのデビューとほぼ時を同じくして、159SW(スポーツワゴン)も登場しているのだから。159SWは、156時代と同様、ワゴンボディでもスタイリッシュさと個性を保っているのが印象的だった。アルファ スパイダーとあわせて開催された国際試乗会の模様から、このモデルの魅力を振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2006年8月号より)

最大のニュースはラゲッジスペースの拡大
イタリア・シシリー島で対面したアルファ159スポーツワゴン(以下SW)は既視感を伴っていた。それはボディをセダンと同寸とし、Dピラーを適度に寝かせスタイリング最優先とした先代アルファ156SWの手法を継承しているからである。

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リアクオーターウインドウなどは156SWから流用しているのでは、と思ってしまうほど酷似している。今回のジウジアーロとチェントロ・スティーレのコラボレーションは、156SWのフェイスリフトも手がけていただけに「SWらしさ」をキッチリと受け継いでいるのだ。

159SWの最大のニュースは何と言ってもラゲッジスペースの拡大だろう。先代の156SWはスタイリング優先のあまり、通常ではセダンより20L少ない360Lしかなかった。それが今回、ボディがひと回り大きくなったことによって、セダンより40L大きい445Lを実現し、さらにリアシートを倒せば1235Lも可能にしている。

この数値はアウディA4アバントの442/1184Lをわずかながら上回るもの。とは言えBMW3ツーリングの460/1385LやメルセデスCステーションワゴンの470/1355Lには及ばず、ようやくセグメントの平均レベルに達したと見るべきかもしれない。

実際、ゲートを開けて見れば、156SWに比べ幅も奥行きも広がっているのは十分わかる。159SWはスタイリングの良さはそのままに、ワゴン本来の機能を手にした。

運転席に収まると159セダンと変わりない風景が広がる。スロットキーやスターターボタン、オプションのポルトローナフラウ製のレザーシート、使いにくい頭上のリアゲートのオープナースイッチなどセダンそのもの。60対40に分割可倒のバック部を持つリアシートも同様で、その後方のトノカバーと空間で初めてSWを感じさせる。このセダン感覚でワゴンを楽しめるのがアルファ流SWの良さである。

2.2がセレスピード、3.2がATで日本導入
走りはセダンの延長線上にあると言っていい。カチッとしたボディが可能にしたシャープな走り味と言う点においてである。例のプレミアムシャシを手にしてからのアルファの走りは一変した。

それまでのステアリングのレスポンス重視から、しなやかさを伴いながらの安定したコーナリングに変換したのだ。これを「アルファらしさがなくなった」と見る向きもあるが、クルマとしてのポテンシャルは確実にアップしている。

セダンとの大きな違いは走行中にリアの空間の存在を意識することだ。156SWはそれをほとんど感じさせなかったが、空間が拡大した159SWはその感が強い。

その走りにおいて、セダンとほとんど変わりなく感じたのは3.2 V6 Q4の方だった。車重がそれなりにあってほとんど変わらないことに加え、トルセンCデフを用いた4WDということも手伝っているに違いない。SWであることを忘れさせるほどに、トルクにものを言わせて豪快な走りを引き出せる。

対して、2.2のFFの方はセダンと比べてリアの落ち着きが若干足りない感じだった。とは言え、コーナリング中の大きなギャップの乗り越えなどに対しての話で、通常の走りにおいては問題ない。このあたりはリアに荷物を搭載した際のバランスを考慮しているのだろう。

訊けばセダンとの違いは、SW全車、リアのスプリングを強化しているのみとのこと。2.2はセダンより50kgほど車重が増えているだけに、その違いが表われていたのかもしれない。

アルファ159SWが日本に入ってくるのは来年2007年初め。全車右ハンドル仕様で、2.2JTSがセレスピード、3.2 V6 Q4が6速ATとなる予定だ。2.2のセレスピードは6速MTをベースに油圧でクラッチを繋ぐのだが、1&2速がローギアで3速との差が大きいだけにシティモードに若干の不安が残る。マニュアル操作すればカバーできるだろうが、AT的な使い方ではギクシャク感が拭えないかもしれない。このあたりはマニエッティマレリーの仕上げに期待したい。

また、3.2 V6 Q4の6速ATはこの6月にアルファ159ディーゼルに先行搭載されているアイシンAW製で、アルファでは「Qトロニック」と呼ぶもの。Dレンジからシフトを操作してシーケンシャルモードに切り替えられるタイプで、Q4システムと組み合わさるからオールマイティに使えそうだ。

イタリアでの159SWはセダンの1500ユーロ(約22.5万円)高に設定されている。日本仕様はセレスピードやATなど装備の違いもあるから一概には言えないとしても、2.2JTSが400万円台半ば、3.2 V6 Q4が500万円台後半あたりになると予想される。ライバルであるアウディA4アバントよりは確実にリーズナブルになるはずだ。このアルファ流のスタイリングを身につけた159SWは、Dセグメントワゴンに新たな風を吹き込むのは間違いない。(文:河原良雄/Motor Magazine 2006年8月号より)



アルファロメオ アルファ159SW 2.2JTS 主要諸元
●全長×全幅×全高:4660×1828×1425mm
●ホイールベース:2700mm
●車両重量:1540kg
●エンジン:直4DOHC
●排気量:2198cc
●最高出力:185ps/6500pm
●最大トルク:230Nm/4500pm
●トランスミッション:6速MT
●駆動方式:FF
※欧州仕様

アルファロメオ アルファ159SW 3.2 V6 Q4 主要諸元
●全長×全幅×全高:4660×1828×1425mm
●ホイールベース:2700mm
●車両重量:1730kg
●エンジン:V6DOHC
●排気量:3195cc
●最高出力:260ps/6200pm
●最大トルク:322Nm/4500pm
●トランスミッション:6速MT
●駆動方式:4WD
※欧州仕様

[ アルバム : アルファロメオ アルファ159SW はオリジナルサイトでご覧ください ]

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